複雑な仕事には進行管理が必要
短期的なタスク管理なら、リマインダーソフトや各種カレンダーサービスを使えば充分ですが、工程が複数ある長期的なタスクが複数ある場合、それらの仕組みでは対応が難しくなります。たとえば、本誌のような月刊誌では、編集者がライター、イラストレーター、デザイナーなどに各工程を外注する体制です。制作期間は一カ月で、各スタッフが別々の場所で仕事しているため、進行管理が欠かせません。
編集部から仕事を請ける筆者のような立場でも、一カ月単位の月刊誌と数カ月から半年単位の単行本が重なった場合、タスクを細かく分けてこなしていく順番を決めないと、それぞれの締め切りに間に合わなくなってしまいます。
そのため、進行管理には縦軸にタスク、横軸に日程を置く「ガントチャート」を使ってプロジェクトの流れを可視化し、各ステップの進捗を確認できる仕組みを作るのが一般的です。「マイクロソフト・エクセル」などの表計算ソフトでも作れますが、出先でも確認しやすくするため、クラウドベースのものを探してみました。
カレンダーをガントチャート化
いろいろ試したところ、現状では「ガントプランナー(GANTT planner)」が比較的シンプルで使いやすいことがわかりました。特徴はグーグル・カレンダーのスケジュールから簡単にガントチャートが作れることで、普段の予定をグーグル・カレンダーで管理している人なら、設定は数ステップで完了します。
ガントチャートそのものの使い方はシンプルで、各工程の棒グラフをドラッグして日付上に配置し、進行の流れをつかみ無駄なく作業を進められるように順番や日程を調整していけます。自分の作業と外注先の作業を分けて入力していけば、空き時間も見つけられます。
ただし、手軽に始められる半面、メニューが英語であることや大人数(10名以上)のプロジェクト管理にはあまり適しません。また、複数人でのガントチャート上のタスク共有機能などは月額19ドル(約2280円)の有料プランが必要です。30日間の試用期間もあるので、使い勝手を確かめたら職場のグループ内への導入を検討してみてもよいでしょう。
?ガントプランナーはグーグル・カレンダーの予定をガントチャートに読み込んで表示してくれるWEBサービスです。[GET STARTED]をクリック後、自分のグーグル・アカウントで認証します。【URL】https://www.ganttplanner.com
?[Choose Gantt chart]をクリックして、メニューからガントチャート化したいカレンダーを選びます。ここから新しいガントチャートも作れます。初回はチュートリアル画面が表示されるので、登録方法を確認しておきます(英語)。
?タスクをダブルクリックするか、副ボタンクリックで表示されるメニューで[Update]を選択するとタスクの色や進捗度(Progress)が設定できます。これを見て予定全体の進行を視覚的に管理できます。
?グーグル・カレンダーのアカウントをOS Xの「カレンダー」に設定していれば、ガントチャートのタスクが反映されています。ただし「終日イベント」として登録されていなかったり、進捗度のカラーなどがわからないなどの制約があります。
【もっと媚薬】
ガントチャートはヘンリー・ガントによって考案されたプロジェクト管理や生産管理に用いられるグラフです。プロジェクトの各ステップにまで展開して階層化することで、プロジェクト全体の流れや進捗状況が把握しやすくなります。