LANでは、データを「フレーム」と呼ばれる単位で細かく分解し、それを連続して送受信することで通信を行っている。携帯電話の世界で「パケット」と呼ばれているものも同じ仕組みだ。このフレームのデータサイズは一般的に最大で1500バイトと決められているが、そのサイズを大きくすれば、一度に大量のデータが送受信可能になり、通信速度を向上させられる。
そしてこの、データサイズが大きなフレームのことを「ジャンボフレーム」という。ジャンボフレームを使用するには、送信側の機器はもちろん、通信を中継するハブ、受信側の機器も対応している必要がある。つまり、通信経路上の機器がすべて対応していないと、効果が発揮できないのだ。
アップル製品について検証を行ったところ、AirMacエクストリームとタイムカプセルの対応を確認できた。しかし、タイムカプセルに関しては、あくまでネットワークハブの部分のみだけで、内蔵ハードディスクとネットワーク側との間がジャンボフレームに対応していないため、タイムカプセルの内蔵ハードディスクからのデータ転送については速度の向上が見られなかった。
また、今回は実際に比較テストを行った。すると、600MBのデータを送信するのに、ジャンボフレームが無効な設定では49秒かかっていたのに対し、有効時には35秒と3割以上も転送速度が向上していた。
ジャンボフレームを有効にする方法は以下のとおり。しかし、MacBookなどのノート型Macを携行していて、ジャンボフレーム対応のネットワークから非対応のものへつなぎ替えた場合、ネットワークに接続できなくなる場合がある。そのため、使用する場合にはジャンボフレーム対応環境用のプロファイルを作成しておくといいだろう。
【設定方法】
1.システム環境設定の[ネットワーク]パネルで、[ネットワーク環境]をクリックし、ジャンボフレーム利用したい環境のプロファイルを選択する。
2.左側の接続方式リストから[Ethernet]を選択して[詳細]ボタンをクリックする。[Ethernet]タブを開き、[構成]を[自動]から[手動]へ変更する。そして、[MTU]を[標準(1500)]から[ジャンボ(9000)」に変更し、[OK]ボタン→[適用]ボタンとクリックして設定を確定させよう。
3.受信側のMacでも同じように設定すれば完了だ。ウィンドウズマシンやネットワーク接続式のハードディスク(NAS)のジャンボフレーム対応製品でも、同様の設定を行えば通信を高速化できる。
※この図は、アイ・オー・データ機器製のNAS「HDL-GTシリーズ」の設定画面だ。