3~4年前には必ず毎日持ち歩いていたコンパクトデジカメを、ここ最近めっきり使わなくなった。そもそも頻繁に写真は撮らないし、いざとなったら携帯電話で撮ればいい。仕事では一眼しか使わないようになったからなおさらだ。
ただ、よく考えてみれば、魅力的なコンパクトデジカメが存在しなかった、というのも使う機会が減った大きな理由の1つのような気がする。デジカメメーカーは似たような製品ばかり発売し、特徴も機能もデザインも大きく違わない。各社はこぞって画素数を上げ続け、画素数が上がったことによる画質劣化をなんとか画像処理エンジンで抑えようとするというスパイラル。そもそも1000万画素オーバーの画総数なんて、A3サイズをプリントするのではなければ必要ない。
それに、顔認識やさまざまなシーンモード、音楽付きスライドショーといった高機能もイマイチ魅力に欠ける。それよりも写真をしっかりと撮れるカメラ、撮影することの喜びを喚起してくれるカメラ。そんな製品は、ここ最近、リコーの「GR DIGTAL」を除いてほとんどなかったような気がする。
と書きながら、最近実はコンパクトデジカメを再び使いはじめた。その理由はただ1つ。画素数をずっと上げ続け、さまざまな新機能をいち早く搭載し、業界をリードしてきたキヤノンが、初めて画素数を落とした新モデルを発表したからだ。その機種は、「PowerShot S90」。有効1000万画素の1/1.7インチのCCDに抑えたことで、画素当たりの面積が従来より大きく確保され、なかなかよい写真が撮れる(サイズと画素数とは「GR DIGITAL III」と同じ)。ISO1600でもノイズが少なく、充分使えるレベル。さらに、広角側がF2.0と明るいレンズもぐっとくる。
そして、もっとも魅力的なのがレンズ周りのコントローラーリングだ。これをぐるっと回すことで、ISO感度を変えたり、露出を変えたりといった、操作が可能となる。これは使っていてなかなか楽しく、しかもとても実用的だ。
これを読んで気になった方、ぜひ店頭で使ってみてほしい。