米アップル社が来週、発表会を行うという内容のメディア向け招待状が、なぜか米国のいろいろなMac系WEBサイトで紹介されています。
一人のユーザとしては、こういう流出系の話題って楽しみではあるのですが、雑誌作りに携わる者としては、なんとも複雑な気分です。
僕のところには、立場上、さまざな企業から発表会、記者会見のお知らせが届きます。
一般的に招待状の中には、発表予定の製品情報などは入っていません(それを発表する場ですから)。
でも、この時期にこの会社から発表するとなると‥‥、と推測することはできます。
だから、発表会のお知らせが届いた時点で、内容を推測して記事にすることも不可能ではありません。
そんなわけで、業界の約束ごととして、発表会や会見のお知らせは、基本的に機密事項になっています。
まだ秘密なんだけど、発表日には是非ともあなたの媒体に詳しく紹介したいので、あらかじめ予定を空けておいてねって感じです。
それは、長年の取材活動、取材先とのお付き合いの中から生まれた信頼関係で成り立っているわけです。
そんなメディア向けのインフォメーションが一般に流出するとどうなるか。
企業は流出を恐れて、発表会のお知らせすら、当日まで流さなくなります。
実際、情報流出を防ぐために、発表日まで一切情報を流さない企業も、最近は増えてきました。
すると、どうなるか。
メディア側としても、突然ニュースが飛び込んできても、準備不足で大きな扱いの記事が作れず、読者への詳しい情報提供が遅くなることになります。
発表会の招待状が届いたことを公表するというのは、一時的に注目を浴びるかもしれません。
WEBサイトなら、一時的にアクセス数をアップさせることもできるでしょう。
でも、長期的な目で見ると、メディア、発表する側の企業、ユーザ、誰にとってもあまり利点がないような気がします。
「一定の秩序を守って取材する」、こんな考え方って、古い編集者のたわごとなのでしょうかね~。