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【実機レビュー】DCP-C1210N

著者: 小平淳一

【実機レビュー】DCP-C1210N

DCP-C1210N

私が検証しました!

小平淳一

フリーランスライター&編集者。自分も妻もプリンタを使う頻度が高いので、インクが切れると「切れる前に教えてくれれば買ったのに!」と言い争うことがあります。

[SPEC]

【発売】ブラザー工業

【価格】オープン価格

【実売価格】2万円(直販価格)

【製品貸与】ブラザー工業 【主な仕様】[本体サイズ(W×D×H)]435×359×161mm(※突起部除く)、[用紙サイズ]L版~A4、[トレイ枚数]最大150枚(用紙トレイ)、[最大50枚(排紙トレイ)、[プリント解像度]最大1200×6000dpi、[コピー解像度]最大1200×1800dpi、[スキャン解像度]最大1200×2400dpi(光学解像度)、[URL]https://www.brother.co.jp/product/printer/inkjet/dcpc1210n/index.aspx

使う分だけ支払う課金型のプリンタ

我が家のプリンタは6色インクタイプで、交換用の純正インクカートリッジを買うとセットで6000円くらいかかります。これがけっこうな出費ですし、古い機種なのでそろそろ買い換えようかと思っていたところ、ユニークなコンセプトのインクジェット複合機「DCP−C1210N」が発売されたことを知りました。

本製品は、必要な分だけ料金を支払って印刷枚数をチャージする代わりに、インクカートリッジは無料で届けてもらえるという新感覚の製品です。支払いはサブスク形式ではなく、必要な分だけチャージする仕様のため、月によって使ったり使わなかったり…と使用頻度にムラがあっても心配ありません。しかも、本体購入後に1000枚分を無料で印刷できます。

とはいえ、性能面や実際のランニングコストは長い目で見て納得できるのだろうか…。購入前にこう迷っていたところ、メーカーさんから製品をお借りする機会をいただきました。

機能も画質も納得のクオリティ!

セットアップは非常に簡単です。iPhoneに専用アプリ「ブラザー・モバイル・コネクト(Brother Mobile Connect)」をインストールしてプリンタと接続すれば、Wi−Fi接続など必要な設定はほぼ自動で行えます。このアプリではチャージ枚数やインク残量を確認でき、ユーザ登録しておけばインク残量が少なくなったときに通知が届き、新しいインクの配送を許可すると手元に送られてきます。

セットアップが終わったところで、プリンタの要ともいえる印刷品質をチェックしてみました。普通紙にビジネス文書をプリントしてみたところ、文字はハッキリしていて、写真も十分なクオリティで印刷されます。今まで自宅で使っていた10年前のハイエンドモデルと比べて印刷スピードも速く、なにより印刷中の音が静かなことに驚きました。続いて、写真用紙に花の写真をプリントアウトしてみたところ、こちらも満足のいくクオリティ。花びらの色が徐々に変化する様も美しいグラデーションで表現されました。これまでは「微妙な階調を表現するには6色インクじゃないと」とこだわっていましたが、4色インクの本製品でも滑らかな階調表現ができるのですね。考えを改めるいい機会でした。

MacやiPhoneで多彩な機能を活用できる

次に、本製品の機能面について触れておきましょう。まず、本製品はスキャナとしても利用可能で、スキャンした書類・写真をiPhoneアプリやMac用ソフトに転送できます。特にMac用ソフトは、スキャンデータの取り込みからクラウドストレージへの保存までワンクリックで実行できる「ワークフロー」機能を備えているので、作業をより効率化できます。

またiPhoneアプリの場合、会員登録をしておけば外出先からリモートプリントできるのも特徴です。たとえば私が外出しているとき、家にいる妻から急ぎで書類が必要と連絡が来たとしましょう。そんな場合でも、その書類をiCloudなどの対応クラウドストレージに保存し、私がiPhoneアプリ上で書類を選んでリモートでプリントを指示できるわけです。

また、本製品はアップル純正の「エアプリント(AirPrint)」にも対応しています。これは、MacやiPhoneなどのデバイスからプリンタに無線で印刷指示を出せる機能。プリンタドライバをインストールせずとも、気軽に使えるのが魅力です。

シンプルな料金体系でカラー印刷はメリット大

では、気になるランニングコストはどうでしょうか。本製品は10枚から追加チャージできますが、一度にチャージする枚数が多ければ多いほど割安です。たとえば10枚チャージすると200円(20円/枚)、50枚は500円(10円/枚)、150枚は1200円(8円/枚)など、合計6つのプランが用意されています。なお、印刷サイズや色数(カラーかモノクロか)を問わず1枚あたりのコストは同じと、料金体系はシンプルです。

ブラザーのホームページには、「一般的なインクジェットプリンタでモノクロ印刷をすると約1~3円/枚、カラー印刷をすると約8~12円/枚になることが多い」と書かれています。これをもとに考えると、モノクロだけで使うには少々コスパが悪いという判断になります。チャージ枚数にもよりますが、ある程度カラーでプリントする機会があるのならコスパがいいとも考えられるでしょう。たとえば、写真プリントを楽しむ機会が多い人や年賀状を多めにプリントする人なら、メリットは大きいのではないでしょうか。我が家の場合、筆者は書類のプリントが中心ですが、妻が趣味で写真プリントをすることが多いので、このサービスと相性がいいのではと感じています。

そもそも、本製品は購入と同時に1000枚分のチャージがついてくるので、月に100枚プリントしても追加チャージが必要なのは10カ月先。これだけ印刷できれば、しばらく追加チャージのことは考えなくていいという人は多いでしょう。

印刷コストのほかにも、本製品ならインクが無料かつ、必要なときに送られてくる点も大きなメリットだと思います。今まではプリントアウトしたいときにインクが切れてしまい、慌てて家電量販店に駆け込んだ経験が何度となくありましたが、この製品ならその煩わしさから解放されるわけです。スマホひとつでこんなに便利にお得に使える本製品、個人的に買い替えの筆頭候補になりました。

【POINT】印刷できる枚数をiPhoneでチャージ

印刷できる枚数の確認やチャージは、メーカーの会員向けWebサイトで行えます。なお、決済はクレジットカードに対応しています。

【POINT】置き場所に困らない省スペース設計

突起部を除いて、幅435mm、奥行き359mmとコンパクトなボディ。紙の補充とインク交換を前面から行えるので、狭いスペースにもスッキリ配置できました。

【POINT】ワンタッチ操作でコピーできる

本体上部のボタンを押すだけでコピーできます。個人的には、液晶パネルをタッチするより物理ボタンのほうが使いやすいように感じます。

【POINT】Mac用ユーティリティも用意

Macからのプリントは、macOS標準のプリントダイアログ「AirPrint」のほか、専用のユーティリティソフトを使う方法もあります。このソフトはスキャンに対応しており、UI(ユーザインターフェイス)もシンプルで使い勝手が良いと感じました。

【POINT】チャージ枚数が多いほどコスパ向上

チャージは10枚から3000枚まで、計6つのプランが用意されています。1度にチャージする枚数が増えるほど1枚あたりの単価は下がるので、ランニングコストを考えると、ある程度まとまった枚数をチャージするほうがお得だと思います。

検証報告

□カラーでプリントするならコスパも良好。スキャンやコピー、リモートプリントなどの便利な機能も搭載しています。

□インク切れやインクの買い足しを気にしなくて良くなるのは、ほかにない大きなメリット。より気軽かつストレスフリーに使えます。

製品貸与●ブラザー工業