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スムースな4K動画を手軽に撮影「DJI OSMO Pocket」

著者: 大須賀淳

スムースな4K動画を手軽に撮影「DJI OSMO Pocket」

iPhoneより小さい!

今もっとも勢いのある映像機器メーカーの1つであるDJIの新製品「オズモ・ポケット(Osmo Pocket)」は、手のひらに収まるコンパクトボディに、モータ動作でブレを抑える3軸電動スタビライザと、最大4K/60Pの動画撮影が行えるカメラを内蔵した新基軸のプロダクトです。

本体には、さまざまなアクセサリを装着できる「ユニバーサルポート」が備わっており、標準で付属するライトニングアダプタを使えば、iPhoneと一体化させて、専用アプリの「DJI Mimo」から撮影や設定のコントロール、ライブや撮影済み映像のプレビューなどが行えます。

本体のディスプレイもタッチ操作対応ですが、iPhoneを併用すると快適度は別格。ライブプレビューの遅れもほんのわずかなので、iPhone内蔵のカメラに強力な手ぶれ補正が加わったような気軽さで使うことができます。

一方、ジャストフィット構造であるがゆえに、iPhoneにケースを装着しているとライトニング端子が挿さらない場合もあり、またカメラ部分の回転半径にぶつかってしまうためiPadにも装着できませんでした。これらの場合も、別売りのワイヤレスアダプタでブルートゥース接続すればアプリを利用できますが、事前に注意しておきましょう。

バッテリは本体に内蔵されており、底面のUSBタイプCポートから充電を行います。複数のバッテリを交換しながらの撮影はできないものの、本体自体が非常にコンパクトなので、モバイルバッテリで給電しながら撮影してもそれほど邪魔に感じません。なお、記録用のマイクロSDカードは別売りで、書き込み速度が15MB/s以上のものが推奨されています。特に4K/60Pなどデータ量の大きなフォーマットで撮影する際は、カードの速度が動作の安定性に大きく関わる場合も多いので、価格よりも性能重視で選んだほうがより安心して利用できます。

3軸スタビライザで水平をキープ

手のひらに収まるサイズながら、高性能な3軸スタビライザを内蔵。手を左右に振るような動きをしてもしっかり水平をキープし、モータ音も気にならないレベルです。液晶は超小型ながら明るくクリアで、屋外での使用も問題なし。タッチ操作への反応もスムースです。

被写体を追うトラック機能

特定の被写体を追尾する「アクティブトラック」をオンにすると、必要以上に手を動かさなくとも的確なフレーミングが可能です。また、「セルフィーモード」にするとカメラが180度反転し、顔を追尾するフェイストラックが自動的にオンになります。

室内や観光にぴったり

本製品は、同じく「ブレのない撮影」を売りにした「ゴープロ・ヒーロー7・ブラック(GoPro HERO7 Black)」と比較されることが多いため、今回は両製品で同時撮影して検証してみました。

日中屋外での映像は、それぞれ良い勝負といったところ。一方、夜間など暗い場所では、ゴープロはモータのない電子スタビライズを採用しているために多少滲むような映像になる場面も多く、メカニカルに補正しているオズモ・ポケットに軍配が上がる印象でした。

映像全体としては、両者の個性がハッキリと出る結果に。ゴープロは超広角の画角全体が非常にシャープで、色もクッキリとしています(ProTune=OFFで比較)。一方、オズモ・ポケットは、人間の視覚に近い歪みの少ない画角で、十分にクリアでありつつも,全体に落ち着いた印象の映像です。

ヘルメットなどに装着しても周囲をごっそり明瞭に撮影できるゴープロに対し、オズモ・ポケットは手持ちで「何を撮るか」を意識しながらオペレーションするのを前提として設計されているのが明確に感じられます。それは、ゴープロには標準搭載のワイヤレス接続が、オズモ・ポケットでは別売りのワイヤレスモジュール利用となっている点にも現れており、水に濡れるような場所ではやはり別売りの防水ケースが必要です(ゴープロは標準で10メートルの防水仕様)。私の印象としては、室内や歩いての観光にはオズモ・ポケット、スポーツやアグレッシブなアウトドアレジャーにはゴープロが向いていると感じました。

最近はiPhoneでブレのない撮影ができるジンバルが各社からリリースされていますが、どの製品もそれなりの大きさと重さがあるため、使うにはちょっとした気合いが必要でした。その点、このオズモ・ポケットは「ジンバルとカメラをまるごとiPhone以下のサイズにしてしまう」というコロンブスの卵的な発想から生まれており、常に持ち歩いたとしてもほとんど邪魔に感じません。面倒くさいことは極力避けつつ、安定した見やすいビデオを撮影したいという方には、間違いなく現時点で最良の選択肢の1つといえるでしょう。

iPhoneを使えば操作性アップ

本体中央のユニバーサルポートには、さまざまなアクセサリを装着可能。付属のLightningアダプタを使えば、iPhoneと一体化させての利用が可能です。ただし、端子が密着する構造のため、ケースを付けていると挿さらない場合があるので注意が必要です。

専用アプリで本体を操作

専用アプリ「DJI Mimo」からは、Lightningアダプタ、またはBluetooth(オプション)で接続した本製品をフルにコントロール可能。撮影時のプレビュー映像はクリアで遅れも許容範囲です。4K/60Pで撮影した映像もスムースにプレビュー再生することができます。

不安定な地形でもスムースな映像

本製品を持ったままアップダウンの激しい場所を歩き回るような撮影を行っても、大画面でのフルスクリーン再生でも酔わない程度の安定した映像が撮影できます。平らな場所には自立する形で置くこともできるので、三脚の必要性はほとんど感じないでしょう。

より人間の視野に近い映像が撮れる

ライバル的な存在である「GoPro HERO7 Black」と撮影した映像を比較してみました。画角の広さや色の派手さ、シャープさはGoProが目立つ一方、Osmo Pocketは暗い場所も含めてノイズ感が少なく、人間の目に近い画角もあって安定した見やすさがあります。個性がまったく違うので、好みや用途で選ぶとよいでしょう。

[SPEC]

[スタビライザ付き小型4Kカメラ]DJI OSMO Pocket
【発売】DJI JAPAN
【Size】121.9(W)×36.9(H)×28.6(D)mm
【価格】4万4900円
【URL】https://www.dji.com/jp/osmo-pocket?

【主なスペック】

【重量】116g【備考】センサ:1/2.3インチ CMOS、有効画素数:12M、レンズ:80° F2.0、35mm版換算:26mm、ISO感度:100-3200、電子シャッター速度:8秒~1/8000秒、最大静止画サイズ:4000×3000 ピクセル、静止画モード:シングルショット、パノラマ、タイムラプス、モーションラプス 動画解像度:【4K Ultra HD】3840×2160 24/25/30/48/50/60p、【FHD】1920×1080 24/25/30/48/50/60/120p、動画撮影モード:オート、スローモーション、最大ビデオビットレート:100 Mbps、対応SDカード:microSD(最大容量:256 GB)、オーディオ出力:48 kHz AAC

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大須賀 淳

テクノロジーを遊びつくす映像作家・音楽家。【URL】https://junoosuga.com