名作を35年ぶりリメイク
2015年、ロサンゼルスに暮らすマイノリティの日常を、全編3台のiPhone 5sで撮影した映画「タンジェリン」が話題を呼んだ。そして2019年、「タンジェリン」に感銘を受けたプロデューサーと、以前からiPhoneでの映画製作を切望していた白石和彌監督が、全編iPhoneで撮影した野心作を公開する。
新たな世界大戦が勃発し、東京五輪が中止になった2020年。1945年の戦後からやってきた主人公・坊や哲が、麻雀で死闘を繰り広げる─。原案は阿佐田哲也のベストセラー小説『麻雀放浪記』。35年ぶりの映画化だ。
今回は常時20台のiPhoneを駆使し、ギャンブルが生み出す緊迫の心理戦と、終戦後の2020年という近未来のリアリズムを臨場感たっぷりに描いている。iPhoneは通常の映画用機材よりもはるかに小型のため、大胆なポジションに挑戦したり、演者がカメラを持って撮影したりと、機動力を活かしたカメラワークが可能になった。また、ビデオカメラアプリ「フィルミック・プロ(FiLMiC Pro)」を、メーカー協力のもとチューンナップするなど、ソフトウェアにもこだわっている。