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日本展開もすぐ!?レストラン予約で頭角を表すResy

著者: 三橋ゆか里

日本展開もすぐ!?レストラン予約で頭角を表すResy

海外で成功したサービスやビジネスモデルを国内にいち早く持ち込むことを指すタイムマシン経営。ソフトウェアサービスが主流の今は、海外の面白いサービスのクローンを即座に起ち上げることができます。時差があるタイムマシン経営ではなく、模倣ビジネスをリアルタイムに展開することが可能です。

事業そのものに関しては真似るハードルがぐんと下がったものの、肌感覚として、日本とアメリカではIT関連サービスの普及スピードに差があります。模倣するのは早くても、サービスが一部のアーリーアダプターから一般消費者の手に渡る(そして活用される)までの所要時間が日本のほうが圧倒的に長いような気がするのです。

パッと思いつく例を挙げてみても、ハイヤー配車サービスの「ウーバー(Uber)」、旅行先で現地の人の自宅などを宿泊施設として借りられる「エアビーアンドビー(Airbnb)」、フードデリバリーサービスの「グラブハブ(Grubhub)」、スクーターレンタルの「バード(Bird)」など。

どれも米国メディアが頻繁に取り上げるITサービスですが、業界人だけでなく、特にITに強くない友人なども日常的に活用しています。一方の日本では、業界内で話題になることはあっても、それが一般消費者のスマホホーム画面を陣取るまで時間を要するイメージです。

そんなわけで、米国に暮らしていると新しいサービスがいつの間にか定着しているようなことがあるのですが、昨年頃から見かけるようになったのが、「レジー(Resy)」というサービス。レストランの予約サービスで、「オープンテーブル(OpenTable)」 や「イェルプ(Yelp)」などの競合です。日本でいうところの食べログです。

オープンテーブルは、1990年代後半にサービスを開始した老舗。20カ国の4万7000店以上のレストランを網羅し、1カ月のオンライン予約人数は2600万人超。地域のサービス業者の口コミサービスのイェルプは、口コミチェックから予約までをワンストップで提供しています。モバイルアプリのユニークユーザ数は3200万人、デスクトップユーザ数は7400万人。口コミはイェルプ、レストラン予約に関してはオープンテーブルの独擅場です。

そんな中、じわじわと頭角を表すレジー。予約が取れないことで知られるマンハッタンの「グラマシータバーン(Gramercy Tavern)」などを運営するレストラングループが、オープンテーブルからレジーに移行。2014年創業のレジーは、北米の160都市の1万店のレストランが予約対象で前年比275%の伸びを見せています。

利用者にとってレジーが魅力的なのは、ある程度厳選されたレストランを扱うキュレーションの側面。対レストランでは、予約サービスにとどまらない“ホスピタリティ向上サービス”の地位を狙っており、予約管理システムやロイヤリティプログラムを提供。とあるレストランによると、レジーの利用料はオープンテーブルの約10分の1でコスト面でも優しいそうです。

レジーはまた、各種人気サービスと連携することで利用者増加に拍車をかけています。たとえば、レストランの公式アカウントからインスタグラムを離脱せずに直接予約ができたり、エアビーアンドビー(同社はレジーに出資)のアプリ内でも同様にレストラン予約が可能です。

すでにロンドン、パリ、香港、シドニーなどに進出しており、現在は現地の類似サービスを買収したスペイン市場に注力しているとのこと。今後、ミシュランガイドでもっとも多く星を獲得している日本への進出も期待できそうです。

Resy

【URL】https://resy.com

Yukari Mitsuhashi

米国LA在住のライター。ITベンチャーを経て2010年に独立し、国内外のIT企業を取材する。ニューズウィーク日本版やIT系メディアなどで執筆。映画「ソーシャル・ネットワーク」の字幕監修にも携わる。【URL】http://www.techdoll.jp