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表現力を身につけた球形ロボット「Sphero BOLT」がすごい!

著者: 大谷和利

表現力を身につけた球形ロボット「Sphero BOLT」がすごい!

その簡便さと汎用性から、世界のSTEAM教育の現場で普及しているSphero社の球形ロボットに、新たな最上位モデル「Sphero BOLT」が登場。サイズはそのままに、カラーLEDマトリクスディスプレイによる表現力アップやセンサ類の強化が行われた。

さらに進化した教育ツール

スフィロ社は、早くから自社製品の教育ツールとしての可能性に着目し、ラインアップの強化を図ってきた。特に、球形ロボット「スフィロ」と専用のプログラミング環境、そして学校のカリキュラムを意識した課題を組み合わせた教育向けのツールセットを「スフィロ・イーディーユー(Sphero Edu)」と呼び、たとえば天体の動きのシミュレーションや、速度と時間と距離の関係性を探る実験、お絵かきなど、さまざまな科目に即した使われ方がなされている。

「スフィロ・ボルト(以下、ボルト)」の発表会では、スフィロ社CTOのジョン・キャロル氏や日本の初等教育現場におけるiPadやスフィロ導入に尽力されてきた情報通信総合研究所特別研究員の平井聡一郎氏も登壇。同社の教育への貢献やボルトの可能性について語った。

まず目を惹くのは、8×8のカラーLEDマトリクスディスプレイである。種々の情報を表示でき、プログラミングによる表現力が高まった。また、従来からのジャイロスコープ(姿勢・角速度計)と加速度センサにプラスして光センサを内蔵し、周囲の明るさに応じた処理や、光を追いかけたり光から逃げるような動作も可能となっている。さらに特筆すべきは、ボルト間での赤外線通信機能だ。ロボット同士での情報のやりとりやスウォーミング(編隊移動)を簡単に行うことができ、自律走行や集団行動的な処理への道が開かれた。そのうえで、バッテリ駆動時間も伸びて最低でも2時間動かすことが可能となり、連続した授業内などでの使い勝手が向上している。

「Sphero BOLT」は、完全防水の強靭な球形筐体を従来機種から継承しつつ、カラーLEDマトリクスディスプレイや地磁気&光センサ、赤外線通信機能を備え、駆動時間も倍増した。価格は1万9310円。また、「Sphero Edu」には教育者向け情報(https://sphero-edu.jp)と家庭向け情報(https://sphero-edu.jp/athome/)が用意されている。【URL】https://www.sphero.com/sphero-bolt

専用アプリも強化

ボルトの仕様に合わせて、純正プログラミング環境の「スフィロ・イーディーユー」アプリが強化され、対応プラットフォームも、iOSやアンドロイド、ファイアOS、クロームOSに加えて、macOS、ウィンドウズ10へと拡大した。

アプリでは、ドロー、スクラッチライクなブロック、ジャバスクリプトによるテキストの3通りの方法でプログラムできるが、特にブロックではマトリクスディスプレイのパターンをグラフィカルに編集する機能が設けられ、アニメーション表示も簡単に行える。赤外線通信機能もルーチンの番号を受け渡すようにして行え、特にスウォーミングはリーダー役のボルトがブロードキャストした赤外線を、フォロワー役のボルトがフォローするか回避するかを選ぶ程度の簡便さで実行可能だ。

プログラミングの結果を動きと表示で確認できるボルトによって、STEAM教育のさらなる前進が期待される。

教育現場にSpheroの導入を推進してきた平井聡一郎氏も、大きく進化したSphero BOLTの可能性に期待を寄せる。

Sphero社CTOのジョン・キャロル氏は、Appleとの取り組みを含め、自社製品の教育に対する貢献について説明した。

純正プログラミング環境の「Sphero Edu」アプリを利用すると、マトリクスアニメーションも簡単に作って動かせる。

赤外線通信利用のスウォーミング(編隊移動)では、リーダー設定のSphero BOLTに複数のフォロワー役が付いて回る。