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Appleシリコンはモノリシッチダイからマルチダイへ。2026年は大きな転換期。2nm時代のWMCM採用は何を変えるのか?

著者: 今井隆

Appleシリコンはモノリシッチダイからマルチダイへ。2026年は大きな転換期。2nm時代のWMCM採用は何を変えるのか?

画像:Apple

2026年後半にリリースされると考えられる、iPhone向けの「A20シリーズ」とiPad/Mac向けの「M6シリーズ」。これらには最新の2nmプロセステクノロジーとともに新たなパッケージ技術が採用されるのではないかという話が、さまざまな情報ルートから入ってきている。

その技術の名は「WMCM(Wafer-level Multi Chip Module)」。WMCMの採用によってAppleシリコンはどのように変わるのか、ユーザにもたらされる恩恵をそのリスクも含めて解説しよう。

大型化するシリコンと、高騰する製造コスト

Appleシリコンは長らく1枚のシリコン(ダイ)に全ての機能を統合する、モノリシックダイ構成で進化してきたプロセッサだ。これはAppleシリコンが「メモリを中核として周りに処理ユニットを配置する」UMA(Unified Memory Architecture)を採用したことと密接に関連している。

このUMAではメモリとファブリックを中心に、CPUやGPU、Neural Engineなどの処理プロセッサを広帯域(高速)に結合することが重要になる。

しかしモノリシックダイであるAppleシリコンには、その規模が拡大するについてシリコン(ダイ)のサイズが大きくなるという弱点がある。事実、Mac用AppleシリコンであるMaxシリーズのダイサイズはパソコン向けとしては異例の大きさで、現在の半導体技術で安定して造れるダイサイズの限界に近い。

このため最上位となるUltraシリーズでは、Maxのダイを2個シリコンインターポーザで超高帯域接続する「Ultra Fusion」(InFO-L)という異例の設計手法を採っている。

Mac用のAppleシリコンである「Mシリーズ」は、無印、Pro、Maxへとプロセッサ規模とメモリ帯域が拡大している。Maxのダイサイズはパソコン向けプロセッサとしては極めて巨大なサイズだ。このため最上位のUltraでは、Maxのダイを2つシリコンインターポーザで密結合する「Ultra Fusion」技術が取り入れられた。
画像:Apple
Mac用のAppleシリコンである「Mシリーズ」は、無印、Pro、Maxへとプロセッサ規模とメモリ帯域が拡大している。Maxのダイサイズはパソコン向けプロセッサとしては極めて巨大なサイズだ。このため最上位のUltraでは、Maxのダイを2つシリコンインターポーザで密結合する「Ultra Fusion」技術が取り入れられた。
画像:Apple

さらに近年、最先端半導体プロセスの製造コストが上昇し続けている。次世代Appleシリコンへの採用が予想されるTSMCの2nmプロセス「N2」では、新たに導入されるGAA(Gate All Around)FETや、EUV(極端紫外線)露光技術の多用やダブルパターニングといった製造上のコストアップ要因が多い。

2nmプロセスの導入により機能が同一であればダイサイズの縮小が可能だが、おそらくAppleは、その分を新機能や性能の向上に振り向けるだろう。つまり、Appleシリコンの製造コスト上昇は避けられない状況にある。

N2ではチャンネルの全周をゲートとして使う「GAA(Gate All-Around)FET」を採用し、性能を引き上げる。一方でゲート作成工程のプロセスがFinFETより複雑になるため、製造コストがかさむとされている。
画像:TSMC
N2ではチャンネルの全周をゲートとして使う「GAA(Gate All-Around)FET」を採用し、性能を引き上げる。一方でゲート作成工程のプロセスがFinFETより複雑になるため、製造コストがかさむとされている。
画像:TSMC
台湾の半導体製造メーカTSMCのプロセスロードマップと、そのプロセスを利用するAppleシリコンのロードマップ。TSMCでは2025年末から初代2nmプロセス「N2」の量産を開始している。これを、秋に登場するiPhoneやiPad、MacなどのAppleシリコンに採用する可能性が高い。
台湾の半導体製造メーカTSMCのプロセスロードマップと、そのプロセスを利用するAppleシリコンのロードマップ。TSMCでは2025年末から初代2nmプロセス「N2」の量産を開始している。これを、2026年秋に登場するであろうiPhoneやiPad、MacなどのAppleシリコンに採用する可能性が高い。

では、そのリスクをAppleはどのように乗り越えようとしているのか。次の章では、その鍵となるWMCM技術に迫る。

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