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盗んだiPhoneを土に埋める⁉︎ スマホひったくり犯たちの悪どい知恵。その狙いは、アップデートされた「探す」機能への対応と言い訳づくり

著者: 牧野武文

盗んだiPhoneを土に埋める⁉︎ スマホひったくり犯たちの悪どい知恵。その狙いは、アップデートされた「探す」機能への対応と言い訳づくり

スマホひったくりはかつて“簡単”だった。AppleやGoogleの「探す」仕組みとは?

ロンドンでは、スマホのひったくりが流行のようになり、ロンドン警視庁のデータによると、ロンドンだけで2024年中に11万4607件のスマホひったくりが発生した。1日あたり300件以上、スマホがひったくられている計算になる。

ロンドンではスマホのひったくりが横行している。歩きスマホをしている人を見つけると、後ろからバイクや自転車で近づいて、奪ってそのまま逃走する手口だ。

実は、以前のスマホひったくりは簡単だった。ひったくりをしたあと、安全な場所で電源を強制終了してしまえばいい。AppleやGoogleの「デバイスを探す」は、デバイスの位置情報をモバイルネットワークやWi-Fiで発信したものを表示している。

そのため、デバイスの電源が落ちると、それ以上は位置情報を送信することができなかったのだ。この場合、電源を落とした直近の位置情報しか知ることができない。




アップデートされた「探す」機能。一方、それに対応するスマホひったくり犯

しかし、これでは盗難時に役立たない。そこでAppleは2019年から、Googleは2024年から、Bluetoothによる位置情報発信に対応するようになった。Bluetoothの到達距離は10m前後だが、ほかのユーザが通りかかったときに、位置情報を暗号化した状態でそのユーザに転送され、そこからiCloudに転送される。

これなら電源が切られても、バッテリが完全にゼロになっても、予備電源によって数時間から数日の間、発信され続ける。両社とも防犯の観点から詳細な時間は公表していないが、実測によると数時間から24時間程度は発信されるようだ。

こうして、スマホひったくり犯の「すぐに電源を切る」技が無効となり、逮捕数が増加した。

スマホひったくり犯のアジトを急襲するロンドン警視庁
ロンドン警視庁は、大量に盗難スマホを買い上げ、輸出をしていた組織のアジトを急襲した。このような努力をしても、スマホひったくりの件数は増加しており、ロンドンの大きな課題になっている。画像●Inside the Met’s Largest Ever Phone Theft Operation

しかし、スマホひったくり犯もバカではない。今では、ひったくりをしたら電源を切り、アルミホイルでくるみ、ビニール袋に入れたうえで公園などに埋める手口が考案されている。そうすると電波が遮断され、Bluetoothによる位置情報の発信もされなくなる。そして埋めた一両日後に回収しにくるのだ。

さらにタチが悪いのは、言い訳が成り立つことだ。仮に回収したスマホを持っているところを警察に見つけられたとしても、「公園で拾った。これから届けるところだった」と言えてしまう。

盗まれたスマホはどこに行くのか。ロンドンでは今日も、土に埋められ、掘り返されている

このようにひったくられたiPhoneは、英国から輸出され、正規品よりも高い価格で取引される。たとえばブラジルのように輸入関税が高く、iPhoneのそのものの価格が高い国で販売すると、かなり儲かるようだ。ブラジルのiPhone 17 Proは1万1499レアルからで、日本円で34万円ほど。日本の17万9800円と比べると約2倍だ。ひったくったiPhoneは、25万円ぐらいの値付けをすれば、すぐに売れる。

もうひとつは、犯罪集団など正規のiPhone、正規のSIMカードを使いたくない人にも重宝されるようだ。このような人たちは、捜査の追跡を逃れられるならいくらでも出してくれる。

ロンドン警視庁によると、スマホひったくり犯がiPhoneをそのような組織に持ち込むと、1台あたり200ポンドから300ポンド(4万円から6万円)ほどになるという。

ロンドンではこうして、大量のiPhoneが土に埋められ、掘り返されている。

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著者プロフィール

牧野武文

牧野武文

フリーライター/ITジャーナリスト。ITビジネスやテクノロジーについて、消費者や生活者の視点からやさしく解説することに定評がある。IT関連書を中心に「玩具」「ゲーム」「文学」など、さまざまなジャンルの書籍を幅広く執筆。

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