新しいiPhoneへの買い替え時、手元の端末を「下取り」や「買取」に出す予定の方も多いでしょう。しかし、単に「データを消せばいい」と思って安易に初期化してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
「アクティベーションロックがかかっていて買取不可と言われた」「LINEのトーク履歴が引き継げない」──。こうした失敗を防ぐため、今回は読者の皆様に向けて、iPhoneを手放す前に必ずやるべき準備と手順を、時系列に沿って完全解説します。
iPhoneを下取り・売却する前に知っておきたいこと
まず理解しておきたいのは、下取り(キャリアやApple)、買取(専門店)、譲渡(知人へ)のどれであっても、「やるべき準備の7割は共通している」ということです。
準備を間違えると起きる3つのトラブル
正しい手順を踏まないと、以下の3つのリスクが発生します。
1. 個人情報の流出・消失
データが完全に消えていない、逆に新しいiPhoneにデータを移す前に消してしまった、という事故です。
2. 下取り・買取の拒否
「iPhoneを探す(アクティベーションロック)」がオンのままだと、第三者が使用できないロック状態となり、ジャンク品扱いまたは買取不可となります。
3. 査定額の大幅減額
付属品の欠品や、掃除で落ちる汚れを放置したことによるランクダウンです。
これらを避けるため、まずは「全員共通の必須作業」を終わらせ、その後に「ケース別の最終確認」を行いましょう。
【全員共通】iPhoneを手放す前に必ずやる7つの手順(時系列)
ここからは、実際にiPhoneを操作していく手順です。後戻りできない作業もあるため、必ず上から順番に進めてください。
手順1:Apple Watchのペアリングを解除
Apple Watchをお使いの方は、iPhoneのバックアップを取る前に、ペアリングを解除してください。
なぜ先にやるのか?
ペアリングを解除すると、その瞬間にApple Watchの最新バックアップがiPhone内に作成されます。ペアリングを解除し忘れた場合、Apple Watchを一旦リセットしたのち、一から設定し直す必要があります。
方法
「Watch」アプリ > 左上の「すべてのWatch」 > 該当するWatchの「i」マーク > 「Apple Watchとのペアリングを解除」




手順2:【重要】Suica、LINE等の個別引き継ぎ
iCloudバックアップだけでは不十分な日本特有のアプリ設定を行います。
Suica・PASMO(Apple Pay)の削除(推奨)
交通系ICカードは、セキュリティ仕様上「1つのカード情報を1つの端末でのみ利用できる」仕組みになっています。
iPhoneを初期化すると、ウォレット内のSuicaやPASMOも自動的に端末から切り離され、残高を含むカード情報はApple Accountに紐づいた状態でサーバに退避されます。そのため、「必ず事前に削除しなければならない」というわけではありません。
ただし、通信環境が不安定な状態でiPhoneを初期化した場合など、サーバ側で「まだ古いiPhoneにカードが残っている」と誤認識されると、新しいiPhoneでカードを追加しようとした際に「このカードは使用中です」といったエラーが出ることがあります。
こうしたトラブルを確実に避けるためにも、下取り・売却などでiPhoneを手放す前には、「ウォレット」アプリから手動でカードを削除しておくことをおすすめします。



※「削除」といっても残高はApple Account(旧:Apple ID)に紐付いてサーバに退避されるだけです。新しいiPhoneで同じアカウントにてログインすれば、残高ごと復活します。
LINEの引き継ぎ
以前のLINEでは、機種変更や端末の初期化前に「アカウント引き継ぎをオンにする」「引き継ぎ許可を設定する」といった煩雑な操作が必要でした。しかし現在は、LINEの仕様変更により、これらの操作は原則として不要になっています。
とはいえ、何も準備せずに初期化して良いわけではありません。下取りや買取で古いiPhoneを先に手放す場合、トーク履歴を含めて確実に復元するためには、初期化前にiCloudへのバックアップなどを行っておく必要があります。特に以前のiPhoneが手元にない状態でLINEを設定する場合、6桁のPINコードがないと過去のトーク履歴を復元できないので、必ずPINコードを作成してください。
iPhoneを初期化する前に必ず行う3つのこと
- アカウント情報の登録・確認
LINEの「設定」→「アカウント」で、電話番号・メールアドレス・パスワードが正しく登録されているか確認します。


【2】 トークバックアップ
「設定」→「トーク」→「トークのバックアップ」からiCloudへのバックアップを実行します。「前回のバックアップ」が今日になっていることを確認してください。
【3】 PINコード作成
また、同じ画面で「バックアップ用のPINコード(6桁)」を設定します。





【手元に新しいiPhoneがすでにある場合】
新旧2台のiPhoneが同時に使える場合は、iOSの「クイックスタート」やLINEの「かんたん引き継ぎQRコード」を使って移行できます。その場合は、移行完了を確認してから古いiPhoneを初期化しましょう。
手順3:データの完全バックアップ
個別のアプリ設定が終わったら、iPhone全体のデータをバックアップしましょう。
iCloudバックアップ(手軽)
Wi-Fi環境があれば手軽にiCloudにバックアップできます。「設定」>[ユーザ名]>「iCloud」>「iCloudバックアップ」から行います。


Mac/PCでのバックアップ(確実)
Macユーザなら、MacのFinder経由でのローカルバックアップもおすすめです。iPhoneのバックアップをMacに保存するには、iPhoneとMacをケーブルで接続して行います。






手順4:AppleCare+(AppleCareプラン)の解約/移行を確認
iPhoneを下取り・売却する前に、AppleCare+などのAppleCareプランに加入している場合は、解約するか、新しい所有者へ移行するかを確認しておきましょう。AppleCareプランはデータ消去とは別の手続きのため、端末を手放したあとに気づくと手間が増えます。
月払い/年払い(サブスクリプション)の場合
Appleから請求される定期払いのAppleCareプランは、iPhoneの「設定」にあるApple Accountのサブスクリプションから解約できます。オンライン(Apple Accountの「サブスクリプション」)から解約することも可能です。
一括前払い(固定期間)の場合
固定期間のAppleCareプランを一括前払いで購入している場合は、いつでも解約できます。売却や譲渡の際は、解約の代わりに新しい所有者へプランを移行することも可能です。
※通信事業者や販売店経由で加入したAppleCareプランは、加入元(通信事業者・販売店)への問い合わせが必要になる場合があります。
手順5:Apple Accountからサインアウト(「探す」をオフ)
下取り・売却でいちばん多い失敗が、「探す」をオンにしたまま渡してしまうケースです。これを防ぐには、Apple Accountの紐づけを解いて、iCloud、iTunes、App Storeからサインアウトすることです。


参考:ここで「消去せずにサインアウト」を選んだ場合、Apple Accountとのひも付けは解除されて「探す」もオフになりますが、写真、連絡先、アプリ、パスワードなどのデータはそのまま残るので、そのまま下取りに出したり売却・譲渡することはできません。
手順6:iPhoneを初期化(「すべてのコンテンツと設定を消去」)
手順5で「このiPhoneを消去」を選んだ人は、この手順は重複するのでスキップしてOKです(「消去せずにサインアウト」を選んだ人、またはサインアウトせずに進めたい人は、ここで消去します)。
※手順5を飛ばしてここを行っても自動的に Apple Accountからのサインアウトは行われますが(途中で Apple Accountのパスワード入力が求められます)、Apple公式はトラブルを防ぐために「事前にサインアウト」を推奨しています。





下取り・売却に出す場合は「eSIMをすべて削除してデータを消去」を選んで回線情報(電話番号・契約)が端末に残らないようにしましょう。
一方、iPhoneを自分で引き続き使う場合は「eSIMをすべて保持してデータを消去」を選ぶと初期設定が楽です。

手順7:物理的な仕上げ(SIMカード・掃除)
画面が「こんにちは」になったら初期化完了です。最後に物理的な処理を行います。
SIMカードを抜く
SIMカードには電話番号などの契約者情報がひも付いているため、必ず抜き取ってください。
清掃
指紋や汚れをメガネ拭きなどで拭き取ります。特にLightning/USB-C端子の中のホコリを取り除くだけで、充電不良などの誤解による査定ダウンを避けられます。
下取り・買取・譲渡で変わる「最終チェック」
共通作業が終わったら、手放す相手に合わせて最終確認を行いましょう。
A. 「下取り」に出す場合(Apple Trade In/キャリア)
・キャリアの条件を確認
画面割れや水没マークの反応があると、下取り不可または大幅な減額(故障品扱い)になるケースがあります。
・付属品は不要な場合が多い
Apple公式の下取り(Trade In)などは、本体のみの送付でOKな場合がほとんどです。箱やケーブルを送っても査定額は上がりません(リサイクルされます)。
B. 「買取店」に売る場合(イオシス、じゃんぱら等)
・付属品で査定アップ
箱、ケーブル、説明書、SIMピンなどが揃っていると査定額が上がります。
・状態の申告
傷やバッテリーの劣化具合は、オンライン査定時に正直に申告しましょう。現物確認時に申告外の傷があると減額対象になります。
・SIMロック解除
古い端末(iPhone 12以前など)の場合、SIMロック解除をしておくと買取価格がアップすることがあります(日本国内で販売されたiPhone 13以降のモデルは、原則としてSIMロックがかかっていません)。
C. 「知人・家族」に譲る場合
・初期設定のサポート
相手が詳しくない場合、「こんにちは」の画面からWi-Fi設定まで済ませて渡してあげると親切です。
・Apple Accountの確認
自分のIDが完全に消えているか、相手のIDでログインできるかを渡す場で行うのが安心です。
状態別トラブルシューティング:こんなときは?
Q. パスコードを忘れて初期化できない
A. iPhoneがiOS 15.2以降を搭載していて、かつネットワークに接続されている場合は、デバイスのロック画面でパスコードの入力を試し、「iPhoneは使用できません」と表示されたら、その画面の右下に表示される「パスコードをお忘れですか?」をタップし、Apple Accountのパスワードを入力することで、PCを使わずに初期化が可能です。
上記の方法が使えない場合(iOSが古い、Wi-Fi等に繋がっていない場合など)は、MacまたはWindows PCに接続し、リカバリモードにして強制初期化(復元)を行う必要があります。MacまたはWindows PCを持っておらず、誰かに借りることもできない場合は、Apple Store直営店またはApple正規サービスプロバイダに相談しましょう。
Q. 画面が割れて操作できない
A. 画面の損傷が激しく、タッチ操作がまったく反応しない場合は、「iPhoneを探す」の解除やデータ消去操作が困難です。 この場合、ハードウェアの修理が必要になる可能性があります。無理に操作を行わず、Apple Storeまたは正規サービスプロバイダへ持ち込むか、Appleサポートへ連絡して修理サービス(画面の修理など)について相談しましょう。
Q. 電源が入らない
A. 電源が入らない端末は、端末上の操作で個人情報を消去できません。多くの買取店では、データ消去ができない端末はジャンク品扱いとなります。
Q. Suica・PASMOを削除せずに初期化してしまった! 残高はどうなる?
A. 残高はApple Accountに紐づいてサーバ上で管理されているため、消失せず復元可能です。
iPhoneの「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行すると、通常はそのプロセスの一環として、Wallet内のカード情報もAppleのサーバから切り離す処理(削除処理)が自動的に行われます。そのため、基本的には手動で削除したときと同じ状態になります。
ただし、通信環境が不安定な状態で初期化された場合など、サーバ側で「まだ古いiPhoneにカードが入っている」と誤認識されたままになることがあります。その場合でも、以下の手順で復旧可能です。
【復旧手順】新しいiPhoneでの操作
- 新しいiPhoneで、旧端末と同じApple Accountでサインインする。
- 「ウォレット」アプリを開く。
- 右上の「+(追加)」ボタンをタップ。
- 「以前ご利用のカード」という項目が表示されるので、それを選択。
- サーバに残っているSuicaやPASMOが表示されるので、選択して追加する。
注意点:すぐに復活できないケース
もし「このカードは他社製の端末で使用中です」といったエラーが出る場合や、翌日朝5時までの深夜メンテナンス時間帯にかかってしまった場合は、翌朝まで待ってから再試行してください。サーバ側の情報の更新に時間がかかっているだけですので、残高が消えることはありません。
【保存版】iPhone手放し前チェックリスト
最後に、作業漏れがないか確認しましょう。
共通チェックリスト(必須)
・Apple Watchのペアリングを解除した
・WalletアプリからSuica/PASMOをすべて削除した
・LINEのトークのバックアップをした
・写真やデータをバックアップした
・AppleCare+(AppleCareプラン)の解約/移行を確認した
・「Apple Account」をサインアウトした
・「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行し、「こんにちは」画面になった
・SIMカードを抜き取った
・eSIMを削除した
買取店に売る際のプラスα
・箱、充電ケーブルなどの付属品を揃えた
・端末をきれいにクリーニングした
・(必要な場合)SIMロック解除手続きをした
iPhoneの下取り・売却準備は、順序さえ守れば決して難しくありません。このガイドを参考に、大切なデータを守りつつ、スムーズに新しいiPhone生活をスタートさせてください。
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