PDFの長所と短所
特定のハードウェア・ソフトウェアに依存せず文章や図版を表示できるフォーマット「PDF(Portable Document Format)」。現在では公文書にも使われるなど幅広い分野で活用されていますが、macOSでは最初期の段階から描画エンジン・QuartzにPDFの技術が使われています。
macOSやiOSではソフトの追加なしにPDF出力が可能なことは、この技術的背景と無関係ではありません。出力先をプリンタから「PDF」に変更するだけで、紙へ印刷するそのままの内容・レイアウトをPDFとして保存できるのです。
OS標準のPDFビューア兼簡易編集アプリとして「プレビュー」が提供されるほか、Mac OS X 10.4以降はPDFKitというフレームワークの形で整備され、iOS 16/macOS Venturaではテキスト認識表示/Live Textが実装されるなど、PDFというフォーマットの可能性を広げています。
とはいえ、PDFは便利な反面扱いづらいもの。基本的に紙へ印刷する内容を外観を保ちつつファイル化したもので、生成後の自由な変更は想定されていないため、ワープロ文書ほど思いどおりに編集できません。
そこで今回は、「PDFの出力&編集テクニック」と題し、システムに用意された機能だけでOKの便利な使い方を紹介します。

そのまま出力するだけなら「書き出す」
macOSにはシステム標準の機能としてPDF出力がサポートされていますが、その手段は「書き出す」と「プリント」の2種類が存在します。生成されるPDFに大きな差はないものの、用途に応じて使い分けましょう。
「書き出す」はPagesやNumbersなど多くのアプリにサポートされ、「ファイル」メニューの項目として用意されています。Pagesを例にすると、メニューバーから[ファイル]→[書き出す]→[PDF…]の順に操作すればPDF出力用ダイアログが現れます。
この操作方法は、出力にコメントを含めるかどうか、開くときパスワードを求めるどうか程度の簡易な設定しかできませんが、詳細オプションでアクセシビリティをオフにすると、文章読み上げ用の情報などがPDFに埋め込まれなくなり、結果として出力するPDFのファイルサイズが小さくなります。

出力をカスタマイズするなら「プリント」
PDFはメニューバーから[ファイル]→[プリント]を実行すると現れる印刷ダイアログでも出力を指示できます。紙へ印刷するときと同様に、仕上がり(プレビュー)を確認してからPDFの出力を実行できるため、失敗がありません。
この印刷ダイアログを使う方法は、PDF出力のバリエーションを大幅に増やします。プレビューをクリックして出力する/しないページを選択したり、縦向きのページを90度回転させ横向きにしたり、レイアウトを変更して1シートあたりに出力するページ数を増やしたり、さまざまな処理を施したうえでPDFとして出力できます。このような出力内容のカスタマイズは、「書き出す」では対応できません。
出力済のPDFを使えば、割り付け印刷ならぬ「割り付けPDF」もかんたんに作成できます。たとえば、「プレビュー」アプリでA4用紙1ページの文書を開いているとき、印刷ダイアログのプレビュー欄で[1ページあたりの印刷部数]を「4」に設定すれば、1枚のシートに4ページ分のデータを割り付けたPDFを作成できます。

ウォーターマークを挿入する
印刷ダイアログを使うPDF出力で是非マスターしておきたいのが、ウォーターマーク(透かし)を追加するテクニックです。機密性の高い文書に「Confidential」や「極秘」と重ね書きしておけば、取り扱い注意の文書だと一目瞭然、安易な印刷や第3者への流出を妨げることができます。
手順はかんたん、印刷ダイアログのウォーターマーク欄にある「ウォーターマークを適用」スイッチをオンにして、テキストボックスにウォーターマークとする文字列を入力します。[あぁ]ボタンをクリックすればフォントの種類とサイズを調整できるため、ウェイトが大きい(線の太い)文字にすることもできます。表示位置もページの上下左右と斜めの5種類から選べるため、目立ち度合いを調整できます。
ただし、この方法では色を指定することができません。ウォーターマークの透明度を調整する機能もないため、ウェイトが大きいフォントを使用すると、下の文字が読めなくなる場合もあります。

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著者プロフィール
海上忍
IT/AVコラムニスト。UNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作多数。テクニカルな記事を手がける一方、エントリ層向けの柔らかいコラムも好み執筆する。執筆以外では、オーディオ特化型Raspberry Pi向けLinuxディストリビューションの開発に情熱を注いでいる。2012年よりAV機器アワード「VGP」審査員。









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