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iPhone Airの画角と表現を拡張! 実家から発掘したコンバージョンレンズ&偏光フィルタを試してみた

著者: 大谷和利

iPhone Airの画角と表現を拡張! 実家から発掘したコンバージョンレンズ&偏光フィルタを試してみた

ご存知のように、iPhone Airに搭載されているカメラは1基で、48MPで26mm相当の広角と、12MPで52mm相当の2倍望遠機能のみがサポートされている。

普段はこれで不便を感じないが、何かの折には、以前に使っていたiPhone 14 Pro Maxのような3倍望遠や0.5倍超広角、そしてマクロ撮影機能があればと思うこともある。ここでは、そうした画角を補うコンバージョンレンズと反射を抑える効果のある偏光フィルタの使い心地をレポートする。

実家から出てきた昔のコンバージョンレンズと偏光フィルタ

iPhone Airを購入した後、たまたま実家を片付けていたら、まだiPhoneのカメラが標準で1基だった頃に入手した、ノーブランドのコンバージョンレンズと偏光フィルタが出てきた。

今でもケンコーをはじめ、いくつかのメーカーからiPhone用に洗濯バサミのようなバネ式のクリップで取り付ける方式のコンバージョンレンズやフィルタ類は色々と販売されているが、倍率のバリエーションが増えたりしているほかは、基本的な機能に違いはない。

そこで、改めてこれらのレンズとフィルタをiPhone Airとの組み合わせで試してみることにした。iPhone Air以外のモデルでも有用な機能もあるので、ぜひ作例写真と併せてご覧いただきたい。

ワイド(x0.7)、テレ(x1.5)、マクロ、偏光フィルタの4つのアクセサリは、100円ショップで購入した内ポケット付きのポーチに入れて持ち歩いている。
レンズの取り付けは、円弧を描く樹脂パーツの弾力を利用して行う。現在販売されている製品では、バネ式のクリップを取り付ける方式が主流だ。




望遠の力を引き出す! “使いで”のあるテレコンバージョンレンズ

まず、テレコンバージョンレンズだが、これはメリットがわかりやすい。手元の製品の倍率は1.5倍だが、iPhone Air本体の2倍相当の望遠と組み合わせれば3倍になるので、感覚的には以前に使っていたiPhone 14 Pro Maxと同等の最大倍率が得られることになる。

細かいことをいえば、フォーカスが多少甘めになり、色収差も生じているが、日常的な利用には差し支えない範囲にあるといえる。

また、実際に比較してみないことにはわからないが、最近のバージョンレンズにはより進んだ光学設計が施されている可能性があり、画質も向上しているかもしれない。少なくとも、手元のものより性能が落ちることはないと思うので、iPhone Airユーザだけでなく、望遠機能がない、あるいは弱い標準モデルやSEのユーザも、1つ備えておくと重宝しそうだ。

公園の風景をiPhone Airの26mm相当の広角で撮影した、基準となる写真。
同じ風景を52mm相当の2倍望遠で撮影した写真。
2倍の望遠とx1.5のテレコンバージョンレンズを組み合わせて撮影した写真。これで、以前に愛用していたiPhone 14 Pro Maxの3倍望遠相当の写真となる。

驚くほど寄れるマクロ撮影

マクロコンバージョンレンズは用途が限られるものの、植物などのディテールを観察するような場合には、驚くほどの機能を発揮してくれる。作例を見ていただくとわかるが、もし2枚目のような中間的な拡大写真がなく1枚目と3枚目だけだったら、どこをマクロ撮影したのかをすぐには特定できないほど、被写体の近くまで寄ることができる。

また、本体のレンズとコンバージョンレンズの中心がきちんと合っていれば、問題になるような周辺光量落ちも発生しない。そのため本体にマクロ機能がないが、時々は接写できればと思うようなシチュエーションもあるという、iPhoneモデルのユーザにはオススメの1本だ。

植物の葉を26mm相当の広角で撮影した例。
マクロコンバージョンレンズを付けると、かなり寄った写真を撮ることができる。
さらに、2倍望遠とマクロコンバージョンレンズの組み合わせでは、ここまで近くに寄って撮影できるようになる。




Proシリーズにも有効な偏光フィルタ

偏光フィルタが提供する機能は、現時点ではどのiPhoneモデルにもサポートされていない。この偏光フィルタは、あると便利なカメラアクセサリの筆頭といえるだろう。その機能とは、レンズに入る被写体の反射を抑えて、肉眼では捉えきれないものが見えてくるというものだ。

普通はさまざまな方向に振動しながら進む光が、反射によって特定の方向にのみ振動するようになる。このように、振動の向きが揃った光をカットするのが偏光フィルタの役割だ。

たとえば、水面の反射を抑えて水中にあるものを見えやすくしたり、ショーウィンドウ内の被写体を撮る際にガラスの反射が邪魔な場合などにも効果的に利用できる。

小川を素のレンズで撮影すると、水面の反射で水底が見えにくいが…。
偏光フィルタを付けると、このようにクリアな写真を撮ることが可能だ。

なお、偏光フィルタがカットできる光の振動の方向は一定なので、撮影時には、もっともよく反射が抑えられるところまで偏光フィルタを回してからシャッターを切るようにする。

PLフィルタなしの画像。巨大なガラス窓の向こうに展示されている実物の蒸気機関車の撮影も、ガラスに反射した周囲の風景が邪魔となってしまう。
PLフィルタありの画像。偏光フィルタによって反射はかなり軽減され、蒸気機関車の本体が見えるようになった。

ワイドコンバージョンには難もあるが…

最後にワイドコンバージョンレンズだが、一般的にこれは周辺部分の歪みが大きくなったり、流れたりする傾向が出やすくなる。

ある程度は覚悟していたが、手持ちのものとiPhone Airとの組み合わせでは、こうした特性が極端に現れ、まるで高速移動しながらスローシャッターを切ったように極端な周辺部の流れが発生した。

そのため、本来の目的である超広角撮影には向かないものの、特殊効果レンズとしてならば使い道もありそうだ。

ワイドコンバージョンレンズのテスト撮影は噴水で行ってみた。
たしかにワイドにはなったものの、周辺が激しく流れてしまう。たとえば、スピード感を出すなどの特殊効果的に使ったりすると良さそうだ。

ワイドコンバージョンレンズは、このように実際に取り付けて撮影してみないと、相性がわからないので難しいところがある。もしも購入される場合には、現在市販されている同様の製品でもそのような特性があることを知っておくとよいだろう。




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著者プロフィール

大谷和利

大谷和利

1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、神保町AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。

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