AppleはiPhoneの累計出荷台数が30億台を超えたと発表した。2018年以降、出荷台数を公表をしてこなかった同社がなぜ、この節目を強調したのか。その背景には、持続的成長戦略への本格的な転換がある。
※この記事は『Mac Fan』2025年11月号に掲載されたものです。
iPhoneの販売台数は横ばい。アナリストの分析によると、見えるのは「市場の底堅さ」
2025年4〜6月期の決算発表で、ティム・クックCEOはiPhoneの累積出荷台数が30億台を超えたと報告した。
この数字はマイルストーン到達以上の意義を持つ。Appleは2018年7〜9月期を最後に、デバイスの出荷台数の公表を停止してきたからだ。その間約7年、アナリストによるAppleの事業分析は、さまざまなデータから推定した出荷台数に基づくものだった。しかし、30億台という公式データが示されたことで、これまでの推定との誤差を修正した、より正確な分析が可能となったのだ。

分析を更新した著名アナリスト、ホレス・デディウ氏は、30億台という数字により「iPhone市場の底堅さ」が裏づけられたと分析した。現在の販売台数は過去最高水準ではないものの、コロナ禍ピーク後の落ち込みから回復し、高い水準で安定している。
伸び続けるiPhoneのユーザ数。アクティブデバイス数は23億5000万台を突破
これは出荷台数のみで判断するなら「伸び悩み」しているが、iPhoneのユーザ数の伸びは停滞していない。Appleが年初に公表しているアクティブデバイス数(実際に使われているデバイス総数)では、2023年1月に20億台を突破し、2025年1月時点で23億5000万台に達している。
デディウ氏は、Appleの健全性と持続性を判断する指標として、iPhone、iPad、Macを合計したアクティブデバイス数を累計出荷台数で割った比率を算出している。これは、過去に販売されたデバイスのうち現在も稼働している割合を示し、製品寿命の長さやユーザとのつながりの深さ、満足度を反映したものだ。Appleは、この比率が驚くほど安定している。

このことから、Apple製品は長く使われ続けていることがわかる。加えて、新デバイスの販売も堅調な水準を維持しているため、アクティブデバイス数が増加しているのだ。
「iPhone衰退論」の否定。成長の時代から、持続的な価値創造の時代へ
この盤石なユーザ基盤を原動力に、サービス事業が過去10年以上にわたって2桁成長を継続し、今やApple全体の成長エンジンとなっている。Appleはアクティブユーザの継続的な拡大を通じて、安定的で予測可能な収益構造を構築しているということだ。
最新情報から、デディウ氏はスマートフォン市場の飽和による「iPhone衰退論」を明確に否定した。Appleは成長を続けており、今もiPhoneがその中心的役割を担っていることに変わりはない。
ただし、その成長の本質は、根本的な変化を遂げようとしている。販売台数が牽引する爆発的な成長の時代は終わりを告げ、エコシステムを基盤とした持続的な価値創造の時代へと移行している。
今後のAppleの成功は、次の10億台のiPhoneを売ることよりも、すでに存在する数十億人のユーザとの関係をいかに深めるかにかかっているのではないか。
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