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「Photoshop」や「Illustrator」の実践テクがSNSで話題。デザイナー・タマケンさんインタビュー。マルチな業務経験を強みに変える唯一無二のスタイル/林檎職人

著者: 山田井ユウキ

「Photoshop」や「Illustrator」の実践テクがSNSで話題。デザイナー・タマケンさんインタビュー。マルチな業務経験を強みに変える唯一無二のスタイル/林檎職人

タマケンさんは学生時代、テレビドラマ「恋ノチカラ」を観てデザイナーという職業に憧れを抱いた。その憧れはリアルな将来の夢となり、美術大学に進学するために両親を説得。熱意に理解を示し、予備校に通わせてくれたという。

「結局、2浪して多摩美術大学に入学しました。ただ第一志望のグラフィックデザイン学科には入れず、夜間の造形表現学部(現在は廃止)に通うことになったんです」

学校ではポスターやタイポグラフィ、映像、Web、アニメーションなど多分野を学び、3年生からはデジタル学科を選択した。第一志望でないからといって腐ることなく、何でも意欲的に吸収したというタマケンさん。また、昼間は書籍系のデザイン事務所でアルバイトをして、DTPの技術を身につけた。

「最初は夜間学部なのが嫌でしたが、結果的には日中に実務を学ぶことができるという、ほかの学生と違う経験を積めてよかったです」

こうした貪欲な姿勢が、タマケンさんのデザイナーとしてのスタイルに大きな影響を与えていくことになる。

タマケンさん プロフィール

福岡県出身。多摩美術大学造形表現学部を卒業後、アパレル企画会社、広告代理店、Web制作会社などでデザイナーとしてのキャリアを積む。現在はフリーランスとして活動。SNSでの発信が人気を集め、国内外に多くのフォロワーを持つ。書籍の執筆やセミナー講師、企業向け研修なども手がけるほか、「Adobe Community Evangelist」も務める。2025年10月23日には、マイナビ出版より『イラレで3D Illustratorではじめる3Dデザイン入門』を出版した。
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イラレで3D  Illustratorではじめる3Dデザイン入門

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タマケン
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アパレル会社、広告代理店、事業会社でデザイナーのキャリアを形成。個人ブログで情報発信も

ターニングポイントとなったのは、もう一つのアルバイト先だった飲食店。店舗のクリエイティブ全般を担当することになったのだ。名刺、看板、ロゴ、メニューなど、あらゆるデザインを手がけた。

「常連さんの中にアパレルのデザインをしているお客さんがいて、『うちでアルバイトをしてみないか』と声をかけていただきました」

誘われるがまま、アパレルの企画会社に入社したタマケンさん。卒業後はそのまま同社に就職し、デザイナーとしてのキャリアを本格的にスタートさせた。

「そこでは2年ほど働きました。学生時代、アパレル業界に入るとは思ってもいませんでしたが、Tシャツのグラフィックや柄物のデザインなどを手がけることは、とても楽しかったですね」

その後、広告代理店を経て事業会社に入社し、インハウスのデザイナーとして働き始める。もっとほかのデザイナーとのつながりが欲しかったこと、そして副業が認められていたことから情報発信をはじめようと思い立ち、ブログ「DesignSpot」を開設した。




タマケンさんの“経験”が、悩める人の心を掴む。気づけばフォロワー総数は40万以上に

最初はなかなか数字が伸びず、記事の宣伝をするためにSNSでの発信もスタート。すると、むしろそちらの反響のほうが大きくなった。経験者だからこそのツボを押さえたデザインツールの解説コンテンツが、同じ悩みを抱える人たちの心を掴んだのだ。

以降、書籍の執筆、セミナー登壇、タイアップなど仕事が次々に舞い込み、インフルエンサーとしても一躍脚光を浴びることとなった。

現在はフリーランスデザイナーのタマケンさんだが、独立する前にはWeb制作会社でも勤務していた。そこでは、Webデザイナーやディレクターも経験している。紙、アパレル、広告、Web。気づけばあらゆる分野におけるデザイン業務を経験したタマケンさんは、業界でも稀有な存在だとか。

フリーランスとなった今、会社に代わる拠点はSNSだ。それを強く意識しているからこそ、多忙の中でも発信を欠かすことはない。X、Instagram、YouTubeのフォロワーの総数は、40万人以上にのぼる。

特にインスタグラムは、英語字幕が欲しいという視聴者からのコメントに対応したところ急成長を遂げた。国内外を問わず、支持を拡大させている。

愛用マシンはM1 Max搭載のMacBook Pro。「整備済製品」でお得に購入

そんなタマケンさんの活動を支えているのがApple製品だ。はじめてMacに触れたのは、美術大学の授業。同時期、自主学習用として21インチiMacを購入し、2012年には27インチのiMacに買い替えた。

そして、Web制作会社でディレクターを務めるようになったころ、会社からMacBook Proが支給された。負荷の高い作業も楽にこなせる性能と軽快さに惚れ込み、独立時にはM1 Max搭載の16インチMacBook Proを購入。現在も同じマシンを使い続けている。メモリは32GB、ストレージは1TBを選択し、Appleの整備済製品からお得な価格で入手したという。

メインマシンであるM1 Max搭載の16インチMacBook Pro。パソコンスタンドに配置し、内蔵ディスプレイとApple純正のMagic Mouseでデザインワークを行っている。




MacBookの内蔵ディスプレイと外部ディスプレイの使い分け。「ユーザ」を意識したデザインワーク

デザイン業務は自宅で行うため、MacBook Proを持ち出すことはほとんどない。外部ディスプレイも接続しているが、デザイン業務はMacBook Proの内蔵ディスプレイで行うというのがユニークだ。

「外部ディスプレイは、チャット画面を表示したり、制作物の表示確認に使用したりしています。解像度もそこまで高くないし、厳密なカラーキャリブレーションもしていないごく普通のディスプレイです。制作したデザインが一般のユーザからどのように見えるのかを確認したいので、あえてこのような環境にしているのです」

最近は外出や出張が増えたため、持ち運びやすいM4搭載のMacBook Airも購入した。メモリは24GBとデザインワークにも対応するスペックだが、あくまで事務仕事や、ちょっとした修正業務などに使う想定だとか。

持ち出し用に購入したというM4搭載MacBook Air。本格的なデザインワークには使用していないというが、メモリは24GB構成と、クリエイティブにも十分な性能を備えたスペックだ。
M1搭載の16インチMacBook Proに常時接続されている、SSDとUSBハブ。メーカーやスペックにあまりこだわりはなく、Amazonなどで用途に合ったものを選んでいるとか。

「使えるものは全部使っていきたい」。タマケンさんが考えるAIとの付き合い方。

使用するアプリについては、デザイナーのデファクトスタンダードとも言えるAdobeソフトはもちろん、デザインツールの「Figma」、そして「ChatGPT」も必須になっているとか。

「もうChatGPTなしでは仕事ができないレベルです。書籍の執筆やメールの返信、資料作成など、さまざまな業務で助けられていますね。生成AIのようなテクノロジーを嫌う人もいますが、僕は使えるものは全部使っていきたいと考えています」

類まれな発信力が注目され、書籍はすでに4冊出版している。『Photoshop & Illustrator & Firefly 生成AIデザイン制作入門ガイド』は5刷目の重版に加え、韓国での出版も決定するなど大ヒットを記録中。そして2025年10月23日、マイナビ出版から『イラレで3D Illustratorではじめる3Dデザイン入門』を出版した。

現在は時間の多くを講師、書籍執筆、SNS発信に費やしており、クライアントワークの割合がかなり減っているというタマケンさん。

ただ、情報を発信するためにも実務の最前線にいることが重要だと考えているため、今後はクライアントワークの割合を増やしていきたいと話す。その際、法人化して小規模なチームで活動することも視野に入れているそうだ。




国内外で支持されるタマケンさんの発信。“行き当たりばったり”で培った唯一無二のスキル

これまでのキャリアを振り返り、「行き当たりばったりでやってきただけです」と謙遜するタマケンさん。

だが、その“行き当たりばったり”で培ってきたマルチなスキルこそが、現在のタマケンさんを作り上げたのだ。きっと、これからも業界の常識にとらわれることなく、波を乗りこなすように活躍を続けるのだろう。

自宅を兼ねる仕事場には、タマケンさんのデスク以外にもう一つのデスクが設置されている。それは、タマケンさんと同じくデザイナーである妻のもの。イラスト系が得意ということもあり、iPadとApple Pencilを使用している。タマケンさんから妻へ、デザイン用のイラスト素材を依頼するなど、夫婦で共作することもあるとか。
Instagramアカウントは、海外需要の高まりを受けてフォロワーが急増中。執筆時点では11.4万人に達している。そして、Xのフォロワーは12万超。デザインの実務経験からくる、実用的かつかゆいところに手が届く解説コンテンツは、国内外問わず、幅広い層から支持を得ている。
タマケンさんのデザインワークの例。写真やイラスト素材を巧みに使いながら、生成AIも利用しているという。取材時には、Adobe Fireflyの活用法やテクニックをレクチャーしながら実演してくれた。

※この記事は『Mac Fan』2025年11月号に掲載されたものです。

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著者プロフィール

山田井ユウキ

山田井ユウキ

2001年より「マルコ」名義で趣味のテキストサイトを運営しているうちに、いつのまにか書くことが仕事になっていた“テキサイライター”。好きなものはワインとカメラとBL。

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