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坂本龍一がラブコール。“弾ける”オルゴール「CANADEON」を試してみた! MIDI不要で直接弾ける「ORPIA」もクラシック音楽好きの心をくすぐる!

著者: 中臺さや香

坂本龍一がラブコール。“弾ける”オルゴール「CANADEON」を試してみた! MIDI不要で直接弾ける「ORPIA」もクラシック音楽好きの心をくすぐる!

“演奏できる”オルゴールがあるらしい。楽器好きとして試したい!

楽器が好きで、幼いころからピアノを習ってきました。クラリネットを吹いていたこともあり、クラシック音楽の楽器が奏でる音色には、ずっと魅了され続けています。最近では、美しい音をもっと深く味わいたくて、バイオリンのレッスンにも通い始めました。

そんな私が、ある日耳にしたのが「CANADEON(カナデオン)」というオルゴールの存在です。オルゴールといえば、ゼンマイを巻いて鳴らすもの。そんなイメージを持っていたのですが、「CANADEON」はまったく違いました。なんと、MIDIキーボードと接続することで、自分の演奏を“本物のオルゴールの音”で鳴らすことができるというのです。

実は私、オルゴールの音が大好きで、自宅にもいくつか置いています。気が向いたときに鳴らしては、その優しい響きに癒されてきました。でも、それはあくまで聴くもので、奏でるものではありません。そんなオルゴールで、自分の演奏ができるなんて!

これは、ぜひ試してみたい。そこで「CANADEON」をお借りして、その魅力をじっくり味わうことにしました。

高級感のある美しいデザインにテンションが上がります。同じく木を使って作られている、クラリネットやバイオリンとの相性もバツグン!

CANADEON 40 Standard

【発売】
SRIC
【価格】
38万5000円

【URL】 https://www.canadeon.jp/40_index.html




iPhoneと連係してオルゴールの音を楽しめる! バッハやリストなど名曲がたっぷり

CANADEONにはユニークな魅力がたくさん詰まっていますが、まずはシンプルに“オルゴールとして”音を楽しんでみましょう。

木の質感が美しく、まるで高級ホテルの備品や美術品のような佇まいのCANADEON。実は、見た目に反して音の鳴らし方はとても現代的なんです。iPhoneと専用アプリ「CANADEON PW Player」を使って曲を選ぶことで、音を鳴らす仕組みです。

①CANADEONの背面にあるMIDIポートに、Bluetooth MIDIインターフェイスを接続します。今回は、キッコサウンドさんという会社の「mi.1 II」という製品を使いました。
②専用アプリ「CANADEON PW Player」を起動したら、「Bluetooth接続」をタップ。
③すると「mi.1 II」と表示されるので、これをタップしましょう。
④するとCANADEONとiPhoneがBluetooth接続されます。手順②で「プレイリスト」を選び、収録されている楽曲の中から聴きたいものを選んでみましょう。

これで設定は完了です。では実際に、音を聴いてみましょう!

クリスマスソングの「もろびとこぞりて」を流してみました。明るいメロディながらも、少し切ない音色がして、どこか懐かしい気持ちになります。ほかにも、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」や、リストの「ラ・カンパネラ」など、クラシックの名曲を中心に、誰もが一度は耳にしたことのあるようなフレーズが収録されています。

いかがでしょうか? 専用のマイクを使わずに録音したものなので、魅力を100%お伝えするのは難しいのですが、それでもふわっと音が立ち上がり、空気を優しく震わせながら部屋に広がっている様子が伝わるのではないでしょうか。

オルゴールなのに、どんなに長い曲でも楽しめる! その秘密は“デジアナ”融合にあり

また、CANADEONの魅力のひとつに、“曲の長さに関係なく自由に演奏できる”点があります。

従来のオルゴールは、円盤やシリンダーに刻まれた限られた情報をもとに音を鳴らすため、演奏できる曲の長さや種類に制限がありました。

対してCANADEONは、MIDIという演奏データを使うため、どんなに長い曲でも演奏することができます。

仕組みとしては、CANADEONがiPhoneアプリやMIDIキーボードから信号を受け取ると、CANADEON内部の電磁装置(マイクロソレノイド)が動きます。それにより、クラッチが外れて爪車が回転し、振動板を物理的に弾いて音が出るという流れです。

しかも、櫛歯の数は40弁(一般的なオルゴールは18弁)と充分な数を搭載するため、複雑な曲もしっかり再現することが可能です。

この音の粒の細かさや美しい余韻は、実際に物理的な機構が動いて鳴っているからこそ。近くで見ると、櫛歯(くしば)が動いている様子がわかります。一般的なオルゴールはこのような機構が内部に組み込まれていることが多いので、動いている様子を見れるのも楽しいですよね。

ところで、このCANADEONの開発の背景には、開発者である藤原さんの「楽器を練習してもなかなか身につかなかった」というご自身の経験があります。「楽器が弾けないなら、自分は楽器を作る側になろう。せっかくなら、世の中にない楽器を作りたい」と考えたのだそうです。

今回、藤原さんとお話しをする機会をいただき、印象に残った言葉は「楽器があると心が安らかになる」というもの。「“自分のためのオルゴール”として、ジュークボックスのように楽しめる楽器を目指したんです」藤原さんのそんな想いが、この美しい音に込められているのです。

ちなみに、音量の調整は本体側面のつまみを回して行います。また、上部のくぼみも“持ちやすさ”にこだわりって施されたデザインだそうです。




MIDIキーボードにつないで演奏! 電子楽器から流れる“アナログサウンド”はロマンたっぷり

そして、CANADEONのもうひとつの魅力が、“演奏できるオルゴール”であるという点です。MIDIキーボードと接続することで、自分の演奏をCANADEONから鳴らすことができるのです。

セットアップは簡単で、CANADEONの背面にあるMIDIポートにMIDIケーブルを接続し、そこにキーボードをつなげばOK!

シンプルなので操作に迷うことはありませんでした。

実際に弾いてみたところ、“電子楽器を弾いているのに出力される音はアナログ”というロマンにときめきが止まりませんでした。しかも、演奏中は櫛歯も連動するので、まるで音が可視化されるようで、この体験はほかの楽器では味わえないのではないでしょうか。

また、MIDIキーボードを使うことのメリットとして個人的にうれしかった点は、オクターブの移動が自由自在なこと。ボタンひとつでオクターブを切り替えられるので、音域の広い曲も楽しめます。音色的に、クラシック曲はもちろん、お琴のような和風な曲を奏でるのも素敵ですよね。

MIDIキーボードに搭載されている切り替えボタンを押すことで、スピーディにオクターブの上下を切り替えられます。

また、USB MIDIインターフェイスを使えば、DAWで作った曲をCANADEONで再生することも可能です。

“CANADEONを直接弾きたい”坂本龍一さんのひと言から生まれた楽器「ORPIA」も体験!

今回、CANADEONと一緒に、もうひとつ特別な楽器をお借りすることができました。その名は「ORPIA(オルピア)」。実はこの楽器、坂本龍一さんがCANADEONの音を聴いた際に「これ、直接弾けたらいいのに」と語ったことがきっかけでYAMAHAと共同開発されたものなのだそうです。

ORPIAは、CANADEONと同じくオルゴールの櫛歯を使って音を鳴らす楽器です。そのため、鍵盤を押すと「カチッ」とした感触を指に感じることができます。それが櫛歯を物理的に弾いている証。

鍵盤は37鍵あるので、演奏の幅も広いです。また、ORPIAは電源を必要としないため、持ち運んで好きな場所で演奏できる点も魅力でしょう。

本体には、マホガニーの木が使われており、見た目にも重厚感があります。
ORPIAの内部機構。サンプリングではなく、本物のオルゴールの構造がそのまま組み込まれているので、鍵盤を弾けばオルゴールの音で演奏がすることができます。イメージとしては、ピアノよりも、弦楽器であるギターなどが近いでしょうか。

ORPIAの音色はというと、実際に演奏していると、ペットのうさぎが気持ちよさそうに寝てしまったほど。音はとても温かく、伸びやかで、ピアノとは違った柔らかさを感じました。

「メヌエット ト長調」を弾いてみました。G-durの上品な旋律が、ORPIAのかわいらしい音の響きとよく合います。
バイオリン初心者の私が練習を始めると、不機嫌になることが多いうちのうさぎ。ORPIAの音色は心地いいようです(笑)。

ピアノが芯のある音がするとしたら、ORPIAはどこか軽やかな感じがします。“触って遊ぶだけで心を穏やかにする”そんな力を、この楽器は持っているように感じました。

ORPIAの背面には、音響機構へのアクセスを可能にするメンテナンス設計が施されています。オルゴールの櫛歯は定期的な調律が必要なく、内部調整の際はこのネジを開けて行うのだそう。

ORPIA

【発売】
SRIC
【価格】
55万円

【URL】 https://www.canadeon.jp/orpia_index.html




CANADEONとORPIAは二子玉川の蔦屋家電+で展示中!

開発者の藤原さんとお話ししたところ、CANADEONやORPIAといった楽器の名前にも、ちょっとした工夫があるのだとか。

それは、なんと“親父ギャグ”。音を奏でるから「CANADEON(奏で音)」、オルゴールとピアノを掛け合わせて「ORPIA(オル、ピア)」。ほかにも、「ベルナール(ベルが鳴る)」というベルも開発されているそうです。

イスラエルの名ヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスは、楽器に映るのはその人の感情や考え方だといいます。その言葉とおり、CANADEONとORPIAの音色には、ユーモアとあたたかさを併せ持つ藤原さんの人柄が、にじみ出ているように感じられます。

そして、そんなCANADEONとORPIAは、2026年の1月まで、二子玉川にある蔦屋家電に展示されています。実際に触れて、音を鳴らすこともできるので、気になった方はぜひ遊びに行ってみてください。私も訪れてみましたが、素敵な店内の中演奏を楽しめて、とても贅沢な時間を過ごせました。

窓際の日当たりのよいスペースに設置されています。つい穏やかな気持ちになってしまいました。
蔦屋家電+にはスタッフが常駐しており、体験をサポートしてくれます。スタッフの奈良さん曰く、CANADEONの魅力は「録音された音源の再生ではなく“生音”にある」のだとか。店頭ではプレイリストを自由に再生することもできます。

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蔦屋家電+(プラス)
住所:東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズS.C. テラスマーケット 二子玉川 蔦屋家電 1階
営業時間:10:00~20:00
東京・二子玉川にある、世界中のユニークなプロダクトやサービスを発見・体験できる次世代型ショールーム。最新テクノロジーを駆使した家電をはじめ、優れた技術を生かして開発された家具、雑貨、食品などのほか最新サービスなどを体験できます。
ホームページはコチラ
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著者プロフィール

中臺さや香

中臺さや香

Mac Fan編集部所属。英日翻訳職を経て、編集部へジョインしました。趣味はピアノを弾くこと、乗馬、最新のガジェットを触ること。家中まるっとスマートホーム化するのが夢です!

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