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そもそも「ターミナル」って何? – Mac活用“ワンランクアップ”講座

著者: 海上忍

そもそも「ターミナル」って何? – Mac活用“ワンランクアップ”講座

Photo●Apple

「ターミナル」は使い方次第で「便利な存在」になる!

Finderで[アプリケーション]フォルダを開いてみると、「メモ」や「カレンダー」といった標準アプリに紛れるように[ユーティリティ]フォルダが見つかります。

そこにあるアプリは、どちらかといえば利用頻度が高くない、“メインディッシュ”というより“サイドディッシュ”を思わせるものばかり…。「ターミナル」も、その中のひとつに見えるかもしれません。

しかし、「ターミナル」は使い方次第ではメインディッシュになれる存在。「シェル」と呼ばれるプログラムを介してmacOSの心臓部(カーネル)に命令を下し、さまざまな処理を進めることができるからです。GUIではできないこと、操作手順が複雑になることも、ターミナルを使えば「秒」で終了…というケースもありえます。

[ユーティリティ]フォルダにある「ターミナル」。

Dockの再起動は、その好例といえます。同じmacOSの中核に近いシステムアプリケーションであっても、FinderはOption-Command-ESC([Option]キーと[Command]キーと[ESC]キーの同時押し)で現れるアプリケーションの強制終了画面から再起動を指示できますが、Dockはこの方法を使えません。

「アクティビティモニタ」でDockを検索して強制終了したり、いったんログアウトしてから再ログインしたりといった手間がかかる方法ではなく、「ターミナル」であれば以下のコマンドラインを実行するだけでOKです。

とはいえ、「ターミナル」を起動すると謎の記号「%」が表示されていたり、入力しても何も起こらなかったり。慣れていなければ、恐ろしさすら感じてしまうかもしれません。

「よくわからないし、Macがヘンになると困るから止めておこう」と勘違いしていると、いつまで経っても「ターミナル」の便利さ・ありがたみがわからないままです。

「ターミナル」に初めて触れる場合、まずは以下の2点について理解・実践しましょう。わずかこれだけで、「ターミナル」は理解不能な怖い存在から便利な存在に変わるはずですよ。




「ターミナル」の鉄則①行末でreturnキーを押して実行

「ターミナル」を起動すると、ユーザの指示待ち状態になります。ここで「コマンド」にファイルなど操作対象の情報(引数)を添えて「実行」することで、システムに命令として伝えられます。前掲した「killall Dock」でいえば、killallがコマンドでDockが引数です。

コマンドとは、ターミナルを介して実行できるプログラム(アプリ)のこと。GUIで指示することはできませんが、ターミナルとともに稼働している「シェル」によって引数ともども解釈され、システムに命令として伝えられるのです。特殊な操作を行わない限りFinderに表示されませんが、macOSには軽く千を超える数のコマンドが収録されています。

なんのことやら…という場合は、前掲した背景が黒の「killall Dock」を正確に範囲指定し、[Command]キー+[C]キーでコピー、「ターミナル」に[Command]キー+[V]キーでペーストしてみましょう。これでコマンドラインを入力した代わりになります。なお、カーソルの左側に表示されている「%」はプロンプトと呼ばれ、コマンドラインの入力待ちの状態にあるという目印になっています。

そして[return]キーを押せば「killall Dock」が実行され、Dockの強制終了と再起動が行われます。killallは指定したプロセス──ここでは「アプリ」と同義としておきます──を強制終了するコマンドで、引数として与えたDockを強制終了してから、以前の記事で紹介した「launchd」の設定に従い再起動を行います。

コマンドの基本的な入力&実行方法。

「ターミナル」の鉄則②コマンドと引数はスペースで区切る、大文字・小文字は正確に

そんなのかんたん、コピー&ペーストするより「killalldock」と入力してから[return]キーを押すだけだろう、と言われそうですが、それだけでは、「ターミナル」には「command not found: killalldock」とメッセージが現れるだけで何も起こりません。

なぜなら、このコマンドラインには2つミスがあるからです。

1つは「語句間がスペースで区切られていないこと」。シェルはコマンドや引数を区別する目印として、スペースを利用するからです。「killalldock」がひとつのコマンドとして解釈されてしまい、そんなコマンドは存在しないから何もできない、とエラーになったのです。

もう1つのミスは「大文字・小文字が正確でない」ことです。スペースを空けた「killall dock」を実行しても、そのようなプロセスは存在しない(No matching processes belonging to you were found)とエラーになります。dockではなくDock、綴りは正確に入力しましょう。

大文字・小文字とスペースを正確に入力しないとエラーになります。




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著者プロフィール

海上忍

海上忍

IT/AVコラムニスト。UNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作多数。テクニカルな記事を手がける一方、エントリ層向けの柔らかいコラムも好み執筆する。執筆以外では、オーディオ特化型Raspberry Pi向けLinuxディストリビューションの開発に情熱を注いでいる。2012年よりAV機器アワード「VGP」審査員。

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