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コンテンツへの“没入感”が段違い! 次世代ARスマートグラス「XREAL One Pro」レビュー

著者: 山本敦

コンテンツへの“没入感”が段違い! 次世代ARスマートグラス「XREAL One Pro」レビュー

XREALによるARスマートグラスの新製品ラッシュが止まらない。

2025年1月17日に独自開発のSoCである「X1チップ」を搭載の「XREAL One」が誕生したばかりだが、その上位モデルとなる「XREAL One Pro」が7月24日に日本国内で発売された。

一段と没入感が高くなった新製品の実力を確かめよう。

XREAL One Pro

【発売】
XREAL
【価格】
8万4980円

【URL】 https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-one-pro

解像度:1080p/最大リフレッシュレート:120Hz/最高輝度:700ニト

「X1チップ」の自社開発に、専用アクセのリリース。「XREAL」の勢いが止まらない!

ARグラスメーカー「XREAL」は、OST(光学シースルー)タイプのARスマートグラスを得意とするブランドだ。同社前身の「Nreal」の頃からスマートグラスに注力しており、今後に向けてGoogleのXRデバイス向けOSである「Android XR」を搭載する製品開発も進めている。

2025年1月にリリースした「XREAL One」では、自社開発の「X1チップ」をはじめて搭載した。それにより、専用アクセサリを経由する必要があった仕様から、「XREAL One」を直接USB-CケーブルでスマートフォンやPCなどに接続して楽しめる仕様へと大躍進した。

「XREAL One」は、従来はソフトウェア側で行っていた負荷のかかる映像処理を「X1チップ」側が引き受けることで、スマートグラスに映像を表示する際の安定感を高めている。さらに、接続するスマートフォンといったデバイスからの操作に対するレスポンスも向上させている。

iPhone 16 Proなど、DisplayPort Altモードが使用可能なUSB-C端子を持つデバイスと専用のケーブルで接続する。デバイス側にソフトウェアをインストールする必要はない。

6万9980円(税込)という手頃な価格設定も実現できたことから、「XREAL One」は発売後の売れ行きも好調だそうだ。6月27日には、「XREAL One」に6軸対応の動き検知(6DoF)と写真・動画の撮影機能を追加する専用アクセサリの「XREAL Eye」も追加した。




新モデルには、光学エンジン「X Prism」を搭載。光の反射がぐっと少なくなった!

今回登場した「XREAL One Pro」は、「XREAL One」に一段と高品位な空間コンピューティング体験を追求した上位モデルだ。「XREAL One」と同じ、独自開発の「X1チップ」を搭載している。

前モデルから大きく改善された点の1つは画質だ。「XREAL One Pro」にはSONY製の0.55インチ microOLEDディスプレイが搭載されている。解像度は片目あたり最大フルHD(1920×1080画素)。スマートグラスの内側上部に配置するハーフミラーをとおして、ユーザはmicroOLEDディスプレイの映像を視聴する。

また、「XREAL One」には逆三角形型のハーフミラーを採用する「Birdbath」という光学エンジンを搭載していた一方、「XREAL One Pro」には、光の反射を抑えつつ軽量化まで果たした「X Prism」という、XREALが初めて独自に開発した光学エンジンを搭載している。

「XREAL One Pro」には、XREALが独自に開発した光学エンジン「Xprism」を搭載している。光の反射を抑える効果がとても高い。

この新しいmicroOLEDディスプレイと光学エンジンの組み合わせにより、上位モデルの「XREAL One Pro」は「XREAL One」との比較で、7度も広い57度の視野角表示を実現した。画面サイズも38%大きくなっている。

ハーフミラーは光の反射を低減して画面のチラつきを抑えた。ディスプレイの輝度も「XREAL One」の600ニトから、「XREAL One Pro」は100ニト高い700ニトにパワーアップしている。表示リフレッシュレートは「XREAL One」と同じ最大120Hzだ。

光の反射が抑えめ&輝度性能アップで、映像も漫画も見やすくて没入できる!

今回筆者は「XREAL One Pro」と「XREAL One」の画質を実機で比較した。「XREAL One Pro」のほうが視野角が広がり、大きな映像が視聴できることは確かに魅力的だが、それよりも光の反射によるチラつきが抑えられる。

その効果は映像の没入度向上につながる。暗部が深く沈み、色彩が鮮やかに映えることにより、シースルータイプのディスプレイに表示される映像に活き活きとした力強さが感じられた。

ディスプレイの輝度性能が向上したこともプラスに働いている。背景色がホワイトの電子書籍コンテンツなどを再生してもテキストがくっきりと鮮明に表示されるため、漫画も読みやすい。

画面キャプチャのデータでは、リッチになった「XREAL One Pro」の映像体験を伝えきれないことが残念だ。実機を直に装着してみないことには没入体験の差が伝わらないと思う。

映像表示が鮮明度を増すことは、動画などエンターテインメントを楽しむ用途意外にも、たとえば「XREAL One Pro」をPCに接続して外付けディスプレイとして活用する場合にもアドバンテージになる。

映像のチラつきによるストレスが低減されると、タスクへの集中度も高まるからだ。

「XREAL One Pro」を試す筆者。光のチラつきが抑えられるので、映像への没入感が高まる。




画質の向上だけじゃない。装着感もアップした

新開発の光学エンジン「X Prism」は形状がスリムになり、「XREAL One」が搭載するエンジンより44%も軽くなった。そのため「XREAL One Pro」は装着時の負担が大幅に軽減される。

スリムになった光学エンジンにより、「XREAL One」では前方向に傾きがちだったバランスも均等化された。外観はXREAL Proシリーズとしてほぼ共通のデザインだ。

「XREAL One Pro」のほうを差別化するために何らかのオーナメントやカラーバリエーションを追加してもよかったように思うが、悪目立ちすることなく自然に毎日使えるARスマートグラスにすることをXREALは徹底したのだろう。

スマートフォンやPCにケーブルで接続して使うデバイスなので、本体のデザインはできる限りシンプルにすることが正しい選択だと筆者も思う。

左が「XREAL One」、右は「XREAL One Pro」。光学系ユニットが小型化されている。
左が「XREAL One」、右は「XREAL One Pro」。グラス内側のユニットが大幅にスリムになった。

瞳孔間距離(IPD)について、「XREAL One Pro」はサイズの異なるM(IPD 57〜66mm)とL(IPD 66〜75mm)の2種類を用意した。筆者は今回Lのモデルで試した。

計測はXREAL製品を扱う家電量販店など店舗では行っていないため、あらかじめXREAL公式サイトで方法を確認のうえ、測定を済ませてから購入の本格検討に進もう。

「BOSE」の高性能スピーカを搭載! セリフが聞き取りやすく、映画やアニメも満喫できる!

最後にサウンド面の改善が図られたことについても触れておこう。「XREAL One」はオーディオメーカーの「BOSE」がサウンドチューニングを手がけたスピーカを本体に内蔵している。

「BOSE」はパワフルなサウンドを持ち味としているが、「XREAL One Pro」では、ソフトウェアベースのサウンドチューニングを練り直したことにより、中音域の透明感が増した。メロディやボーカルの歯切れのよさが印象に残る。

映画やアニメなど、動画コンテンツはダイアローグ(セリフ)のサウンドが聞きやすいスマートグラスであることにも注目したい。

BOSEがサウンドチューニングを手がけた内蔵スピーカは、前モデルと比べてサウンドの切れ味が増した。

「XREAL One Pro」は8万4980円(税込)と、「XREAL One」から1万5000円ほど価格がアップしている。だが映像とサウンドの底力が上がったことや、毎日使う際の快適さに大きく関わる装着感に差が付いたことを考えれば、これから買うなら「XREAL One Pro」が正解だと思う。

著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

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