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愛車をかっこよく撮りたい! 誰でもすぐに真似できるiPhoneの撮影テク

著者: 鹿野貴司

愛車をかっこよく撮りたい! 誰でもすぐに真似できるiPhoneの撮影テク

愛車で景色のよい場所に出掛けたり、カーシェアリングで話題の新車や憧れの高級車に乗ったときは写真を撮りたくなるもの。このようなシーンで、iPhoneを使って撮影するときのテクニックや押さえておきたいポイントを知っておきましょう。

テクニック1:角度とアングルを調整して車体の印象をガラリと変える

撮影設定→ カメラ:iPhone 14 Pro/メインカメラ、レンズ:48mm、絞り:F1.78、ISO:64、シャッター:1/5263秒

車を撮影するときにまず大切なのは、撮影する角度。収まりがよいのは冒頭の写真のような、車体が横面7:前面3くらいの角度です。スポーティな車種であれば、それより少し横から(横面8:前面2)狙うとシャープな印象になります。ミニバンなど四角いフォルムが特徴の車は、反対に前側を少し多め(横面6:前面4)にして撮ると車体のボリューム感を強調しやすいです。

また、角度とともに写真の印象を左右するのがアングルです。車種にもよりますが、iPhoneを車高の中心あたりで構えて撮影してみるのがおすすめ。レンズが望遠寄りなら低め、広角寄りなら高めにすると、フレームにきれいに収まりやすいです。

車を真横から撮影。特徴的なフォルムのボディを撮影する場合は形を見せるのに効果的なときもありますが、ほかの車も停まっている駐車場のようなシーンではほかの車が写り込んで悪目立ちする可能性も…。
車を横面8:前面2で撮影。スポーツカーの場合はこの角度がハマる場合もあります。車の側面対正面の割合が8:2〜6:4になるくらいまで何枚か撮影してみて、しっくりくる位置を見つけてみましょう。
車を横面6:前面4で撮影。ミニバンなど四角いフォルムの車は、この角度がベストマッチな場合も多いです。また、背景の余計なものが写り込みにくい角度になりやすいのも特徴。
車を真正面から撮影。この角度もまったく悪くはないのですが、正面のデザインが特徴的でない限りは捉えどころがなく、インパクトに欠ける印象になりやすいので注意しましょう。

テクニック2:撮影倍率を変えて車のフォルムと背景をアレンジ

撮影設定→カメラ:iPhone 13 Pro/望遠カメラ、レンズ:77mm、絞り:F2.8、ISO:32、シャッター:1/630秒

機種によってレンジは異なりますが、iPhoneは広角から望遠まで撮影倍率を変更しながら撮影できます。一般的には写る範囲(画角)を変えるための機能と思われがちですが、それ以上に大事な役割が「遠近感の調整」です。ここでは車が左右いっぱいに写るよう、ズーム機能を変更しながら自分の立ち位置も変えて撮影しました。

望遠側の場合は少しフラットになる印象もありますが、車全体のフォルムをより正確に再現できるのがメリット。自動車メーカーのカタログやWebサイトに掲載される写真も、iPhoneのカメラでいう3倍相当くらいのレンズ(約80〜100mm)で撮影されています。反対に広角側ではデフォルメ感が目立ちますが、使い方を工夫すれば印象的な写真を撮影できます。

またズームするにしたがって、車のフォルムだけでなく背景との距離感も変化します。比較写真を見ると、広角側では空の割合が増えているのがわかり、背後にある芝生の土手が遠くにあるように写っています。このように、撮影倍率を調節することで背後の風景や構造物を引き寄せたり、逆に遠ざけたりすることができます。

メインカメラ(52mm)で撮影。2倍前後で撮ると、肉眼に近い印象を与えることができます。人物撮影でも、スタイルを美しく撮影できる画角です。
メインカメラ(26mm)で撮影。離れて撮ると一見わかりにくいですが、近寄って撮るとかなり遠近感が強く、フォルムがデフォルメされます。距離や角度をうまくアレンジすれば、おもしろい写真が撮れるかもしれません。

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テクニック3:グリッド機能を活用してスタイリッシュな構図に

撮影設定→カメラ:iPhone 14 Pro/メインカメラ、レンズ:48mm、絞り:F1.78、ISO:64、シャッター:1/4566秒

風景の中に愛車がある写真は、ドライブの思い出のド定番。でも風景と愛車をどう配置すればよいか、バランスをとるのは難しいものです。そのようなときに心強いのが「カメラ」アプリの画面上に表示できる3分割のグリッド線。iPhoneの「設定」→[カメラ]→[グリッド]をオンに切り替えれば利用できます。

ここで知っておきたいのが、画面を縦横とも3分割した線上にモチーフの特徴的な部分を重ねるとうまくいきやすいという法則です。この写真では、下から3分の1のグリッド線を水平線と車の屋根で挟むようにフレーミング。さらに、車体の白い部分を左から3分の1〜半分までいかない程度に収めて、青い空や海とのコントラストを意識してみました。

写真を9分割したとき、9分の1〜2程度になる場所に車体を納めて撮影しました。撮影場所の背景がごちゃごちゃしているようであれば、車体を4分の1程度に納めて撮影するのもアリ。
エンブレムを切り取るときも、グリッドを目安にしていくと収まりがよくなります。この写真では「595」の中心を左から3分の1に、アルファベットのロゴを下側3分の1に収めてみました。

テクニック4:「ポートレートモード逆光でより情緒的な写真に仕上げる

撮影設定→カメラ:iPhone 13 Pro/望遠カメラ、レンズ:77mm、絞り:F2.8(ポートレートモード)、ISO:64、シャッター:1/121秒

車の内装の切り取り方も、センスが問われる部分です。内装を撮影する際は撮影ポジションに制約が出てきますが、ここで活きてくるのが「ポートレートモード」。撮影するには被写体までの距離が必要なので、望遠側のレンズで車外や後部座席から撮影するのがおすすめです。望遠カメラなら、邪魔なものを隠したりボカしたりすることもできます。

この写真の場合は、ドアを開けてステアリングを撮影。斜光がレンズに当たり、ゴースト(レンズ周辺で反射した強い光がつくる像)がエンブレムを貫くように写りました。逆光で生じるハレーション(レンズ内で反射した光により写真が白っぽくなる現象)も、写真をエモーショナルに見せる強い味方です。

上の写真と同じように「ポートレートモード」で撮影。レンズに当たっていた光を手で遮ると、ゴーストが消えてくっきりシャープな写真に。これはこれでアリかもしれません。
逆光(撮影者の正面から光があたる角度。この場合は太陽光)は、車体を撮る場合にも有効。順光よりも立体感を表現できます。

テクニック5:露出をマイナス側に補正して黒をビシッと締める

撮影設定→カメラ:iPhone 13 Pro/望遠カメラ、レンズ:77mm、絞り:F1.5、ISO:50、シャッター:1/683秒、露出補正:-2EV

車は外装・内装問わず、黒系のパーツや素材が随所に使われる場合が多いです。それらをアップで写したとき、見たままのイメージと違った経験があるかもしれません。これはカメラが黒い被写体を「暗いもの」と判断して明るめに写そうとするためで、黒く締まった部分がくすんだ灰色に写ってしまいます。

そこで使うべき機能が露出補正です。「カメラ」アプリの撮影画面の上部にあるタブからメニューを呼び出し、プラス(+)とマイナス(−)が重なったマークをタップすると、露出を補正するためのスライダが表れます。この画像の撮影時は、マイナス2の位置(=専門用語で「−2EV」)に合わせて補正しました。

撮影時に露出を補正する場合、画面上部の上向き矢印をタップしたあと、プラス(+)とマイナス(−)が重なったマークをタップしましょう。実際に画面を見ながら、適切な露出に補正できます。
上の写真と同じアルミホイールを、露出補正なしで撮影したもの。締まりがない印象で、実物とはまったく別モノです。撮影時に露出を補正するか、あとから「写真」アプリなどの編集機能などで調整しましょう。

※本記事は『Mac Fan』2023年3月号に掲載されたものです。

著者プロフィール

鹿野貴司

鹿野貴司

写真家。2021年よりカメラグランプリ選考委員を務める。カメラのことから写真のことまで、幅広く執筆活動も行っている。近著『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)。

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