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最前線を走る映像作家・石川将也さんがM4 Max搭載Mac Studioを選んだ理由

著者: 山田井ユウキ

最前線を走る映像作家・石川将也さんがM4 Max搭載Mac Studioを選んだ理由

2025年3月に発売されたM4 Max搭載Mac Studioは、映像制作にも最適なハイスペックマシンだ。実際に、本機を導入した映像作家・石川将也さんのスタジオを訪ね、その魅力について聞いた。

石川将也さん
1980年生まれ。慶應義塾大学佐藤雅彦研究室を経て、2019年までクリエイティブグループ「ユーフラテス」に所属。「ピタゴラスイッチ」をはじめとする番組制作に携わる。2020年にデザインスタジオ「cog」を設立して独立し、さまざまな作品を生み出している。

M4 Max搭載Mac Studioという“究極”のデスクトップ

クリエイティブ分野において、もっともハイスペックな性能がマシンに要求されるもののひとつが映像制作だろう。作品の素材となる高解像度の4K動画や3DCGなどは非常にファイルサイズが大きく、生半可なスペックのマシンでは編集どころか再生すらおぼつかないのだ。

そんなクリエイターの求める厳しい基準を満たすのが、M4 Max搭載Mac Studioである。本機は“究極のプロ向けデスクトップ”を謳っており、そのスペックはまさにモンスター級。音楽制作、コーディング、写真編集、映像制作などあらゆるタスクを快適にこなせる。

実際に本機を導入したクリエイター・石川将也さんのスタジオを訪ねた。扉を開いて目に飛び込んできたのは、さまざまな機材の数々だ。

M4 Max搭載Mac Studioや外付けディスプレイに加えて、大容量ストレージの「drobo」や、天吊りでカメラがセットされた撮影台、3Dプリンタ、レーザーカッターなど専門的な機材が所狭しと並んでいる。

外部スタッフと動画データを共有するために、RAIDストレージシステム「Drobo」と、「Synology」を活用している。

Mac Studioに加えてこれらの機材を使いこなし、作品を制作する石川さんはどんなクリエイターなのだろう。

撮影台に設置しているカメラはLUMIXのDC-S1RM2。約4430万画素という高画素機ながらモワレが出にくいのが特徴だとか。
3Dプリンタやレーザーカッターといった機材も所有。作品には映像だけでなく、物理的な工作も取り入れている。

石川さんは慶應義塾大学で伝説的なクリエイティブディレクターの佐藤雅彦研究室のもと、コミュニケーションデザインを学んだ。これは一言でいえば、「受け手に対してどう伝えるのか」という表現手法のことだ。

大学卒業後、デザイナーとしての経験を積んだ石川さんは、佐藤雅彦研究室の卒業生たちによるクリエイティブグループ「ユーフラテス」に所属。NHK Eテレ「ピタゴラスイッチ」や「0655」、「2355」といった番組を手がけた。

2020年からはグラフィックデザイナー兼映像作家として独立し、デザインスタジオ「cog」を設立。新しい立体映像装置を用いたアート作品や科学玩具のデザインを行うほか、U-NEXTキッズでは、絵本読み聞かせ番組「ねむるま えほん」の監督も務めるなど引く手あまたの活躍を見せる。




M4 Max搭載Mac Studio導入のきっかけはデータトラブル

石川さんのMac歴は長く、2000年発売のiMac DV+にまでさかのぼる。きっかけはやはり佐藤雅彦研究室だった。

「それまではWindows PCを使用していましたが、本格的にデザインを学ぶにあたって、やはりMacでなければと思い購入しました。深緑が印象的なSageカラーだったことを覚えています」

そこから現在に至るまで基本的にはMac一筋。一瞬、Windowsに“浮気”することはあっても、「やはりMacの使い心地がよくて戻ってしまいました」と笑う。

今年3月にM4 Max搭載Mac Studioが発売されるまでは、M2 Pro搭載Mac miniを使っていた。コンパクトで軽く、それでいて高性能。映像編集でも問題なく使えてはいたが、作業によっては若干の重さを感じることがあったという。

「現在作っている『ねむるま えほん』は撮影から編集まで、すべてこのスタジオで私が行っています。出力はフルHDですが、編集前の元映像は高解像度な6K。さすがに6Kの映像の色編集ともなると厳しい場面もありました」

加えてM4 Max搭載Mac Studio導入の決め手になったのがデータのトラブルだった。うっかり起動ディスクのデータを消してしまい、Time Machineバックアップから復旧したところ、復元に48時間かかることが判明したのだ。

復元している間、Macが使えなければ2日間仕事ができない。ちょうどM4 Max搭載Mac Studioが発表されたタイミングだったことにも背中を押され、M2 Pro搭載Mac miniから乗り換えた。

6K動画の編集も、M4 Maxならびくともしない

プロのクリエイター向けに開発されたM4 Max搭載Mac Studioは、石川さんの厳しい要求水準を十分に満たす性能を備えている。6K動画を「Premiere Pro」に取り込んで編集する作業は、かなりの負担をマシンにかけるものだが、M4 Max搭載Mac Studioはびくともしない。

「M4 Max搭載Mac Studioに替えたことで、作業効率はかなり向上しました。M1チップが出たときも性能の高さに感激したのですが、M4 Maxはそのときに匹敵するくらいの感動がありましたね」

M4 Max搭載Mac Studioという最高の相棒を手に入れて、石川さんは新作の公開に向け制作を行っている。その作品とはU-NEXTキッズで配信が予定されている工作番組「うご工作」だ。

画面上に表示されるシンプルなループアニメの上に、紙を切って作った工作を乗せる。すると、アニメと工作が融合して、ひとつの動く工作が出来上がるという仕掛けだ。デジタルとアナログを組み合わせた新しい表現は、子どもの創造力を大いに刺激するだろう。

映像作品だけでなく、段ボール素材を活用した工作など、身近な物を用いたユニークな作品も多数生み出している。

独自の表現とアイデアで、次々に斬新な作品を生み出す石川さん。これからもM4 Max搭載Mac Studioを用いて、世の中をあっと言わせるに違いない。

コミュニケーションデザインに関する名著は、石川さんにとってヒントを得るきっかけだ。石川さん自身が錯視を発見し、作品に生かすこともある。

※この記事は『Mac Fan』2025年7月号に掲載されたものです。




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著者プロフィール

山田井ユウキ

山田井ユウキ

2001年より「マルコ」名義で趣味のテキストサイトを運営しているうちに、いつのまにか書くことが仕事になっていた“テキサイライター”。好きなものはワインとカメラとBL。

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