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“Apple Intelligenceデビュー”に最適! ChatGPT連携・作文ツール・画像生成。AI機能使いこなし厳選テク

著者: 山本敦

“Apple Intelligenceデビュー”に最適! ChatGPT連携・作文ツール・画像生成。AI機能使いこなし厳選テク

日本語にも対応したApple Ingtelligence。生成AIツールを上手に活用する方法に迫る。

Apple Intelligenceは、Apple独自の生成モデルによるAIサービスで、今年の4月1日には日本語にも対応した。

グーグルやOpenAIなど、Appleのライバルによる生成AIも注目を浴びる中、Apple Intelligenceの便利な使い方を紹介しながら、その特徴と今後の展望を解説する。

Appleデバイスのための「Apple Intelligence」。その特徴とは

Apple IntelligenceはiOS 18.4、iPadOS 18.4、macOS Sequoia 15.4、そしてvisionOS 2.4以降から日本語で使えるようになった。

注意したいのは、製品カテゴリによってApple Intelligenceが使えるデバイスが異なる点だ。

たとえばiPhoneであれば「Apple Intelligenceのために設計された」ことを謳ったiPhone 16ファミリーとiPhone 15 Pro/15 Pro Maxが対応モデルで、残念ながらこれ以外のモデルでは最新のiOSを導入してもApple Intelligenceが使えない。

対応デバイスの条件とリストについてはAppleの公式サイトに詳しい説明がある。

Apple IntelligenceはAppleのデバイスと対になってユーザを助けるAIサービスだ。

複数のAIモデルを組み合わせることにより、テキストに音声、画像など複数形式の情報を一緒に扱える。

加えて、対応するデバイスとOSの環境を整えれば、今のところすべての機能が無料で使える。

AIサービスの多くはiPhoneにiPad、Macなどデバイス上で、インターネットにはつながずに処理を行う。

「だから安全で、かつ速い」ことをAppleは強調している。

たとえば「Image Playground」アプリによるAI画像生成は、参照元になる写真やテキストを入力すると画像が即座につくられる。

画像の雰囲気や色使いがやや日本人の好みから外れていることをさておけば、生成するスピードは確かに速い。

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Apple独自のAIモデルを搭載する「Image Playground」アプリ。iPhoneやiPadなどのデバイス上で素速く画像を生成する。

Siriを使ったり、ChatGPTと連携して「作文ツール」を使ったり、より複雑な処理を必要とするタスクを実行する場合、Apple Intelligenceはクラウド処理を併用する。

このときにはAppleが独自に構築した大規模なサーバベースのAIモデルを使うことになるが、セキュアな暗号化処理を伴うプライベートクラウドコンピューティングによって、ユーザのプライバシーは頑強に守られるとAppleは主張している。

Siriを静かに起動。ChatGPT連携を上手に使いこなす

筆者も普段からよくMacやiPadでApple IntelligenceのAIサービスを活用しているが、先日Appleが開催したワークショップに参加して「Apple Intelligence活用術」の引き出しを広げてきた。

即戦力になる便利な機能と使い方をいくつか共有しよう。

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筆者もApple IntelligenceのワークショップでさまざまなAI活用術を学んできた。写真はiPadを活用して「テラリウム」の制作ノートをつくっている様子。

個人的には、とりわけMacとApple Intelligenceの相性がよいと思う。

筆者はグーグルやOpenAIのAIサービスも普段から併用しているが、macOSの設定からSiriにChatGPTを接続しておけば、ChatGPTのデスクトップアプリを起ち上げたり、Webブラウザを経由するよりも速くChatGPTにアクセスできる。

外出先ではSiriに話しかけることが難しいと思うので、Macの「[コマンド]キーの2度押し」によってm声を出すことなくSiriを起動させ、テキスト入力でChatGPT検索が使える。

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キーボードのコマンドキーを2度押しするとSiriが起動する。
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Siriに質問を入力すると、調べるためにChatGPTを使用するか都度ユーザに訊ねてくる。
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SiriとChatGPTが調べてくれた答えはChatGPTのサーバにも記録されないので、有用な答えが得られたときには検索結果画面の右上にある「コピー」を選択して、内容をテキストエディタなどに保存しておこう。

Apple Intelligenceの「作文ツール」もChatGPTに連携する。

筆者は自身の著者プロフィールを書き直してみた。

元の味気ないテキストから、ChatGPTは「Mac Fanに寄稿する専門知識の豊かなスペシャリスト」であることを加味しながら気の利いたプロフィールに仕上げてくれた。

自分で自分のことを「ほめる」ような文章は書きにくいものだが、AIはうまくポジティブなニュアンスも付け加えてくれる。

これから就職・転職活動のため自己紹介のテキストを書かなければならない方にも、作文ツールによる下書き推敲をおすすめする。

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Pagesで「作文ツール」を駆使しながら、Mac Fan掲載用の筆者のプロフィールを作り直してみた。
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Apple Intelligenceはプロフィールの内容にウソを紛れ込ませることなく、筆者のプロフィールがより魅力的になるよう自然に“お化粧”してくれる。特定の箇所をより掘り下げる書き直しも提案してくれた。

「画像マジックワンド」でiPadで簡単に上手な画を描く方法

現在、Apple Intelligenceのプラットフォームに揃うAIサービスとツールは基本的に対応するすべてのOSとデバイスで使える。

ただひとつ「画像マジックワンド」は、iPadとApple Pencilの組み合わせでベストパフォーマンスを発揮する。

画像マジックワンドは、Apple純正の「メモ」アプリでラフに手描きしたスケッチから本格的なイラストを生成できる。

筆者は今回参加したワークショップで「テラリウム」というものを生まれて初めて作った。

ChatGPTで調べてみると、テラリウムとは透明なガラス鉢の中で植物や小動物を育てるミニチュアガーデニングの一種のようだ。

「メモ」アプリ上で「作文ツール」を駆使しながらテラリウムの制作記録をつくり、オリジナルのイラストを添えることに挑戦した。

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写真は筆者が本気でつくったテラリウム。iPadにテキストとイラストを交えた制作記録を残しながらスタイリッシュな園芸を楽しんだ。

Apple Pencilで大雑把に描いた「○」「土」「葉っぱ」「小石」のスケッチを、「画像マジックワンド」でぐるりと囲んで数秒待つと、テラリウムを知らなかった筆者もそれらしい雰囲気のイラストが描けた。

さらに、イラストの隣にApple Pencilで「テラリウム」という文字を手書きして、「画像マジックワンド」で一緒に囲むとより完成度の高いイラストに仕上がった。

筆者のように自分のイラスト力に自信がない方のため、動物に植物などを描いた抽象画と一緒に「ライオン」や「ひまわり」のようにテキストを書き添えると、Apple Intelligenceの画像生成AIがリアルに仕上げてくれる技を共有したい。

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テラリウムを想像して書いたラフなスケッチと一緒に、手で書いた「テラリウム」の文字を一緒に画像マジックワンドで囲む。
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テラリウムっぽいイラストに仕上がった。キーワードを追加して、さらに完成度を高めることもできる。

家族に小さな子どもがいるお父さん・お母さんのiPhoneユーザには、Apple Intelligenceの作文ツールを「読み聞かせ」に活用する方法を紹介しよう。

作文ツールに物語の主人公をイメージして「タイトル」と、本当におおまかな「あらすじ」を入力するだけで、ChatGPTが気の利いた物語をつくってくれる。

例えば「トランペットの演奏がとても上手なフクロウが、ミュンヘンの交響楽団を救う冒険談を書いてください」といった具合だ。

ChatGPTが主人公のフクロウに“オリバー”というドイツ人らしい名前を付けて、雰囲気のある物語を下書きしてくれた。

完成したテキストを再度選択して「オリバーの出生についても掘り下げて」、「もっと感動的に描写したい」などのリクエストを追加すると、AIが都度新しいストーリーに書き直し・書き足しもしてくれる。

子どもと一緒に「Image Playground」アプリで遊びながら、物語の挿絵になるイラストも作りたい。

ところが、これを眠る前に始めてしまうと盛り上がって止められなくなるので要注意。

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簡単なタイトル・あらすじを作文ツールに入力すると、Apple Intelligenceが瞬時に物語を書き上げてくれる。
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「Image Playground」アプリで物語の挿絵もつくってみた。楽しすぎてハマるので、子どもが寝る前の時間に一緒に楽しむことをおすすめする。

WWDC25もメインテーマはApple Intelligence?

Apple Intelligenceは2024年10月末に米国英語から先行導入が始まった。

以後、筆者が本稿をまとめている2025年5月末時点でも「ベータ版」のサービスとして提供されている。

米国時間6月9日にAppleが本社で開催を予定する世界開発者会議「WWDC25」では、Apple Intelligenceに大きなアップデートを図ったうえで正式な一般公開を迎えることになるのだろうか。

筆者はApple Intelligenceの今後の展望について4つの点に注目している。

1つはApple Intelligenceの体験を拡大するための「ユーザインターフェイス改革」だ。

Apple IntelligenceはAppleデバイスとの相性がよく、無料で使えるAIサービスでありながら、筆者の周りには「まだ使ったことがない」という方が少なくない。

たとえば「作文ツール」はAppleの純正アプリだけでなく、他社製アプリでもテキスト入力が可能なほとんどすべての場面で利用できる。

にもかかわらず、それが十分に使われていない理由は「動線がわかりづらいから」だと思う。

Pages、メモなどのApple純正アプリはツールバーの中に作文ツールのアイコンがある。

だが、サードパーティのアプリは副ボタンクリックの操作からショートカットメニューを開いて作文ツールを見つけなければならない。

たとえばiOS 18.4から提供が始まった「Apple Vision Pro」アプリのように、Apple Intelligenceに含まれるツールや新機能をひとまとめしたアプリをポータルとして設けてもいいと思う。

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「Apple Vision Pro」アプリのように、Apple Intelligenceの機能やおすすめの使い方を一望できるポータルアプリがあってもいいと思う。

2つめは有料のビジネスプランだ。

たとえばグーグルではGmailやGoogleドライブ、Googleドキュメントなど企業やビジネスパーソンが仕事に使うクラウドベースのオンラインアプリケーションのセットをGoogle Workspaceとして提供している。

アプリケーションの一部は生成AIアシスタントのGeminiに対応する。

さらに、ビジネスシーンで安心・安全に使えるようにセキュリティのレベルを高く設定して、ユーザのプライバシー保護を最優先に掲げる複数の有料プランがある。

今後、AppleもApple Intelligenceのビジネスユーザーを積極的に獲得するため、有料のプレミアムサービスを起ち上げることが肝要ではないだろうか。

そして3つめがApple WatchとwatchOSのApple Intelligence対応だ。

ユーザのパーソナルデータにもっとも近いウェアラブルデバイスであるApple Watchがエコシステムに加わることによって、Apple Intelligenceが掲げるパーソナルインテリジェンスシステムの完成度はさらにブラッシュアップされる。

WWDC24でApple Intelligenceを発表して以来、まだ始まっていない「Siriによるパーソナルコンテクストの認識」という機能の進捗についても、今年のWWDCでなんらかのアナウンスがあることを楽しみにしたい。

著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

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