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DJIから大容量、高出力が魅力のポータブル電源が新登場! 「DJI Power 2000」レビュー

著者: 井上晃

DJIから大容量、高出力が魅力のポータブル電源が新登場! 「DJI Power 2000」レビュー

ドローンやジンバルのブランドとして知られるDJI(ディージェーアイ)だが、実はポータブル電源も手掛けている。2024年4月に同社初のポータブル電源として発売した「DJI Power 1000」に続き、今年2025年6月10日には新型の「DJI Power 2000」を発売する。同製品は、2048Whの大容量かつ高出力に対応で、本格的なアウトドアや防災用途にも十分耐える。今回は、本製品の実機を試用する機会を得たので、その使用感についてお届けしたい。

大容量ゆえにずっしり重いが、キャリーカートやアウトドアワゴンを使えば問題なし!

「DJI Power 2000」のサイズを手元の巻き尺で計測してみたところ、横幅(長辺)が約44~45cm、奥行き(短辺)が約22.5cm、高さ32~33cm程度のサイズ感だった。存在感としてはごつめのタワートップ型PCくらいだ。大容量のポータブル電源あるあるではあるが、重量はしっかり重い。

実際、本体を持った状態で家庭用の体重計に乗って重さを測定し、そこから筆者の体重を差し引いてみると、その差分——すなわちDJI Power 2000の重量は約21.7kgだった。2L入りのペットボトルが6本入ったダンボールが12~13kg程度であることを考えると、重さの程度がイメージしやすいだろう。

「DJI Power 2000」の本体両端には、両手でホールドするためのハンドルが備わっているので、持ち上げて運ぶ際の安定感はある。ただし、少なくとも30kgのバーベルで問題なくデッドリフトができるような筋力がないと、同製品を安全に持ちあげ、さらにそのまま歩くのは厳しいだろう。

なお、別売でキャリーカート(DJI Power Series Hand Truck)が展開されているので、屋外の長距離移動が想定される場合には、これを用意しておくとよいかもしれない。ただし、おそらくこの規模のポータブル電源をアウトドアで使いたいと思うユーザ層は、車ごとオートキャンプ場に乗り入れるか、すでにキャンプギアの輸送用にアウトドアワゴンを所持していると思われるので、それらを活用すれば十分だろう。一方、純正のキャリーカートはポータブル電源本体や拡張用の電源の複数台の持ち運びにも対応している点がメリットだ。

キャリーカート(DJI Power Series Hand Truck)に乗せた「DJI Power 2000」。説明書のイラストの記述だけでは理解しづらいが、金具を何度も閉じることで紐がベルト締まる仕組み(ラチェット式)だ。

充実したポートはDJIのドローン急速充電やソーラー充電にも対応

使用時には、「DJI Power 2000」の本体正面右上に、配置されている電源ボタンを2秒間長押しすることで電源をオンに切り替えられる。オフに切り替える操作も同様だ。

ポートは、USB Type-Cが4つ(140W x 2、65W x 2)、USB Type-Aポートが4つ備わっており、日常的なデバイスの充電に対応している。ACコンセントは計4口搭載されているが、日本国内の家庭で一般的に使用されているA型の形状に対応するのはそのうち3口だ(残りの1つは海外で使われている「NEMA L5-30」という規格)。

「DJI Power 2000」を用いて、USB Type-CケーブルでMacBookを充電している様子。

そのほか、車からの充電や、ソーラーパネルからの充電を行うための入力ポート、DJI製ドローンの急速充電に対応するSDCポート x 2なども用意されているなど、端子類は充実している。

また、中央にはディスプレイが備わっており、バッテリー残量のほか、入力や出力のW数もリアルタイムに表示される。接続機器の消費電力をもとに、残りの使用可能時間の目安も同時に表示されるので、スケジュールをイメージしやすいと感じる。

MacBookを充電中のディスプレイ表示。現在の出力W数が30Wだとわかる。
家庭用コンセントから「DJI Power 2000」自体を充電している様子。ディスプレイを見ると何Wで充電しているのかがわかる。

注意しておきたいのは、DJI Power 2000自体にLED照明の類が備わっていないこと。暗所でポート部を確認するには、別途照明で照らす必要があると思っておいたほうがいい。

また、別売りのソーラーパネルで本体を充電することも可能だ。

本体側面にはネジ穴が2つ設けられており、ソーラーパネルからの充電時に使える別売のアダプタ(DJI Power Solar Panel Adapter Module)などを固定するために使用できるようになっている。
ソーラーパネル自体は、ぱちっと押して留めるボタン(ドットボタン)で固定されているので、これを駆使して広げたり、スタンドの角度調整なども行える仕組み。セッティングができたら、取っ手側にある専用の配線をつなげていこう。
別売のソーラーパネル(IBCPOWER 200W Foldable Solar Panel)を接続して充電している際のサイズ感。

ちなみに、専用のスマホアプリ画面を用いることで、ポータブル電源に接続中の機器の出力などを確認できる。これによってディスプレイが見づらい位置からでも、機器の使用状況の確認が容易だ。なお、ポータブル電源のファームフェアアップデートなども同アプリから行える。

専用アプリ(DJI Home)の画面イメージ。

最大2700Wの高出力で99%の家電が使える

「DJI Power 2000」は、最大2700Wの出力に対応しているので、消費電力の大きい家電の類も使用可能だ。たとえば、電子レンジや、IHクッキングヒーター、ヘアドライヤーの温風かつ強風の使用、電気ケトルなどを使えるので、停電時の家電使用にも役立つだろう。キャンプなどのアウトドアシーンでも、日常で馴染みある調理家電が使えるのは快適だ。

実際、アウトドアシーンで電気ケトルを使用してみたところ、問題なく使用できた。カップ麺の類や、フリーズドライのインスタントスープ、粉末飲料などが手軽に作れる。

ACを使う際には、正面の左上にある「AC」のボタンを押してオンにする必要がある。
電気ケトルを接続してお湯を沸かせた(※写真では撮影の都合で、危うい配置になっているが、実際の湯沸かし中には安全な配置に変えた)。
ガスや火を使わずにお湯が沸かせた。

ただし、お湯を沸かす用途に限っていえば、シングルバーナーがあれば、十分でもある。ヘアドライヤーも低出力の冷風ならば定格出力が300W程度の小型のポータブル電源で十分かもしれない。大型のポータブル電源を持ち運ぶ負担を考えると、アウトドアシーンで電気毛布、モバイルプロジェクター、ゲーム機、ノートPC、家族人数分のスマートフォンなど、複数家電の使用やモバイル機器の充電にがっつりと活用したい場合に限り、アウトドアシーンでの利用のメリットが大きくなると思っておくとよいだろう。

趣味と備えに10年使えるポータブル電源

「DJI Power 2000」のバッテリには、昨今の主流素材であるリン酸鉄リチウム電池が採用されている。比較的安全性が高く、4000回の充放電サイクル後も容量の80%を維持できるとされ、想定寿命は約10年間だ。価格は決して安くないが、十分に元は取れると思う。

ポータブル電源市場には類似条件の競合製品も多く存在するなか、本製品はDJIのドローン、ジンバルを使う機会がある人にとってはドローンの急速充電ができるSDCポートが便利だ。DJI製品をすでに持っている人にとって「DJI Power 2000」は魅力的な選択だろう。

なお、本稿では、公式のスペック値など割愛した部分も多数ある。比較検討の際には公式サイト等で仕様などの値を細かくチェックしてみてほしい。

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著者プロフィール

井上晃

井上晃

スマートフォン・タブレット・スマートウォッチなど、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌で、速報やレビュー、コラムなどを執筆している。新製品やサービスのレビュー、比較検証記事の執筆本数は年間100本以上。

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