Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

三菱地所の新たなフレキシブルオフィス「xLINK丸ビル」にスタートアップの技術を導入⁉︎ 顔認証システムkaopaがセキュアで高速な認証を実現

著者: 佐藤彰紀

三菱地所の新たなフレキシブルオフィス「xLINK丸ビル」にスタートアップの技術を導入⁉︎ 顔認証システムkaopaがセキュアで高速な認証を実現

xLINK(クロスリンク)」は不動産デベロッパーの三菱地所が東京都心、丸の内を拠点として展開しているフレキシブルオフィスだ。企業やフリーランスなどが入居でき、オフィスのサイズが複数用意されているので、入居者の規模に適したオフィスを構えることができる。

xLINK丸ビルの内装。照明や壁のあしらいで上品な印象がある。

オフィスには執務室や会議室などを兼ね備えるほか、オフィス家具や無線LAN、複合機などがあらかじめ用意されている。家具の購入などが不要なため、イニシャルコストを抑えたスムースな入居が可能だ。

2025年4月1日には丸ビルに「xLINK丸ビル」が新たに誕生した。xLINK丸ビルを含めて、現在では7つのxLINKが丸の内に展開されている。

三菱地所はスタートアップ企業のTRIBAWL株式会社と連係し、セキュアで高速な顔認証ソリューション「kaopa」をxLINKに導入している。本記事ではxLINK丸ビルオープンにあたり、kaopaの特徴、顔認証サービスの展望をうかがった。

xLINK丸ビルの一室。清潔感のあるオフィスで、窓からは皇居や東京の街が望める。

xLINKに高速でセキュアな顔認証システム「kaopa」を導入

xLINKに導入されている顔認証システムkaopaのエッジ端末。カメラに顔を写すことで高速な認証が可能だ。

xLINKの入退室管理にはAI顔認証ソリューション「kaopa」が使われている。

kaopaの特徴は、認証から入室までが“シームレス”につながっていることだ。クラウドを介することなく顔認証端末単体で解析・認証が可能なため、認証時にサーバとの通信時間が存在しない。また、顔が正面を向いていなくても認証できるので、ユーザがカメラの正面に立ってじっとしている必要がない。

このふたつの特徴によって「認証を待つ時間」がほとんどなく、ストレスフリーな入退室を実現している。

kaopaの顔認証デモンストレーション。顔が正面を向いていなくても、即座に解錠されている。

また、xLINKにkaopaを導入するにあたり、三菱地所はkaopaができるだけ個人情報を持たないような仕組みを採用している。顔写真という個人情報を持たなくても認証が可能なのは、kaopaが認証に用いるデータは顔写真そのものではなく、顔写真から抽出した特徴量データだからだ。

三菱地所のIDサービス「Machi Pass Face」から端末へ送られた顔写真は、端末が特徴量データを生成すると自動で削除される。安全のため、特徴量データも暗号化がなされている。このように個人情報の所在を一元化し、端末内に個人情報を持たないことでセキュアな顔認証を実現している。

なお、kaopaは顔認証以外にもFelicaカードによる認証やQRコードによる画像認証も兼ね備えている。さらに詳しくkaopaが知りたい方は、以前取材した際の記事「AIによる顔認証ソリューション「kaopa」は、なぜ大手企業に選ばれるのか。“事業で生まれた技術”でイノベーションを起こす、TRIBAWL株式会社の強さの源流」を見てほしい。

三菱地所の入居者をつなぐ「Machi Pass」連係構想

三菱地所は、xLINKに入居する企業従業員にIDを付与する「Machi Pass」プラットフォームを使った新たなサービスの展開を目指している。現在は「Machi Pass」IDを持った人が丸の内の街で買い物をするとポイントが2%追加で付与される特典がある。

三菱地所はそこからさらに、顔認証が可能な「Machi Pass Face」を使い、顔を認証するだけであらかじめ設定したクレジットカードなどで決済が可能になる仕組みを目指している。

「Machi Pass」の連係構想は丸の内の街にとどまらない。三菱地所は商業施設やホテル、アウトレットなどを保有している。そうした施設で「Machi Pass」のIDを持っている人が顔認証やカード、アプリ等でのMachi PassのIDを提示することで、追加のサービスを受けることができるサービスの展開も目論む。

今後、スマホと財布のどちらも持ち歩くことなく、決済が可能な未来も近いのかもしれない。

おすすめの記事

著者プロフィール

佐藤彰紀

佐藤彰紀

『Mac Fan』編集部所属。ECサイト運営などの業務を経て編集部へ。好きなものは北海道と競技ダンスとゲーム。最近はXR分野に興味あり。

この著者の記事一覧