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「Apple Intelligence」10月に展開開始、US英語から、日本語対応は2025年に

著者: 山下洋一

「Apple Intelligence」10月に展開開始、US英語から、日本語対応は2025年に

米Appleは9月9日(現地時間)、パーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」の展開を10月に開始すると発表した。

iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1の一部として、ベータ提供を開始する予定である。対応デバイスは、iPhone 16シリーズ(iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Max)、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、M1以降のMacとiPadなど。対応言語は当初US英語のみとなり、12月にオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南アフリカ、英国のローカライズされた英語サポートが追加される予定である。さらに2025年に、日本語、中国語、フランス語、スペイン語などの追加言語サポートが予定されている。

Apple Intelligenceは、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaに深く統合され、生成AIとパーソナルコンテクストを用いて、ユーザーに関連性の高い有用なインテリジェンスを提供する。言語や画像を理解し、例えば、メールの重要性を判別して、今日中に返事が必要な招待や緊急のメッセージなどを受信ボックスの優先項目に表示する。こうしたAI機能は、個人に特化すればするほど有用なアシスタントとなるが、そのためにはプライバシーとセキュリティを堅固に守るものでなければならない。

Apple IntelligenceのAIモデルはAppleデバイスの体験向けに最適化されており、多くのAIモデルがデバイス上で効率的に動作し、データはデバイス内で処理される。オンデバイスで対応できない複雑な演算処理が必要なリクエストにはクラウドを利用するが、Apple Siliconを搭載した専用サーバとデバイスを結ぶ「Private Cloud Compute」によって、オンデバイスのプライバシー保護をクラウドに拡張する。Private Cloud Computeは、ユーザーがリクエストしたタスクに関連するデータのみを暗号化して送信し、Appleがデータを保存したり、データにアクセスすることはない。また、プライバシー規定の遵守状況を第三者の専門家が監督する。

Apple Intelligenceは、以下のような機能から提供準備が進められている。

  • 作文ツール:メール、メモ、Pages、またはサードパーティのアプリにおいて、テキスト入力するほとんどシーンで、リライトや校正、言葉づかいやトーンの変更、要約の作成といったテキスト生成機能を利用できる。
パーティの時間や場所、形式などを記した簡単なメモ書きから、作文ツールを使って洗練された招待状を作成。
  • 思い出を呼び出す:言語をよく理解するので、「写真」アプリの検索機能で、「赤いワンピースを着て踊る写真」というように自然言葉で説明してライブラリから目的の写真を見つけられる。動画再生でも同様に、言葉で説明して目的のシーンにジャンプすることが可能。「メモリー」機能でも、「おばのFionaから編み物を学ぶ子どもたち」というように言葉で説明すると、Apple Intelligenceが関連する写真やビデオを自動的に選んでストーリー仕立てのムービーに仕上げる。また、「写真」にAI画像生成を利用したクリーンアップ・ツールが組み込まれ、写真に写ってしまった不要なオブジェクトを選択して簡単に消すことができる。
  • 重要なコミュニケーションに集中:メールのメッセージリストで、本文の最初の2行ではなく、内容の要約が表示されるようになる。通知内容も要約されるようになり、さらに優先通知がスタックのトップに表示されるので、要点をすぐにつかめ、急な招待など大切な連絡を見逃すことを避けられる。
左はメールの最初の2行が表示される従来のメールリスト、右はメール本文の要約を確認できるメールリスト。
  • Siriの進化:AI言語モデルの力で、Siriが言葉の意味やコンテキストを深く理解し、より自然でパーソナルなサポートを提供する。例えば、言い間違いをしても、そのまま言い直せば、Siriが混乱することなく対応する。システムに深く統合されているので、「重複している写真を削除する方法は?」と質問するとステップバイステップのガイドを作成してくれるなど、サポートとしても活躍する。

さらに、テキストプロンプトからオリジナルの絵文字を作成できる「Genmoji」、テーマ、コスチューム、アクセサリ、場所などのカテゴリから多様なコンセプトを選択してユニークな画像を生成できる「Image Playground」など、様々な機能追加を予定している。

Siriの機能はさらに向上し、ユーザーの個人的なコンテクストに応じたサポートを提供する。例えば、友達がメッセージで話題にしていたTV+の番組があれば、それを提案に表示してくれるので、以前すすめられていたことを思い出せる。また、Siriが画面上の情報を認識できるようになり、例えば、友達からポスト・マローンの新譜を勧めるメッセージが届いた際に、その画面でSiriに「再生して」と頼むだけで再生アクションを起こせる。さらに、Appleやサードパーティのアプリ内またはアプリ間で何百もの新しいアクションをSiriで起こせるようになる。

メッセージでリリースを知ったアルバムを、Siriのアクションで再生。

9日にAppleが開催した「It’s Glowtime」イベントでは、「Visual Intelligence」という新しいAI機能が発表された。これはカメラコントロール・ボタンを備えるiPhone 16シリーズで利用できるようになるビジュアル認識機能である。例えば、気になるレストランを見つけた際に、カメラコントロールを長押ししてVisual Intelligenceを呼び出し、レストランにカメラを向けると営業時間や評価といったローカル情報に素早くアクセスできる。植物の名前を調べたり、イベントのポスターを撮影して予定をカレンダーに追加するなど、様々にビジュアル認識を活用できる。このカメラコントロールを用いたビジュアル認識へのアクセスは、GoogleやChatGPTなどサードパーティのサービスへの接続も可能になる。Visual Intelligenceは、年内のカメラコントロールへの搭載を予定している。

記事提供:マイナビニュース
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