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第20回 クレイジーであれ!/野呂エイシロウのケチの美学

第20回 クレイジーであれ!/野呂エイシロウのケチの美学

※この記事は『Mac Fan』2019年1月号に掲載されたものです。

この秋、ボクは51歳になった。そこから話題の「働き方を改革」を始めた。別に残業を減らそうというわけではない。毎週100時間以上働いている。1人ブラック企業だ。役員は残業手当も何も関係ないのでどんどん働く。そんなものである。

さて、ではどんな働き方革命をしたのか? それは非常に簡単である。「クレイジーな人間としか仕事をしない」ということだ。

今日もクレイジーな人に朝から会っている。クレイジーな人の条件はなんだろうか?
 

  • 常に本気だ!
  • 時間単位でどんどん進んでいる
  • 変化が当然だと思う
  • 永遠はないと思っている
  • 国とか法律とかルールが嫌いだ
  • 「べき」が嫌いだ
  • 偉くなりたいと思っていない

そして、一番クレイジーなのは、「世の中を変えられると真剣に思っている」ということである。

残りの人生、そんなことを考えながら生きている。このMac Fanも連載ではあるが、ボクにとっては「遺言状」のようなものである。次の号まで、果たして生きているだろうか?と思いながら真剣に書いている。

だから、Apple製品も新しいものを手に入れる。なぜか?「お金ができたら」と思っている間に死んでしまう可能性があるからだ。「来年買おう」と思っている間に、近隣諸国との戦争に巻き込まれ死んでしまうかもしれない。

だからすぐに買って楽しみたいのだ。借金しても手に入れたいのだ。死んだら借金もなんとかなるだろうと勝手に思っている。美味い料理も、できる限り早く食べたいのだ。なぜなら、食べる前に死んでしまったら悔しい。だから太るのだろう。

1997年にAppleが「Think different.キャンペーン」を始めたのは周知の事実だ。「クレイジーと呼ばれる人たちがいる。不適応者、反抗者、トラブルメーカーと呼ばれる人達たち。」という下りだ。なんだかんだ言って、ボクはそんな人々が大好きだ。会社員でも役人の中にもそんなクレイジーな人間はいくらでもいる。そんな人間と働くのが楽しくて仕方がない。

クレイジーな人間は真剣に世の中を変えようとしている。化学で世界を変えようという者、料理で世の中を幸せにしようという者、ITの力で日本を良くしようという者などさまざまである。戦争を本気でなくせると思っている経営者もいる。今ある既存のルールをぶっ壊そうと思う人間も多い。ボクはそんな人間にクラっとくる。そんな人間と働いているときアドレナリンが出まくるのだ。それが快感である。

普通ほどつまらないものはないと思っている。多分、ボクの脳みそがそんな感じになっているのだろう。

企画や言葉は世の中を大きく変えることができると信じている。

だからこの瞬間も懸命にキーボードを叩く。「クリスマスやお正月を楽しむ人間」を30年ほど前に捨てた。放送作家はクリスマスやお正月を楽しませる側に回るのが仕事だ。

今、ボクがプランしているのが、バレンタインデーの企画である。もっともっとクレイジーを探して、もっともっと世の中を面白くする。クレイジーと働くことほど、楽しい働き方改革はない。

Appleのリンゴマークが描かれた私物のカーズ トミカ。

著者プロフィール

野呂エイシロウ

野呂エイシロウ

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。

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