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日本人こそが世界一のモバイル族/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第56話】

著者: 四角大輔

日本人こそが世界一のモバイル族/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第56話】

ぼくは「日本を捨てた人」とよく誤解をされるが、日本古来の美しい自然観を信念に海外に暮らし、世界を旅している。明治以前の日本人は、自然と共生するサステナブルライフを実践していて、世界から尊敬された。だが敗戦以降、大量消費社会となり、バブル期には「下品だ」と嫌われてしまう。

だが、そこから今日まで、勤勉な先人の努力によって再び尊敬されるように。実際この10年、世界どこにいても、日本人のぼくに好意的な態度を見せる人たちが劇的に増えた。それは、日本が経済立国だからではなく、長い歴史で培われた、禅的思考や礼儀作法、緻密さといった美意識への敬意からである。世界で活躍する日本人のアニメーター、作家、シェフ、建築家、デザイナーといった先駆者のおかげで、ぼくらは、より気持ちよく安全に世界を旅することができるのだ。 

また、体質的に、黄色人種の気候への適応力は高い。我らの仲間たちは、極寒の北極圏でも、熱帯の赤道直下でも平気で生活し、海洋民族もいれば、山岳民族もいる。さらに、日本はスマホ市場での「iPhoneシェア率」1位。この最強のモバイル機器を一番活用しているのは、日本人なのだ。そして、日本のパスポートで行ける国の数は、世界でもトップクラスで、日本は地理的に便利な位置にあり、世界旅のハブとして最適である。こんな恵まれた国に生まれたことを、ぼくらはもっと感謝すべきなのだ。

この旅するような暮らしも10年経ち、当連載はもうすぐ満5年に。当時は連載テーマが「ブッ飛びすぎかも」と危惧していたが、社会は徐々に変化し、もはや斬新な生き方ではなくなってきた。

実は、テクノロジーやツールはとっくの昔に「場所に縛られない生き方」を可能にしていたが、多くの人が「住居=職場近くが当たり前」「自宅とオフィスは別」「居住地は1つが常識」という思い込みを外せなかった。だがパンデミックを受けて、人類は強制的にパラダイムシフトすることに。人間の思考や習慣が、技術の進歩に追いつくのは、いつも数年遅れなのである。

そんな時代の流れに逆行し、ぼくはライフスタイルを大きく変化させることにした。昨年、ふと直感的に、ここで構築してきたサステナブルな自給自足ライフを「さらに極めたい」と思い、2020年から移動生活の頻度を下げて、この山奥の自宅で年のほとんどを過ごすと宣言。振り返ると、ぼくの人生はいつも「逆張り」だった。

ということで、今回が最終回となるが、お知らせをひとつ。数年がかりで書いてきた『ミニマル仕事術(仮)』がついに完成。近く書店に並ぶので、ぜひお楽しみに。とはいえ、変わらずずっとこの先もぼくは「生涯アップル信者w」なので、本誌でもまた違う形でお会いすることになるだろう。

それまで、お互いStay Safeで過ごしましょう。長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました!

自宅の桟橋より。原生林に囲まれた湖のほとりにて。#shotoniphone

※この記事は『Mac Fan 2020年8月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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