日本で長い間、当たり前や常識とされていたことに対して、ずっと違和感を抱いていた。20年以上前、ぼくが学生のころ、「一流大学を出て大企業に入ったら勝ち組になれる」というレールが“用意されているはず”だった。
土地も株価も給料も上がり続け、有名企業が倒産したり、当時は世界を席巻していた日本経済が停滞することなどないだろう、と皆が思い込んでいた。命と同義の自分の時間を会社に渡したとしても、一生面倒を見てもらえるのだから人生は安泰という幻想もあった。
年功序列で自動的に出世でき、老後もたくさんの年金をもらえて、国が面倒を見てくれるから何も心配することはないと。しかし、あなたが生きる現代は、それがすべて崩壊したあとの日本だ。
昨年、日本を代表する世界的企業トヨタが、終身雇用は難しいと発言。さらに、「70歳定年法」が閣議決定され、年金の「繰り下げ受給75歳」も提案された。今起こっている、働き方と生き方におけるパラダイムシフトは、歴史上もっとも大きな変化かもしれない。
こんな時代に「どうやって生きていくべきか」わからなくなってしまうのは仕方がない。これまで「こうすべき」と言われてきたことが通用しなくなっているなら、飛び交う情報や無責任な他人に正解を求めても無意味である。暴走し乱暴に変化し続ける外の世界には答えはない。ならば、「好き。やりたい。」といった、あなたに宿る不変の感性を信じて生きるしかないよ、とぼくは言いたい。
しかし、その声は、とても小さいことが多い。それは、「ちょっとした違和感」というあいまいな心情や、「気になる」「心地よい」程度のことかもしれない。周りの目を気にしたり、過剰に空気を読むのではなく、その小さな心の声に耳を傾け、その感覚が示してくれる方角へ、信じて進むよりほかにないのだ。それが、後悔しない唯一の生き方だろう。
「内なる声を、他人の意見という雑音にかき消されてしまわないようにしよう。もっとも大切なことは、自分の心と直感に従う勇気を持つこと」。スティーブ・ジョブズのこの一節が、すべてを語ってくれているのではないだろうか。
当然、本気で自分らしく生きようとすると大変なことは多々ある。世間の常識から外れることになるから、周辺の抵抗や予想外のアクシデントに遭遇するだろう。この自分で決める生き方には重い責任や難しさがあるが、あらゆることを自分で取捨選択し、人生とすべての時間を自分でコントロールしていい、という言葉にできない深い喜びがある。
多大な苦労やリスクがあったとしても、人生の自由度が増せば、思考の柔軟性と創造性が高まるだけでなく、瞳や表情の輝きが増すものだ。磨かれた佇まいは、自ずと上質な人や情報を引き寄せてくれる。そうやって、さらなるポジティブスパイラルに乗ることで、生活と仕事両方のステージがよりアップグレードしていくことになるのだ。

※この記事は『Mac Fan 2020年3月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール
四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。





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