仕事につながるコンテンツすべてを、自分のライフスタイルから生み出すことができれば、旅するように生きることが可能になる。そして、依頼される仕事の精度も高まってくる。
たとえば、毎年エシカルな現場を視察する「オーガニックジャーニー」を続けるぼくには、大量消費型のファストファッションの仕事は来ないが、フェアトレードブランドからの依頼はある。
モバイルボヘミアンとして生きるには、自分が本当にやりたいことを明確に持ち、表現し続けていることが絶対条件となる。そもそも、「なにを中心に生きたい?」と聞かれたとき、あなたは即答できるだろうか。ぼくの場合はそれがニュージーランドの湖畔でのサステナブルな自給自足ライフだった。
だが、「なにを追求したいかわからない」という人は多い。そんな人のために、1つ明解なアドバイスを。それは、今すぐ旅に出てみることだ。
あなたにとっての理想の生き方や人生で追求したいこと、心が震えるほどのなにかに日常で出会えない場合、旅で遭遇することが多々ある。ぼくは学生時代に、オンボロのバンに寝泊まりして日本中の自然を旅したときに、それに気づくことができた。できるだけ早い時期に「やりたい旅」をすることは大切だ。
「1つの宗教しか知らない者は、どの宗教も理解していない」という欧米のことわざがある。これは、「比較対象がなければ、ずっと信じてきたものが正しいかは決してわからないよ」という意味だが、「日本の常識しか知らない=1つだけの常識を盲信して人生を終える」ことの危険性を、ぼくは指摘したいのだ。
年に数日でいい。今のあなたの生活圏とは違う土地で暮らすように旅をしてみよう。潜在意識に染み込んだ固定概念から少しでも距離を置く日々を送れたら、その旅は成功だ。かく言うぼくも、移動生活が日常になるほど旅が過激化したのはモバイルボヘミアンになったあと。つまり40歳を超えてからだ。旅先で出会う衝撃や感動は「仕事になる」だけでなく、生きる喜びそのものだと痛感している。
だから、あなたも自身の生き方をデザインしてくれるような原体験を得る旅に、今からでも出てみてほしい。
やりたいことを見つけて、それを中心に生きる権利を誰もが持っている。そうすることこそが、アーティストのように生きることだとぼくは信じている。
モバイルボヘミアンは、デジタルデバイスを使いインターネットを介して働く、自由な知的労働者だ。テクノロジーのモバイル化が加速したことによって可能になった生き方ともいえる。場所にも時間にも拘束されないライフスタイルは、間違いなく人間の思考を進化させ、創造性を拡張してくれる。
そして、これは、モバイルボヘミアンに限ったことではない。「不要な常識=無意味な制約」に縛られず、斬新な発想でイノベーティブに働くことが、これからの時代に必須のスキルだからだ。

※この記事は『Mac Fan 2020年2月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール
四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。




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