旅するように生きるためには、個人の発信力は欠かせない。2019年8月現在、ぼくのツイッターのフォロワー数は約2万人、フェイスブックは公式ページと個人を合わせると約3万人、インスタグラムは1.4万人なのだが、個々SNSで1万人超くらいから「セルフメディア」と呼べるような影響力を手にできるようになった。
今はモバイルテクノロジーと、趣味や特技、ライフスタイルを掛け合わせてコンテンツ化し、ビジネスに変えていくことが可能だ。それは、マニアックであればあるほどブランドの価値が高まる時代。
自分が本当にやりたいことを狭く深く掘り下げて発信していると、徐々にそれがオンリーワンの価値となり、興味を持ってくれる人が現れる。
ぼくだって、SNSを始めて最初から何千人ものフォロワーがいたわけではない。しかし、フォロワーをつける方法は存在する。それは、「SNS×専門メディア」という掛け算だ。専門メディアは抱えるユーザ数は少ないが濃いファンがいる、というのが特徴。こういった、わずか数千人から1万人程度のユーザしかいないようなメディアからフォロワーを作り始めることが、とても有効なのだ。
自身を例にすると、発行部数が数千部ほどのフライフィッシング専門誌で、会社員時代から細々と原稿を書いていた。その次のステップとして、アウトドアや登山といった、発行部数が1万から2万程度の雑誌に進出したいと考えていた。
ニュージーランド移住の3年前から、これらの雑誌を研究して企画書をつくっては出版社に持ち込み、「こんな記事を書かせてください」と、何回も何回もプレゼンし続けた。今思えば、いわゆる「営業」という挑戦をしたのが、これが最初で最後。でも、この時期こそが、その後の人生を決めたと言っていいだろう。
ある日ついに、そんなぼくをおもしろがってくれる、ある編集者との出会いがあり、アウトドア誌で取り上げてくれることに。最初は小さな記事からだったが、何度かその雑誌で掲載してもらうようになった。すると、その一連の記事を見た他社のある編集長が「新たに登山専門誌を発行することになったので出てみないか」と、声を掛けてくれたのだ。
そこから、その登山雑誌に頻繁に出るようになり、ついには何度も表紙を飾り、連載を持てるまでになった。同時に、ほかのアウトドアや登山、釣りや冒険を扱う複数の専門誌にも出させてもらうようになり、フライフィッシング専門誌やアウトドア雑誌でも連載をするようになった。狭いジャンル限定だが、徐々にぼくは知名度を上げていくことになる。
これはまさに、レコード会社プロデューサー時代に、無名のミュージシャンをブレイクスルーさせていった手法とまったく同じ。自分が本当にやりたいこと、好きなことを、本気で突き詰めた結果、最初に取り上げられるのは、必然的にマニアックな専門メディアになるのである。(次号へ)

※この記事は『Mac Fan 2019年10月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール
四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。




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