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お金から自由になる唯一の方法・前編/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第42話】

著者: 四角大輔

お金から自由になる唯一の方法・前編/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第42話】

組織に依存せず、個人で生きるために必要なことはなんだろうか? それは「お金から自由になること」だ。そのためには、本気になってお金と対峙しないといけない。

社会人になり、給料が上がるとつい生活レベルを上げてしまい、全体的な出費が増えていく。一度それに慣れてしまうと、欲望は膨張を続け、誰でも気づかぬうちに、お金の魔力がもたらす「負のスパイラル」に落ちていってしまう。

そうならないためにぼくが実践したのは、自分の「ミニマム・ライフコスト」を把握することだ。これはぼくがつくった概念で「自分や家族が健康的に生活するために必要な最低限のお金」のこと。これさえわかれば、「これ以上は無理して稼ぐ必要はない」ということに気づくのと同時に、ムダな出費こそがもっともハイリスクな行為、という「お金の本質」を知ることもできる。

そして、不必要なお金への焦りや、お金を失う恐怖から解放され、「自由への入口」を見出すことができるのだ。

講演会で、参加者にこの計算をやってみてもらう機会があるが、ほぼ全員が「こんなに少なくて大丈夫だとは知らなかった!」と驚くからおもしろい。

これを把握していない人は常に不安で、「なんとなくこっちが安定路線かも」「本当はこれをやりたいけど、あっちの方が稼げそうだ」という軽薄かつ短絡的な選択をしてしまい、人生の本質ではないことに多くの時間を浪費してしまう。 

ぼくは、レコード会社で働いているときも常にこのコストを把握していた。当時、東京でのその金額は、だいたい20万円ほど。1カ月のうちに20日間ほどバイトすれば稼げるくらいの金額ということになる。だから「最悪この仕事をクビになっても大丈夫」と、リスクをとって思い切った挑戦ができるようになり、30歳を越えてから次々とヒットを出せるようになった。つまり、ミニマムライフ・コストを把握することで、精神的な自由を手にすることができ、人生を決めるような重大な機会に仕事で何度も挑戦することができるようになったのだ。

ヒットの数やその規模に伴い、レコード会社勤務の後半10年間は、給料が5〜6倍に増えていったが、ぼくは生活レベルを一切上げなかった。移住資金を貯めるためでもあったが、お金の魔力の恐ろしさを知っていたので、ムダな出費をして生活レベルを上げよう、という発想自体が生まれなかったのだ。

今のニュージーランドの森の生活はまさにその進化型。自給自足なので、まず食費がほぼかからない。それに加えて、以前ここで書いたように、ぼくの仕事が「物技交換」や「技々交換」で成り立っていて、お金を介さずにモノやサービスを受け取っているため、ここでは月7〜8万円あれば生きられるのだ。

あなたや家族が健康的に生活するためには、最低限いくら必要なのだろうか? 今すぐ、あなたもミニマム・ライフコストを計算してみよう。(次号へ)

フィリピンのセブ島にて。(Photo:YOSUMI’s iPhone)

※この記事は『Mac Fan 2019年6月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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