両手が、常に自由自在な状態であること。これは、移動生活、日々の暮らし、そして大自然への冒険といった、ぼくが営むすべてのライフスタイルにおいて、最重要視しているマイルールだ。
1カ月以上という、長期間に渡る移動生活の我が旅の相棒は、機内持ち込みのバックパック1つだけ。手を束縛して移動行為を阻害し、文字どおり“お荷物”となるスーツケースを使うのは、旅先から持ち帰るべき物が多いといった特殊な場合のみである。
街に出るときはいつも、ある構造のバッグを使っているが、荷が多いときは小型のデイバッグを活用。そして、ライフワークのロングトレイル登山や、フライフィッシング冒険においては、いうまでもなく大型バックパックが大活躍だ。
これら背負う「リュック型バッグ」は、人間の骨格や筋肉バランス上、もっとも理にかなった構造となっている。ほかのどのタイプのバッグよりも身体への負担が低いうえに、両手を自由にしてくれるといった圧倒的なアドバンテージがある。しかし、難点が1つだけあるのだ。
ズバリそれは、「荷物を取り出しづらい」こと。常に背後にあるため、必要なギアを取り出す際は「背中から下ろす」という、かなり大がかりなファーストアクションが必須となってしまう。
ちなみに、ぼくが移動生活や冒険で活用している大型のバックパックには、背中から下ろさずともギアを取り出せる特殊機能を備えている。その詳細な解説は次号以降に譲るとして、今回は軽く説明しておこう。
どの登山用リュックにも、腰に固定するウエストハーネス2本と、両肩に固定するショルダーハーネス2本がある。これら4本に小さなポケットを計4つ付けている。これらに入れた物は歩きながらでもアプローチ可能で便利だが、当然大きなギアは収納不可。
「どうすればいいか」。この問題を解決すべく20年以上、山や旅で試行錯誤を繰り返し、いろんなスタイルを試した結果、ぼくが行き着いたのは「サコッシュ」との組み合わせだった。
サコッシュという呼び名は最近やっと一般的になってきたが、まだ知らない人のために説明しておこう。いわゆる「ショルダーバッグ構造」になっていて、基本的な使い方は斜め掛け。いわゆる“幼稚園児掛け”とも呼ばれるスタイルだ。メッセンジャーバッグのような使い方、といえばわかるだろうか。
一般的なショルダーバッグと違うのは、小さくて軽い点。それだけでなく、構造が究極までミニマムなのが特徴だ。
リュック型バッグを背負ったあとに、サコッシュを斜め掛けして前に持ってくる。小型・軽量・シンプルなため、干渉や負担が少なく、驚くほど快適。
身体の前面か側面に維持できるサコッシュは、バックパックやリュックとのコンビネーションでも単体使用でも、手軽さとギアの取り出しやすさにおいて、最高のパフォーマンスを発揮する。
写真は、各アップル製品に対応していて、最軽量クラス。ぼくが厳選に厳選を重ねてきた相棒たちだ。これら“ミニマリストバッグ”を、ぜひお試しあれ。

※この記事は『Mac Fan 2017年11月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール

四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。