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予定に縛られない生き方〈前編〉/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第6話】

著者: 四角大輔

予定に縛られない生き方〈前編〉/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第6話】

3月。晩夏のニュージーランド。早くも、2016年の6分の1が過ぎてしまった。

この原稿を書き始める少し前、今年の〈ノマドプラン〉の微調整をしていた。現時点だと、4月から10月の間に、15カ国で移動生活をすることになっている。

でも実は、1年先まで予定を決めるようになったのは昨年から。ニュージーランドに移住して以降、場所の制約を受ける予定はあえて、なるべく決めないようにしていた。そのため、仕事のオファーへの返事はいつも期限ギリギリに設定。各方面には常々ご迷惑をかけていたことだろう。

なぜか。理由は2つ。

1つは、ここ10年弱ほど、半年どころか3カ月先でさえ予測不可能になってきたことである。感覚的には、iPhoneとMacBookエアが日本に登場した2007年、FacebookとTwitterが日本語化された2008年頃から、社会の変化速度が急激に加速した気がする。

もう1つは、先々まで予定を立ててしまうと、それに縛られて身動きがとれなくなり、人生の自由度を失ってしまうことだ。

たとえば、半年後にたった1つでも講演の仕事が入っていると、その時間は絶対にその場所にいなければならない。その予定を確定させた3カ月後に、予想もしてない社会変革が起きたり、想像を超えた大きな仕事が舞い込んできたりするかもしれない。

一度予定を決めてしまうと、ぼくのノマドライフに大きな制限がかかり、ダイナミックな変更は不可能という状態になる。〈チャンス〉を逃すうえ、〈大きな流れ〉にも乗れなくなってしまう。実際に、こういう出来事は何度もあった。もちろん、予定を立てないことで、失うものがたくさんあったことも事実である。ただ、ぼくとしては、この〈未知なるもの〉への可能性を何よりも優先させたいのだ。

レコード会社のプロデューサー時代は、まったく逆だった。当時は、自分のカレンダーを分単位で固め、担当アーティストの作品制作とリリース計画は、短くても1年半、長いと3年先まで週単位でガチガチに決めていた。ある意味、そういった緻密なプランニング立案能力と、それを遂行する確実性がぼくのプロデュースワークにおける、最大の武器でもあったといえる。

退社したのは2009年末。大学を卒業してから、15年近くも音楽業界で働き詰めたことになる。その間、世の中で創出されるイノベーションの数とその進化スピードは、今の10分の1もなかったのではないだろうか。

だから当時のやり方が通用したのだと、ぼくは捉えている。ただ、辞める2〜3年前(前述の2007年から2008年あたり)から、iTunesミュージックストアの音楽配信が日本でも浸透するなど、デバイスだけでなくプラットフォームにおいても、デジタルテクノロジー革命の波が加速。その頃から、「なんかもう違うな…」と肌で感じるようになっていた。

でも当時は、たとえそんな違和感を感じていても、どうしたらいいかわからない。ただ、「いろんな意味で固まってはダメだ。自分自身が変化し続けないとダメだ」と言い聞かせていたことを、今でも思い出す。

昨年の欧州6週間の旅の全荷物。すべて機内持ち込み(Photo:Daisuke YOSUMI’s iPhone)あ

※この記事は『Mac Fan 2016年5月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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