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モバイルボヘミアンとは〈後編〉/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第5話】

著者: 四角大輔

モバイルボヘミアンとは〈後編〉/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第5話】

この原稿を書いているまさに今日、20日弱の日本への旅から、ニュージーランドの湖畔の森に帰宅。前号は、セカンドホームとして使っている、ビーチに停めたキャンピングトレーラーの中で執筆していたことを考えると、この1カ月間、自宅には1週間ほどしかいなかったことになる。 

さて、これまで、〈ノマドライフ〉と〈デュアルライフ〉の違いや、誤用されることが増えた〈ノマド〉の歴史について述べてきた。今回はいよいよ本題、〈モバイルボヘミアン〉について書いてみたい。

プロフィールで紹介されるぼくの肩書きに多いのは次の3つ。①〈ノマド〉、②〈ノマドワーカー〉、③〈グローバルノマド〉。

①の表記は、3文字で完結するため、文字数に制限があるとき便利だし、「総称」としてとらえると間違いではないのでOK。②で紹介される場合は、いつも否定させていただくことになる。これまでも書いてきたとおり、〈ノマド〉とはライフスタイルであり、ワークスタイルに限られた用語ではない、というのがぼくの解釈だからだ。そして、ニュージーランドを軸に、頻繁に国境を越え、日本を含む複数の国を移動しながら仕事をしていることから、③がもっともしっくりくる。自分でも、この名称を使うことがもっとも多いかもしれない。

では、〈グローバルノマド〉と〈モバイルボヘミアン〉の違いとは何か。

「単なる旅人ではなく、国境を越えて移動しながら仕事をする人」、「移動が手段ではなく、生活そのものになっている人」である。

これらの要素においては、両者とも同じ。 

〈モバイルボヘミアン〉という概念において、重要なのは次の点なのだ。

「遊び、仕事、生活に垣根がなくなり、旅そのものが仕事と生活になっている人」

たとえば、ぼくにとっての究極の旅のスタイルである、フライフィッシング冒険やロングトレイル登山から派生した、雑誌での連載や寄稿、冒険トークライヴ、アウトドアブランドのアンバサダーや、ギアやウェアの開発、体を鍛えるためのトレーニング法のセミナーなどがそれにあたる。ニュージーランドで営む自給自足ベースの〈森の生活〉や、〈ノマドライフ〉そのものがコンテンツとなり、旅やライフスタイルの講演や執筆につながることが増えた。ここで実践しているオーガニックライフの発信を見た企業から、自然派プロダクトのブランディングの仕事をいただいたり。ライフワークとして続けてきた、起業家やクリエイターの育成活動がきっかけで、さまざまなオファーが舞い込むようになったり。

ただし、これらの仕事を受ける際、「仕事相手を好きと思えること」、「楽しいこと」、「長期間に渡り場所の制約を受けないこと」という3点を判断基準にしている。これらを守ることで、仕事がストレスとは無縁のものになる。その結果、モチベーションとクリエイティビティが高まり、必然的にそのクオリティも向上するからだ。

ちなみに、場所の制約を受けない仕事は〈モバイル・オキュペイション=持ち運び可能な職業〉と呼ばれる。辞書によると〈ボヘミアン〉とは、「社会の習慣に縛られず、自由気ままに生活する人」とある。いい言葉だ。

〈モバイルボヘミアン〉という言葉の概念、理解していただけただろうか。

歩いて半日かかる黒部の秘境にて(Photo: Daisuke YOSUMI by iPhone)

※この記事は『Mac Fan 2016年4月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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