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国際映画祭63冠の映像作家・井上春生が“必需品”と語る「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」/高速転送による“待ち時間ゼロ”が生む創造の自由

著者: 村上タクタ

国際映画祭63冠の映像作家・井上春生が“必需品”と語る「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」/高速転送による“待ち時間ゼロ”が生む創造の自由

「メカスさん……。We all miss you !!(みんな、あなたがいなくて寂しいです!)」

メカスさんとは”アメリカ実験映画の父”と呼ばれる映像作家ジョナス・メカスのこと。メカスは1922年にリトアニアに生まれ、ナチスの強制労働収容所を生き延び、戦後難民としてニューヨークに移住、映像作家として評価された人物。アンディ・ウォーホルやオノ・ヨーコなど多くの芸術家の支援者でもあった。

冒頭のセリフを大きな声で表明するのは詩人・吉増剛造さん。彼が、1991年にNYで知遇を得たメカスを悼むためにNYを訪れる様子を捉えたのが映像作家・井上春生さんの代表作「眩暈 VERTIGO」だ。

映画「眩暈 VERTIGO」より
画像:HUGMACHINE Co., Ltd.

詩と映像が混じり合ったような「眩暈 VERTIGO」の映像表現は、一部フィルムカメラで撮った粗い風合い、手持ちカメラによる揺れるカメラワーク、映画らしい浅いピント、もや、煙、逆光、暗い室内などが描かれ、おおよそ現代の「ハイレゾ」とはほど遠い。

しかし、それが高画質な映像より、はるかにその場の空気感、におい、人の情動を伝えてくれるように思えるから不思議なものだ。きわめて詩的で難解な映画だと思っていたが、見始めると約2時間がアッという間に過ぎるほど、引き込まれるほどのわかりやすさも兼ね備えている。つまり、暖かで、深いのだ。

世を去った「メカスさん」への惜別の念と、彼が世に残した”奇跡的な作品”と表現される息子セバスチャンへの愛情に満ちた映像作品だ。

映画「眩暈 VERTIGO」
眩暈 VERTIGO
出演:吉増剛造、Sebastian Mekas、Jonas Mekasほか
監督・編集:井上春生 製作:HUGMACHINE Co., Ltd.

外付けSSDは映像制作における必需品

この映像作品を作った井上春生さんの欠かせない“相棒”が「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」だ。

井上春生
HUGMACHINE有限会社代表。映画監督。2024年カンヌ映像詩人賞を受賞したほか、資生堂などブランドCMやPVなどでも受賞歴をもつ。手がけた映画、TVドラマ、TVドキュメンタリー、CM、PV、MVは大小含め400本以上。

カメラを使う方なら、SDカード、CFカード、CFexpressカードなど、記録媒体の最高のブランドのひとつとして知られるSandiskの名を知らない人はいないだろう。きっと、この記事を読んでいる方の中にもSandisk製品の愛用者もいるはずだ。Sandisk製品の中でも、高い人気を誇るのが「Extreme」というシリーズである。

そして同ブランドで、プロユースに向けて処理速度を磨き込み、圧倒的な性能を得たのが「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」だ。

SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4

【発売】
Sandisk
【価格】
5万4780円(2TB)、8万8880円(4TB)※サンディスクオンラインストアの2025年6月16日現在の価格

【URL】 https://shop.sandisk.com/ja-jp/products/ssd/portable-ssd/sandisk-extreme-pro-usb-4-portable-ssd?sku=SDSSDE82-2T00-J25

SandiskのポータブルSSDのミドルクラスにあたる「Extreme Portable SSD」の読み出し速度は1050MB/秒、書き込み速度は1000MB/秒となっている。これでも一般的なスペックからすると相当に高速なのだが、その上位モデルである「SanDisk Extreme PRO Portable SSD」は読み書きとも2000MB/秒を実現している。

そして驚くなかれ、「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」はさらに高速だ。なんと、最大3800MB/秒の読み出し速度と最大3700MB/秒の書き込み速度を実現している。これは速い。MacBook Airなどの内蔵SSDに迫らんとするスピードなのである。

「僕らの仕事にとって、書き込み速度は本当に大事なんですよ。撮影に出掛けると、毎晩カメラのCFexpressカードからバックアップを取ります。以前だったら何時間もかかって、それを寝ずに待っていなければならなかった。でも、『SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4』だと、ほどなくバックアップが取れるので、待つ必要がなくなったんですよ。これは仕事を大きく変えました」と、井上さん。

「SanDisk Extreme PRO Portable SSD」でもデータ転送にかかる時間は短かったというが、「『SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4』だと、コーヒーを飲む間もないほどです」と井上さんは笑う。

転送速度の速いSSDは時間の節約につながるのはもちろん、“待たなくていいこと”は、創造においては集中力の維持に効果的だという。SandiskのSSDは、考えることと動くことの距離を縮め、直感が冷めないうちに形にできる環境を保証してくれる、と井上さんは語る。

信頼性の高いボディと低価格

「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」には5万4780円の2TBモデル、8万8880円の4TBモデルがある(価格はサンディスクオンラインストアの2025年6月16日現在の税込価格)。最大3800MB/秒の書き込み速度、3700MB/秒の読み出し速度を持つ製品にしては「とてもリーズナブル」と言ってもいいだろう。もちろん、もっと安くて大容量の製品はあるが、この速度でこれほどリーズナブルな製品は、ほかにないはずだ。

ボディはしっかりとした鍛造アルミニウムで、丈夫なシリコンシェルで覆われている。IP65の防塵・防滴性を持っており、最大2メートルの高さからの落下にも耐えられるという。5年間の製品保証が付属するというところにもSandiskの自信がうかがえる。

サイズは139.95×68.58×11.94mm(LxWxH)、重さは約170gとなっている。通信規格はUSB4 Gen 3×2で、通信速度の速さを存分に発揮する。

現行のMacはもちろん、iPhoneやiPadなど、USB-Cポートを備えるデバイスとは付属のケーブル1本で接続できる。

フィルム時代から続く、“撮影データ”の大切さ

井上さんの経歴は、同志社大学卒業後に東映京都撮影所で、深作欣二監督、降旗康男監督らに師事したことに始まる。1980年代後半の当時、もちろん撮影はフィルムで行われており、編集したフィルムを納品するために新幹線に乗って持って行くときには「非常に緊張した」という。今のようなデジタルのバックアップが取れない世界で、完成した1本のフィルムに1億円ほどのコストがかかっていたこともあったそうだ。

もちろん、そこでは撮影してから現像するまでどのような仕上がりになっているかわからないという危うさもある。

その後、2000年代中盤にデジタルに移行してからも、データの保存には不確実性がつきまとうし、保存やコピーには時間がかかり続けた。

しかし、ついに「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」を使うことで、コピー時にかかる時間の問題はほぼ解決した。これによりバックアップも容易になったので、安全性も高まった。複数のバックアップを用意することで、誰もが経験したことのある“撮影データの消失”というリスクも避けられるようになった。

処理速度の向上は、単なる効率の問題ではなく、“哲学”を変える

現在の撮影、編集環境について井上さんに聞いてみた。

撮影はSONY FX9/FX3の4K LOG。XQDメモリカードなどで撮影したものを「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」にコピーする。編集するパソコンはM2 MacBook Air(15インチ)。もともとMacBook Proを使っていたが、最近はフットワークを重視して軽いMacBook Airにしたという。編集作業はAdobe Premiere Proと、DaVinci Resolveを使う。

その状況で、撮影ファイルを5トラック、上下レイヤーに配置し、シーケンシャル再生および編集作業を行っても、フレーム落ちや遅延なくスムースに動作する。従来のHDD+SSDベースの作業環境では、90分以上の映画の場合、テロップ1枚の挿入(ひと文字入力)ごとに30秒ほどのレインボーカーソル(処理待ち)が発生しており、非常にストレスフルだったそうだ。

現在制作中の新作映画に備えて撮影した写真は、すでに5万枚を超えている。そこから“何かが映っている”と感じた瞬間を、SSDの上でスクロールしながら選び出すそうだ。その作業は、撮影とも編集とも分類しがたい、と井上さん。

処理能力の向上は、単なる効率化ではないという。

従来の作業は“待ち”が多く、その過程で貴重なアイデアやインスピレーションが失われることもあったという。また、少人数チームや、インディペンデント型の制作の現場では、脚本・予算・撮影・編集が同時並行で進行し、互いに影響し合う「ネットワーク型」の制作が主流になりつつある。このときにSSDの高速なデータ処理能力が大きな意味を持つ。

クリエイティブの現場では“試行錯誤”が何より作品の質を高めていく。フィルム時代はもちろん、従来のデジタルでの撮影・編集でも、試行錯誤には大変な時間が必要だったが、高速なSSDの登場により、今、撮影したばかりの素材を、すぐに取り込んで編集して見せ、スタッフ相互で確認することさえ可能になった。

それだけではない。高速なSSDの登場は、もっと深い意味で、制作の哲学自体を変化させつつある。

従来は“脚本”という設計図をいかに忠実に再現するか?がテーマであったが、今は“状況に応じて理想を再発見する”スタイルに変化しつつある。予算の制約が新しい表現を生んだり、キャストの即興が脚本を書き換えたり、編集過程で物語の核心が浮かび上がったりするなど、制作プロセスがより流動的で有機的なものになっている。SSDはこのような創造の“呼吸”を止めない役割を果たしているのだ。

「これにより、映画制作は“つくる”作業から、“見つけていく”作業へと変容しました。待ち時間から解放されたことで、クリエイターは今この瞬間に集中できます。この技術的進化によって、創造の本質的な自由を取り戻せるのです」と井上さんは語る。

井上さんはSandisk製品のヘビーユーザだ。iPhoneに「SanDisk Extreme Portable SSD 8TB」を接続し、映画でメイキング撮影した動画を直接保存している。ちなみに、同製品は8台所有しているのだそう。

次回作は、新たな音楽が生まれる過程を追う

次作として制作中なのがドキュメンタリーオペラ「Rhapsody Eden(仮題)」。

 LUNA SEA、X JAPANのギタリストであり、映画音楽作曲家としても活躍するSUGIZOと、日本とパレスチナにルーツを持つ世界的オペラ歌手であるマリアム・タマリがともに音楽を作る姿を追う。「SUGIZOさんのギターと、彼女の声が、心の深い場所で呼応して音楽を奏でる。そのプロセスを表現しようと思っています」と井上さん。

東日本大震災の復興を映像でサポートする「映像の寄付」を行ったり、アフガニスタンの映画監督と協力したりという強いメッセージ性と、詩人の魂を持つ映像作家・井上春生が、「SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4」のスピードを活用することで、どんなクリエイティブを産み出すのか? 完成が楽しみだ。

※本記事はSandiskとのタイアップです。

写真●黒田彰

SanDisk Extreme PRO Portable SSD with USB4

【発売】
Sandisk
【価格】
5万4780円(2TB)、8万8880円(4TB)※サンディスクオンラインストアの2025年6月16日現在の価格

【URL】 https://shop.sandisk.com/ja-jp/products/ssd/portable-ssd/sandisk-extreme-pro-usb-4-portable-ssd?sku=SDSSDE82-2T00-J25

著者プロフィール

村上タクタ

村上タクタ

Webメディア編集長兼フリーライター。出版社に30年以上勤め、バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴ飼育…と、600冊以上の本を編集。2010年にテック系メディア「ThunderVolt」を創刊。

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