充電時間が変わる
iPhone X/8シリーズ以降のiPhoneにはワイヤレス充電機能が搭載されており、ライトニングケーブルをつながなくても、ワイヤレス充電器に置くだけで充電できます。大変便利なワイヤレス充電機能ですが、利用する際にはいくつか知っておきたいことがあります。
まずは規格。iPhoneが採用しているのは、ワイヤレス給電の国際標準規格「Qi(チー)」で、電磁誘導方式を用いて給電充電を実現。iPhoneだけでなく、アンドロイドスマホでも数多く採用されており、いわば業界標準的な方式といえるものです。
また、ワイヤレス充電を行うには、Qi規格に対応した充電器が必要です。充電器は製品によって出力に違いがあり、それに伴い充電にかかる時間が異なります。もっとも一般的なのが5W(ワット)タイプで、そのほかにも急速充電に対応した10ワットタイプもあります。
ところが、iPhoneのワイヤレス充電機能は、5Wとアップル独自の高速充電を行う7.5Wにしか対応していないため、10Wタイプの充電器を用いても急速充電ができません。iPhone対応を謳うワイヤレス充電器には、5Wしか対応していない製品もあるので、高速充電を利用したい場合は必ず7.5W対応かどうかを確認しましょう。
●ワイヤレス充電に対応したiPhone
iPhone 8
iPhone 8 Plus
iPhone X
iPhone XS
iPhone XS Max
iPhone XR
iPhone 8以前のモデルの場合は、ワイヤレス充電機能を搭載したiPhoneケースなどを用いれば利用できます。
ワイヤレス充電器選びのコツ① コイル数とワット数に注目せよ!
ワイヤレス充電器には、電磁誘導で用いるコイルが内蔵されています。多くのワイヤレス充電器にはコイルは1つしか搭載されていないため、充電できる基本的にiPhoneは1台だけ。しかし、複数のコイルを内蔵したワイヤレス充電器もリリースされており、それらの製品なら同時に複数のiPhoneをワイヤレス充電できます。家族などの複数人で利用したい場合は、こうした複数のコイルを内蔵した充電器がおすすめです。
また、ワイヤレス充電器に使用する電源アダプタにも注意しましょう。安価なワイヤレス充電器にはUSBケーブルしか付属していないものも多く、その場合は別途、USB電源アダプタを用意する必要があります。ところが、iPhone付属の電源アダプタのように出力が5W程度のものだと、7.5W対応のワイヤレス充電器をつなげても適切に動作せず、5Wタイプのワイヤレス充電器としてしか利用できません。7.5W対応のワイヤレス充電器を用いる際には、電源アダプタの出力にも注意しましょう。
5Wと急速充電モードの10Wに対応したQi規格対応のワイヤレス充電器。iPhoneでは5Wタイプの充電パッドとして使用できます。電源アダプタは付属していないのでご注意を。
こちらは複数人での利用に便利な3台同時にワイヤレス充電ができる充電器です。5W×3に加え、USBポートも1つ搭載しています。電源アダプタ付属です。
Belkin Boost Up Special Edition Wireless Charging Pad
【価格】7117円
Apple Store限定で販売されているiPhoneのためのワイヤレス充電器です。ステンレススチール構造で7.5W出力にも対応しているので、高速充電が可能です。電源アダプタも付属。
ワイヤレス充電器選びのコツ② 「平置きタイプ」と「スタンドタイプ」はどっちが便利?
ワイヤレス充電器の形状は大きく分けて、iPhoneを水平に置く「平置きタイプ」と縦置きできる「スタンドタイプ」の2種類があります。もちろん設置する場所や環境に応じて好みのタイプを選べばよいのですが、それぞれメリットやデメリットもあります。
まず、薄型で持ち運びにも便利な平置きタイプですが、iPhone X/XS/XS Max/XRユーザの場合、通知などが表示されたときに置いてある位置によってはFace IDでiPhoneをロック解除ができず、いちいちiPhoneを手に取る必要があります。当然、その間は充電がストップしてしまいます。
一方、スタンドタイプならiPhoneの画面に顔を向けるだけでロックが解除でき、充電したままの状態で通知内容を確認できます。手に届く範囲に置いてあれば、そのままで画面操作も可能です。横向きに対応したスタンドタイプなら、充電しながら動画を見れるメリットもあります。
このように、充電中の操作を考えるとスタンドタイプがおすすめ。旅行や出張など持ち歩く用途であれば、場所を取らない平置きタイプがベターでしょう。
スタンドタイプは充電しながらロック解除可能
スタンドタイプ(図下)であれば、充電しながらFace IDで画面をロック解除できます。充電状態のまま画面操作が行ええうのは、平置きタイプ(図上)にはないメリットです。
Logicool Powered Wireless Charging Stand
【価格】8942円
7.5W出力にも対応したスタンドタイプの充電パッドです。iPhoneが横にズレないようにガイドが付いています。電源アダプタ付属。Apple Storeのみで販売されている製品です。
mophie wireless charging base
【価格】5054円
【URL】https://www.apple.com/jp/shop/product/HL812ZM/A/mophie-wireless-charging-base?fnode=97
7.5Wの高速ワイヤレス充電に対応した充電パッドです。平置きタイプなので持ち運びにも最適。電源アダプタも付属しています。
ケーブルとワイヤレス充電器 充電速度はどのくらい違うの?
同じワイヤレス充電器でも、出力が5Wのものと7.5Wのものでは充電時間が異なると解説しました。では、実際どのぐらいの違いがあるのでしょう。充電時間は速いに越したことはありませんが、さほど大きな差がなければ、5Wでの充電でも問題ない場合もあります。夜間、寝ている間に充電するなら、少し時間がかかっても安い5W対応の充電パッドを使ったほうが経済的です。実際どれぐらい違いがあるのか実測してみました。
使用したiPhoneは、最新のiPhone XS。電源投入直後の何もアプリを開いていない状態で、5Wの充電パッドと7.5Wのワイヤレス充電器を使って充電してみました。計測したのは、電池残量10%から充電をスタートさせて80%になるまでの時間(分数)です。結果は右の表のどおり。スタート直後は大きな差はありませんが、時間とともに差が開いていきます。最終的に80%に達したのは、5Wが163分、7.5Wだと128分しかかからず35分の差が生まれました。90%や100%になるまでなら、差はさらに広がったことでしょう。
ちなみに、iPhoneを一番速く充電できるのは、USB-PD(Power Delivery)対応の電源アダプタとLightningケーブルを用いた方法です。同様に充電時間を計測したところ、なんと55分で80%に到達しました。ケースバイケースでワイヤレス充電と有線充電を使い分けましょう。
5Wと7.5Wの充電時間の違い
5Wと7.5Wのワイヤレス充電器を使って、iPhone XSの充電が10%から80%になるまでかかった時間を計測しました。最終的には35分の差が生じました。
ワイヤレスとケーブルの充電時間の違い
当然ながらLightningケーブルを使った有線充電よりワイヤレス充電のほうが時間がかかります。MacBook Pro(13インチモデル)付属の「61W USB-C電源アダプタ」と「USB-C – Lightningケーブル」で計測した結果の比較です。
iPhone 8以降でサポートされた「高速充電」機能に使えるのは、29W、30W、61W、87WのUSB-C電源アダプタとUSB-C – Lightningケーブルです。これを使えば、iPhoneを30分で最大50%まで充電できます。