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Phone XS/XS Maxの全貌①

Phone XS/XS Maxの全貌①

大容量モデルがラインナップ

2018年9月のスペシャルイベントで発表されたiPhone  XS(テンエス)/XS Max(テンエスマックス)は、昨年リリースされたiPhone X(テン)の後継となる最新モデルです。iPhone Xで示した先進性をさらに深めながら、より使いやすく、驚くようなユーザ体験を私たちに提供してくれます。特に、iPhone XS Maxに搭載されたオールスクリーンの6.5インチディスプレイは息を呑むほど美しく、写真や動画などのコンテンツを今まで以上に迫力満点に味わうことができます。

iPhone  XS/XS Maxでは、スペースグレイ/シルバーに加えて、新色のゴールドが登場。iPhone Xから引き続き採用されているステンレススチール製フレームともマッチし、美しく高級感ある仕上がりが魅力的です。もちろん、シルバーとスペースグレイも従来どおり気品ある仕上がりとなっており、ユーザの所有欲を十分に満たしてくれます。

また、ストレージ容量は64GB/256GB/512GBの3モデルから選択できるようになりました。iPhoneのストレージ不足で悩んでいたユーザにとって、512GBの超大容量モデルはうれしい選択肢となるでしょう。

価格は、iPhone XSが11万2800円(税別64GBモデル)から、iPhone XS Maxは12万4800円(税別64GBモデル)からで、2018年9月21日から販売開始されています。これまでと同様にアップルストア直営店やアップルオンラインストア、各キャリアの販売店、家電量販店などで購入できます。

さっそく次から、新たなフラグシップモデルの進化の全貌を見ていきましょう。

スマートさを維持しながら超巨大ディスプレイを搭載!

新サイズ、新カラーが登場

iPhone XS/XS Maxのデザインは、iPhone Xで打ち出された方向性が踏襲されています。XSはXとまったく同じ外寸で、背面はガラスパネルです。一方、iPhone史上最大となる6.5インチの巨大ディスプレイを搭載したXS Maxは幅が6.5ミリ、高さが13・9ミリiPhone XSよりも大きくなっています。ただし、スペックの数値やXSと並んだ写真を見ると超巨大に感じますが、実は高さと幅はiPhone 8プラスよりも若干コンパクト。重量も、iPhone 8プラスの202グラムに対してXS Maxが208グラムなので、事実上ほぼ同じと言って差し支えないでしょう。

カラーはiPhone Xと同じ「スペースグレイ」と「シルバー」に加えて、新たに「ゴールド」が登場。ゴールドとスペースグレイの着色には高度な物理蒸着処理が用いられており、色の映え方や光を受けての反射率なども深みのある仕上がりになっています。

また、外観のデザインに大きな変化が少ない一方、耐水・防水性能は従来のIP67からIP68(水深2メートルで30分耐久)へと進化しているのも特徴です。

XS MaxはiPhone 8 Plusと同程度のサイズ

XS Maxは、6.5インチスクリーンを搭載しながらも、iPhone8 Plusより若干コンパクト。XSのボディはiPhone Xとまったく同じサイズです。

厚さは2モデルとも共通

XS/XS Maxともに、厚さはiPhone Xと同じ7.7mmをキープしています。

高貴さを感じる新色「ゴールド」

XS/XS Max共通の新色として「ゴールド」が登場。原子レベルで行われる高度な物理蒸着処理により、背面のガラスパネルにも美しくマッチする色と反射率が実現されています。

ステンレス製スチールフレームを採用

ボディには、Appleが開発した合金に医療器具レベルの精密な機械加工が施されたステンレス製スチールを採用しています。なお、iPhone XとXSは外寸は同じですが、背面カメラの出っ張り部分のサイズが異なるため、iPhone Xケースは使うことができないものが多いと思われます。

アンテナ線が追加

iPhone XS/XS Max(写真上)では、ボディの上下にアンテナ線が追加されています。

特別仕様の有機ELディスプレイ! 大迫力でコンテンツを楽しめる

新領域のサイズへ

新iPhone最大のトピックの1つともいえるのが、iPhone XS Maxに搭載された6.5インチの巨大ディスプレイです。市場には7インチの「タブレット」が販売されていることからも、スマートフォンとして最大級のスクリーンサイズへ到達したといえるでしょう。

しかも、単にサイズが拡大しただけではなく、iPhone XS/XS MaxともにiPhone X同様の458ppiの密度をキープしており、iPhone XS Maxの解像度は2688 ×1242ピクセルと新領域のスペック。対角サイズがほぼ2倍の12・9インチiPadプロが2732×2048ピクセルなので、いかに高精細な表示なのかがわかります。この環境であれば、近年利用者が大きく増加している雑誌の配信サービスでも、1ページを部分拡大なしでフルスクリーン表示して読むような使い方がかなり現実的に。そのほか、動画やゲームなどのコンテンツの体験価値も大きく底上げされるはずです。

一方のiPhone XSはiPhone X同様の5.8インチですが、注目すべきはこれがXRも含めた今期モデルの「最小スクリーンサイズ」だということ。iPhone SEの販売終了とあわせて、アップルの大スクリーン志向が明確に表れています。

より高画質を活かせる時代

両モデルのディスプレイの方式は、iPhone Xと同じ有機EL(OLED)ディスプレイが採用され、仕様上の大きな変更はありません。しかし、前モデルからの1年の間に、iOS用の「ユーチューブ(YouTube)」アプリがHDR(ハイダイナミックレンジ:明るさを幅広く表現でき、白飛びや黒潰れのない美しい映像を表示できる)動画の再生に対応するなど、ディスプレイの性能を余すところなく発揮できる環境が整ってきました。規格も、「ドルビービジョン(Dolby Vision)」と「HDR10」の2つをサポートしており、iPhoneのサポートに呼応してコンテンツ自体も増えるといった相乗効果も期待できます。XS/XS MaxではカメラもHDR動画撮影に対応し、HDRは4Kなどの技術に比べ小さい画面でも効果の違いがわかりやすいので、新モデルが牽引役となってネット動画全体が次のフェーズへと進化するような動きも十分に考えられます。

6.5インチの巨大ディスプレイ登場!

iPhone XS Maxは、タブレットの領域に迫る6.5インチの巨大ディスプレイを採用。iPhone Xと同じ5.8インチを踏襲したXSが今期「最小」となり、ディスプレイサイズは全体で大幅な底上げが行われました。iPhone 8 Plusは5.5インチなので、筐体のサイズはほぼ同じながら、ディスプレイの存在感がより増しています。

超高画質なOLED方式

iPhone XSとXS Maxは、いずれもiPhone Xから引き継いだOLED(有機LED)のSuper Retina HDディスプレイを搭載。XS Maxではサイズとの相乗効果で、動画やゲームのビジュアル体験がより大きなものになります。OLEDディスプレイは、赤、緑、青それぞれの発光体が直接光って表示する仕組みのため、バックライトを用いるLCD(液晶)よりも鮮やかでクリアな表示が実現可能です。

XS/MaxはiPhone史上最高の解像度!

iPhone XS Maxの解像度は2688 x 1242ピクセルと、縦は12.9インチiPad Pro(2732 x 2048ピクセル)に迫る数値。iPhone Xと同じ458ppiの高精細さを、6.5インチの大画面でも変わらずに享受できます。

2つのHDR方式に対応

明るい部分から暗い部分までを幅広く表示できるHDR(ハイダイナミックレンジ)動画再生は「Dolby Vision」と「HDR10」の2方式に対応。アプリ側のサポートも進み、よりリッチな映像コンテンツを楽しめます。

True Toneで色を自動調整

前モデルに引き続き、周囲の環境に応じて画面の色味を自動調整するTrue Toneを搭載。目に対する違和感を低減させることで、大画面化しても疲れを感じにくく快適に使うことが可能です。

圧倒的な1000000:1のコントラスト比

1000000:1のコントラスト比(明るい部分と暗い部分の差)は、XRの1400:1の700倍以上。特に「黒」を表現を得意とし、動画や写真の視聴を重視したいユーザには大きなアドバンテージになっています。

圧倒的パワーを発揮する「A12」チップ グラフィック性能が大幅に向上

操作の快適さを高める

これまでのiPhoneの歴史を振り返ると、新モデルが登場するたびに倍々ゲームのようにCPUのパフォーマンス向上が図られてきました。しかし、この数年はCPU処理速度の数値的な向上よりも、コア能力の配分を状況に応じて最適値に切り替えることに重点が置かれています。

iPhone XS/XS Maxに搭載されているA12バイオニックチップではこの傾向がより鮮明となり、CPUの性能向上は約1割程度に抑えられたものの、その分消費電力を低く抑えることに成功しています。

一方、ARなど高度なグラフィックス処理を必要とするアプリの操作性を高めるために、GPU性能は大幅に向上。ニューラルエンジンの進化とも相まって、顔認識を利用するシーンなどではレスポンスの向上を多くのユーザが実感できるはずです。また、メモリやキャッシュ管理機能の改善もあり、起動時のローディング時間の短縮なども見られます。強化されたパフォーマンスをユーザ体験が向上する部分から優先的に割り振るアップルの姿勢が反映されていることがベンチマーク数値からもはっきりわかります。

搭載プロセッサの比較

iPhone XS/XS Maxには、次世代のニューラルエンジン搭載のA12 Bionicチップが組み込まれています。

GPUのパワー比較

同じく「GeekBench」で3Dグラフィックス性能のスコアを示す「Compute」を確認すると、iPhone Xと比較しても約1.4倍以上の伸びが見られます。

CPUのパワー比較

ベンチマークソフトの「GeekBench」でCPU性能のスコアを測定したところ、iPhone XS/XS Max/では、シングルコア/マルチコアともに10%程度の性能向上に抑えられています。

A12 Bionicの活用シーン

バッテリの持続時間がより長くギガビット級LTE対応で速度アップ

より長く使えるように

iPhone XS/XS Maxでは、A12バイオニックチップの恩恵により、iPhone Xと比較して消費電力を最大50パーセントも抑えています。その結果、iPhone XSのバッテリ持続時間はiPhone Xよりも最大30分伸びており、iPhone XS Maxに至ってはiPhone Xより最大1.5時間も長く駆動できるようになりました。もちろん、iPhone X同様、高速充電やワイヤレス充電にも対応しています。

また、ネットワーク面では、iPhone XS/XS Maxは、受信最大速度1Gbps程度の高速なダウンロード速度を実現する「ギガビット級LTE」に対応。理論値ではありますが、たとえばドコモでは最大844Mbps、KDDIでは815・5Mbpsと、これまでよりも圧倒的に高速で快適な通信を可能にしています。

さらに、新iPhoneでは「予備電力機能付きエクスプレスカード」をサポートしました。これは、フェリカ(FeliCa)で設定したSuicaなどを使用する際、iPhone本体のバッテリが切れたあとでもしばらくは使えるという機能です。

バッテリ容量の変化

中国登録機関「TENAA」によると、iPhone XSのバッテリ容量は2658mAhとiPhone Xよりわずかながら減少しています。一方、iPhone XS Maxは3174mAhと過去最大のバッテリ容量です。

予備電力機能付きエクスプレスカード

これまではiPhoneのバッテリが切れてしまうと利用できなかったモバイルSuicaですが、iPhone XS/XS Max/XRではバッテリ切れでも利用できるようになりました。

通信速度を計測

東京・神保町でiPhone XSとiPhone XS Maxの通信速度を計測。LTE通信のキャリアはau、Wi-Fiは同じネットワークに接続しました。なお、エリアや電波環境によって通信速度は大きく変わるため、参考程度に見てください。

NFCとFeliCaを搭載

Bluetoothは新バージョンの5.0が採用されています。Bluetooth 5.0では大幅な低消費電力を可能にする「Bluetooth Low Energy(BLE)」が最大2倍に高速化し、IoT向けの仕様も強化されます。

Speedtest.net」でテスト

Apple Storeで配信されている「Speedtest.net」を利用しました。