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Parallels Desktop最新版はMacBookユーザの救世主

著者: 児玉潤一

Parallels Desktop最新版はMacBookユーザの救世主

Mac上でWindowsなどを動作させる仮想化ソフトの定番「Parallels Desktop for Mac」がメジャーアップデートを果たした。今回も数多くの機能向上を盛り込んでいるが、とりわけノート型Macユーザにとっては注目度が高いバージョンだといえる。

ストレージをスリム化

Macユーザがウィンドウズ用ソフトを使いたいとき、頼りにzなる存在が仮想化ソフトだ。ウィンドウズやリナックスなど、さまざまなOS環境を「仮想マシン」としてmacOS上で動かせる。この仮想化ソフトの超定番タイトル「パラレルス(Parallels Desktop for Mac)」の最新バージョン14が、今年8月にリリースされた。

本バージョンにおける改良ポイントの中で一番の目玉といえるのが、「ディスク領域の最適化」だ。パラレルスで管理する仮想マシンは、1つのOSにつき数GB以上のサイズになることが多い。しかし、「ディスク領域の最適化」を行うことで、仮想マシンが占有するストレージ領域をある程度解放してくれる。機能自体は以前から搭載されていたが、本バージョンでは最適化の効率がさらに向上し、メーカーのアナウンスによれば「最大20GB」もの領域を解放できるという。

この機能は、特にストレージ容量の限られたノート型Macのユーザにとって、かなり魅力的な改良点として感じられるだろう。たとえば筆者は、MacBookプロにパラレルスをインストールして4つの仮想マシンを登録していたが、すべてのファイルサイズを合計すると約70GBにもなっていた。これが重荷となって空き容量がいつも不足気味だったが、今回のバージョンアップによってその悩みも軽減された。

ストレスなく起動

また、パフォーマンスの向上も要注目のポイントだ。ウィンドウズとソフトウェアの起動が最大35%高速化、APFS形式のストレージ上にある仮想マシンのサスペンド(一時停止)速度が最大30%高速化、そしてパラレルス自体の起動が最大80%高速化など、さまざまな部分で速度向上が行われており、トータルの時間効率はかなり向上した。筆者のMacBookプロでは、パラレルスが起動していない状態から仮想マシン上のグーグル・クロームを起動するまで、わずか17秒で完了した(検証内容は下記参照)。MacBookプロのようにフラッシュストレージを内蔵したMacであれば、仮想マシン上のソフトでも、macOSのネイティブアプリとほぼ同じ感覚で作業を始められるというわけだ。

本バージョンはほかに、タッチバー(Touch Bar)への対応拡充、macOS「モハベ」への対応、グラフィックス性能の向上など、数多くの改良がなされている。仮想化ソフトを使いたいすべてのMacユーザにおすすめだが、ノート型Macではとりわけ多くのメリットを感じ取れるはずだ。

Parallels Desktop 14 for Mac

【発売】パラレルス

【価格】新規ライセンス:8500円、ほか各種プランあり

【URL】https://www.parallels.com/jp/

「ディスク領域を解放」では、これまで以上に多くのディスクスペースを確保できるようになった。

サスペンドの速度やソフトの起動速度などが向上したことで、用があるときにサッと使い始めることができる。

Parallelsでは、仮想マシン上のソフトをMacのDockに追加することができる。この機能を使い、Parallelsが起動していない状態からParallelsを起動→サスペンド状態のWIndows 10をレジューム(再開)→Google Chromeの起動までの時間を計測した。筆者のMacBook Pro 2.9GHz(13インチ/Late 2016)では、一連の流れがわずか17秒で完了した。

Touch Barへの対応は前バージョンから行われており、WEBブラウザの「Microsoft Edge」や各Officeソフトをコントロールすることができた。今回はさらにCADソフトなど複数のソフトがTouch Barに対応した。