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従来型Wi-Fiルータの選択ポイント

従来型Wi-Fiルータの選択ポイント

台頭する海外製Wi-Fiルータ

最近、家電量販店のネットワークコーナーに異変が起きています。以前はバッファローやアイ・オー・データ機器、NECプラットフォームズなどの国内メーカーが棚やワゴンを占有していましたが、いつの間にかTP-LinkやASUSなどの海外製品に押されてしまっています。外部アンテナの本数やデザインなども独特で、見た目のインパクトも強烈で、売り場でも異彩を放っています。

とはいえ、国内メーカーも負けてはいません。戸建てやマンションなど使用する場所や、利用人数などから製品ラインアップを紹介するなど、きめ細かなサポートを考えると国内メーカーの人気は衰えておらず、販売ランキングでは上位は国内メーカーがほぼ独占しています。

このように海外メーカーの本格的な参入によって、ものすごい数の製品が溢れているわけです。しかも、最近ではPCを使わなくてもiPhoneやスマートフォンで設定ができたり、PCだけに限らずWi-Fiを使うスマートデバイスなどにも適した機能や性能を盛り込んできています。よく言えば成熟、悪く言えば日常品化が進んで、ますますルータの選び方は難しくなっています。

これまで「迷ったら純正にしよう」と本誌でもおすすめしてきたAirMacファミリーが終息してしまったので、これからWi-Fiルータを新調する場合、どんな点に注意して選んだらよいか解説しましょう。

用語解説 ビームフォーミング

電波はアンテナを中心に全方向に広がっていくため、Wi-Fiルータ本体の向きを変えたり外部アンテナを動かしたりして端末に電波が届きやすいように調整する必要がありました。そんな面倒を改善する目的で登場したのがビームフォーミングです。端末の位置や距離に応じて電波の指向性を変え、電波を集中的に発射することで効率よくデータ伝送を行う技術です。

ビームフォーミングを使用することで、今まで届かなかった場所まで電波が届いたり、速度がアップしてスルートップが向上するケースもあります。最近では多くのWi-Fiルータがこのビームフォーミングを採用しており、iPhoneやiPadなど端末の位置が変化するWi-Fi環境では必須の機能といえるでしょう。

【Point 1】アンテナ

アンテナ内蔵型は、全方位に電波が届くよう設計されていますが、設置場合によっては効率が悪いことも。その点、外部アンテナ型なら、アンテナを動かすだけでエリアの調整が可能になります。また、アンテナの本数(ストリーム数)が多いほど最大リンク速度も速くなりますが、ほとんどのモバイルデバイスは1~2ストリームであり、4本以上はオーバースペックといえます。

アンテナ内蔵型の方がスッキリしたデザインで部屋に置いた際もさほど違和感はありません。最近は本体カラーも黒以外の製品が増えてきています。

アンテナの本数は接続する端末側のストリーム数とも関係します。たとえばストリーム数が多いMacBook ProやMac Proでも最大ストリーム数は3なので、アンテナ4本は過剰になる場合があります。

【Point】2 バンド数

現行のWi-Fiルータでは2.4GHz帯と5GHz帯の電波を両用する機種がほとんどです。こうしたデュアルバンドのWi-Fiルータなら、2.4GHzはIoT機器、5GHzはPCやモバイルデバイスなど使い分けることで効率がアップします。最近ではさらにもう一系統の5GHzを扱うトライバンドも登場してきました。これから導入するならトライバンドをおすすめします。

従来型のデュアルバンド対応のWi-Fiルータでは、2.4GHzと5GHzの電波を両用することで、データ伝送の効率アップを図ってきました。

ハイスペックのWi-Fiルータには従来の2.4GHzと5GHzに加え、もう1つの5GHzを追加してトライバンド化した機種もあります。

【Point 3】有線ポート

Wi-Fiルータには、有線機器やモデムと接続すためのEthernetポートが備わっていますが、よく見るとギガビットに対応していないモデルが存在します。機種によってポート数は異なるので、有線接続でPCや周辺機器をつなげる場合は搭載しているEthernetのポート数にも注意して選定しましょう。ポートが足りない場合はEthernetハブを買うための追加予算が必要になります。

[INTERNET]や[WAN]と書かれているポートがモデムをつなげるためのポートです。このWi-Fiルータにはそれ以外に3つのEthernetポートが搭載されています。

海外製のWi-Fiルータの中にはEthernetポートを8つも搭載している機種もあります。当然ですがポートの数が増えればそれだけWi-Fiルータ本体のサイズも大きくなります。

【Point 4】特殊機能

VPNなどの特殊機能を使いたい場合はそれに対応しているかも重要なポイントです。フラグシップモデルのWi-Fiルータならサポートしている機種もありますが、こうした特殊機能については仕様一覧にも載っていないケースがあります。明らかに対応を謳っていない場合は、事前にWEBサイトから取扱説明書をダウンロードするなどして確認する必要があります。

たとえばVPNに関しては「IPsec対応」など別の表現を用いている機種もあります。メーカーによって表記が異なる場合もあるので、こうした特殊機能が必要な場合は十分な事前調査が必要です。

VPN対応でもサポートするプロトコルや暗号化方式、認証方式がいろいろあります。まずはWEBサイトなどの仕様ページをみて、必要な特殊機能をサポートしているか調べましょう。

【Point 5】CPUコア数

Wi-Fiルータでもデータ処理にはCPUが使用されています。デュアルバンドやビームフォーミングなど処理が多くなると、CPUがボトルネックになってしまう場合もあります。最近ではバンドごとにCPUを割り当てて処理速度やスループットの向上アップを図っている製品があります。ヘビーな環境の場合は、マルチCPUを搭載している機種を選ぶのもポイントの1つといえるでしょう。

シングルコアCPUで制御されるWi-Fiルータだと同時処理ができないため、たとえば一方のバンドを処理していると別のバンドの処理が待たされてしまう場合もあります。

マルチコアのCPUを搭載しているWi-Fiルータなら複数のバンドを同時に処理できるので結果、スループットも向上します。