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丸投げでビデオをリミックス!「Mixatron」に挑戦

著者: 藤原鉄頭

丸投げでビデオをリミックス!「Mixatron」に挑戦

主役は替わる

世の中には登場して以来、ずっと人々を魅了し続けているものがある。「映像(動画)」もそのひとつ。古くはアメリカのドクター中松こと(違うか)発明王エジソンのキネストスコープ(1891)、またフランスのリュミエール兄弟のシネマトグラフ(1895)が、映像の先駆けとして時代を切り開いたことで知られている。

キネトスコープは箱型の映写機で、人が覗き込む方式。そのため一人ずつしか見ることができなかったが、エジソンはこれを複数台設置して映画館のようなものを作り、全米で大当たりした。一方、キネトスコープに触発されて作られたシネマトグラフは映像をスクリーンに投影する方式。現在の映画はシネマトグラフが発展したもので、1895年に最初の興行が行われた。初日こそ定員割れしたものの口コミで評判を呼び、結果、定員を超える大入りで大盛況に終わった。そしてシネマトグラフの成功で、エジソンはキネトスコープを見切ったのである。

それから順調に成長を続けた映画は映像コンテンツの主役として黄金時代を迎えるが、その後、主役の座をテレビに取って代わられ、今はテレビがインターネットにその座を脅かされている…。テレビが映画を凌駕したとき、その要因としてフットワークの軽さが挙げられたが、たぶんネットはテレビよりもフットワークが軽いだろう。さらに裾野も広い。2017年6月発表の総務省「平成28年通信利用動向調査」によると、インターネットを利用している個人の割合は83・5%(つまり約1億人!?)、メインユーザである20歳代の3分の2超がSNS・動画投稿を利用している、とある。これって日本いや世界中に面白いネタを求めるネットのカメラがウジャウジャいるってことじゃありませんか。

そのネットの映像の特徴といえるのが、プロの手によるものではない(ものが多い)ということ。正直ワタクシは最初この素人パワーをなめていたが、今ではかなりハマっている。巧みな話術の人気ユーチューバーの番組は当然のこと、キュートな少女がおしゃまに進行するガールズ番組も意外と興味深い。捨て身のギャンブラーたちの無謀な挑戦は結果が出るまで目が離せないなど、時間を忘れて見入ってしまうのだ。また、ツイッターなどで発信される日常の一コマを切り取ったスケッチ動画にも繰り返し見てしまうものが少なくない。そして影響を受けやすいワタクシは、見て楽しいそんな動画作りを自分でもやってみたくなるのだが…。

まずは楽しもう  

そうは言っても、これといって持ちネタのない素人が、見栄えのする動画をいちから作り上げるのは大変。そこで簡単に完成度の高い動画が作れるアプリに頼ることにした。「MIXATRON」は数秒の動画を撮るだけで、あとはほとんど丸投げできる動画加工アプリだ。あらかじめ用意された型に自分の撮った動画がはめ込まれるシステムなので、自由度はゼロに等しい。だけどこのアプリにかかれば、どんなにつまんない素材も見違えるほどよくできた動画にしてくれる。しかも映像の編集だけでなく、音楽や効果音も勝手につけてくれるのだ。

ただ、この手のアプリはバリエーションが豊富でなければ、すぐに飽きてしまう。その点で、正直言って少しもの足りない(無料アプリになに贅沢言ってんだか)。それに、ほとんどお任せなこのアプリで作った動画を、自分の作品と呼ぶのは少し違和感が…。ま、それはさておき、まずは見事な動画作りの技を楽しもう。いいものを見るのはきっと勉強になるしね。

Mixatron by Funny Or Die

ビデオフィルターでビデオをリミックスする

【開発】Funny Or Die, Inc.

【価格】無料

【場所】App Store>写真/ビデオ

15秒以内の短い動画を撮って(あるいは選んで)、あとはボタンをタップするだけ。平凡だった動画が、たちまちプロが編集したような見ごたえのある作品に変身する。しかも映像だけでなく、音楽や効果音まで付いてくるという、すべておまかせのビデオ編集アプリ。とにかく一度試してみて損はない。

 

ほとんど丸投げ! 見応えあるビデオ生成アプリにチャレンジ

●制作の流れ 

(1)アプリが開くと同時に背面カメラが機能。画面の上半分はカメラからの映像を映し出し、下半分が操作部(といっても、最初は2つのボタンだけ)という極めてシンプルな構成だ。

(2)真ん中の赤い円が動画撮影ボタン。タップではなく、押し続けている間、撮影が行われる。隣の角が丸い四角の中に矢印のアイコンは、すでに撮影済みの動画をカメラロールから読み込むボタン。

(3)このアプリで扱える動画は最長で15秒。操作部とカメラ映像の間に撮影時間を示すバーが表示されるので、撮影可能な残り時間の目安となる。

(4)撮り終えたら、「MIX」をタップしてミキシングに取り掛かる。

(5)フィルタは全部で12種類(2018年4月13日現在)、フィルターメニューは横にスライドさせて表示する。好きなフィルタを選んでタップすれば、すぐにミキシングされて生まれ変わった動画を見ることができる。

(6)気に入った作品は保存&SNSでシェアすることができる。

●完成度の高いフィルタ揃い

レトロな演出で雰囲気のあるサイレント映画風に仕上げてくれる。位置情報をもとに撮影地名が表示されるのもうれしい。

色合い、コマ割、吹き出しなど、アメコミの世界をテーマに、マルチな画面構成で展開する楽しいフィルタ。

映画「マグノリア」のトム・クルーズを彷彿させるエネルギッシュな自己啓発男が、「DO IT!」とまくしたてる。

モンティパイソンのテーマとしておなじみの「自由の鐘」が流れるエピローグ風のフィルタもある。

ギャング(不良)映画をモチーフにしたフィルタ。位置情報をもとに撮影地名がラストにカッコ良く表示される。

どんな動画も緊迫感あふれるホラー映画風に激変させる強力フィルタ。荒れた映像と不気味なSEが実に効果的。

銀行強盗を描いた犯罪映画のタイトルシーンのような、スタイリッシュで都会的なフィルタ。音楽もクールだ。

静止画ではわからないが、映像の変化とノリノリなダンスミュージックで賑わうパーティーの雰囲気を演出。