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クラウドファンディングの魅力

著者: 松山茂

クラウドファンディングの魅力

プロダクト開発を支援しよう

近年、インターネット上で開発資金を募集する「クラウドファンディング」を使ったモノづくりが注目されています。作りたいモノやアイデアはあっても、世に出すための財力がない。そうした人々や企業などがインターネット上で賛同者を募って資金を集め、資金を出資した人はその見返りとして、完成した製品をいち早く手にする。こうしたクラウドファンディングの仲介役を行うのが、「キックスターター(Kickstarter)」や「インディゴーゴー(INDIEGOGO)」といったWEBサービスです。

多くのクラウドファンディングサービスでは、さまざまなジャンルのプロジェクトを取り扱っていますが、その中でも多いのはテクノロジー関連の製品。たとえば、エアポッズ(AirPods)の登場で注目を集めている完全独立型ワイヤレスイヤフォンの市場にいち早く登場した「イヤリン(Earin)」は、キックスターターから生まれたプロダクトです。こうした斬新なアイデアや技術を取り入れたガジェットも多く出品されており、それがクラウドファンディングで製品を入手する大きな魅力です。

クラウドファンディングでは、まずは賛同者の募集を行い、目標資金を調達、そして目標金額を達成したら製品化するというステップを経てプロジェクトが進行します。すでにある商品を販売するのとは違い、大抵の場合、募集時にはまだ製品が完成していません。目標金額に到達したとしても、それから製造を開始するため、入手するまでに時間がかかります。スケジュールが遅れることや、プロジェクトの頓挫なども考えられます。文字どおりクラウドファンディングは“投資”であり、失敗のリスクも承知したうえで利用するようにしましょう。

なお、クラウドファンディングでは目標資金額を大きく達成したあとも、引き続き資金を集めるプロジェクトがあります。ここでは、そのような商品化する可能性が高いプロダクトをピックアップしました(2017年1月20日時点)。中には、すでに潤沢な資金を集め終わり、クラウドファンディングサービス上でプレオーダなどを受け付けているモノもあるので、チェックしてみてください。

主なクラウドファンディングサイト

●Kickstarter

クラウドファンディングサービスの代名詞ともいえるサービスが、キックスターターです。さまざまなカテゴリでプロジェクトを紹介しています。一部のプロジェクトは日本国内でガジェットを紹介・通販する「ラクニュー(RAKUNEW)」でも扱っています。【URL】https://www.kickstarter.com

 

●makuake

日本国内でユニークなプロダクトを探すなら、makuakeがおすすめ。これまで数多くのプロジェクトが成功しています。キックスターターなどで成功した海外のプロジェクトが、こちらで国内向けに紹介されるケースもあります。【URL】https://www.makuake.com

利用時に気をつけたい3つの注意点

1 必ず入手できるとは限らない

クラウドファンディングを利用した製品化には、必ず目標金額が設定されています。期限までに目標金額に達しない場合は、プロジェクト自体がスタートしません。おもしろそうな製品を見つけても、製品化されないで消えてしまうケースも多々あるのです。また、最初の製造個数を限定しているケースがほとんどなので、人気のプロジェクトは期限を待たずに目標金額を達成してしまい、気づいたときには募集を締め切っている場合もあります。途中で資金が底をついたり、技術上の問題が発生して製造を中止してしまうプロジェクトも過去にいくつかありました。プロジェクトに賛同して資金を提供しても、製品を受け取れないケースも(わずかかですが)あることを想定しておきましょう。

 

2 製品入手まで時間がかかる

プロジェクトの多くが資金を調達してから製造に入るため、お金を払ったらすぐに物が届くわけではありません。いつまでに製品を提供できるかスケジュールが公開されているので、最初にその点を確認しましょう。ただ、必ずしもスケジュールどおりに開発が進むとは限りません。クラウドファンディングでは、製造途中で何らかの問題が生じてスケジュールが遅れることは日常茶飯事です。スケジュールに変更があれば、クラウドファンディングサービスのサイトに報告が上がったり、出資者にメールで知らせが届きますが、何の連絡もない場合もあります。筆者の経験からすると、スケジュールどおりにことが運ぶことのほうが稀です。気持ちに余裕を持って製品化を待つ忍耐力も必要でしょう。

 

3 トラブル発生時は個人で対処

クラウドファンディングサービスは、あくまでもプロジェクトの発起人と出資者の仲介役です。出資金を支払ったプロジェクトが途中で中止となった場合、発起人と出資者同士でやりとりを行う必要があります。海外サービスだと日本語以外での交渉が必要ですし、発起人が破産してしまうと出資金が返ってくる可能性はほとんどなくなります。また、募集時にプロトタイプが出来上がっている場合もありますが、完成予想図しかない状態で賛同者を募集することも少なくありません。届いた製品のデザインや性能が予定していたものと異なる場合もあります。この場合、一般の商品のように返品もできません。このようなトラブルには個人で対処する必要があることを覚えておきましょう。