iPhoneのモビリティを拡張する製品
iOSデバイスを使っていると、ファイルを外部ストレージに保存したいシーンがある。他人にファイルを渡したり、デバイスの容量を削減したりとその理由はさまざまだが、特にストレージ容量の少ないモデルを選んだユーザにとっては身近な問題だろう。iOSデバイスにはアイクラウドやエアドロップなど、ワイヤレスでデータを転送するスマートな仕組みが備わっているが、通信制限などのネックもあり、物理的なメディアを求めているユーザは今も多い。最近では数社からライトニングコネクタに接続するタイプのフラッシュメモリが出始めているが、本音をいえば無骨なデザインの製品が多く、iPhoneユーザの美意識にはそぐわないものであった。
その点、マイクロンジャパンが販売する「Lexar(レキサー)」ブランドのフラッシュメモリは一味違う。「C20i」は、一見ただのライトニングケーブルにしか見えないが、実はこの中にフラッシュメモリが内蔵されているのだ。iOSデバイスに専用アプリをインストールすれば、デバイス内のファイルをアプリで管理して、必要に応じてC20iに移動・コピーできる。
そしてこのC20iをMacのUSBポートに接続すれば、ファインダから通常のUSBメモリと同じように閲覧でき、iOSデバイスから転送した写真やビデオにも簡単にアクセスできる。MacからコピーしたものをiOSデバイス側で閲覧することも可能だ。
また、iOSデバイスの充電用ケーブルとしても使用できる。モバイル志向のアップルユーザは、バッテリとともに常に携帯しておきたい製品といえるだろう。
●ケーブルの中にはメモリが
Lexar JumpDrive C20i
【発売】マイクロンジャパン
【価格】オープンプライス
【実売価格】16GB:5000円前後、32GB:8000円前後、64GB:1万円前後、128GB:1万8000円前後
●Macと合わせて使いたい
外出先でMacとiPhoneを接続して充電するのにも便利。専用アプリを使えばiPhone上のファイルをC20i本体に保存できる。Macに接続すればメモリの中身を閲覧できるため、iOSデバイスとMacでのファイルのやりとりにも使える。エアドロップなどが使えない場所でも役立つだろう。
●書き込みも高速!
カタログでは最大転送速度が読み出し「95MB/s」、書き込み「20MB/s」とあったが、Macで測定したところ書き込み速度「25MB/s」と、カタログスペックを上回る結果が得られた。フラッシュメモリの品質は書き込み速度に現れるので、満足できる結果だ。
用途に合わせた設計を目指して
モバイルユーザとの相性がとても良いC20i。iOSデバイス対応のフラッシュメモリに対して、マイクロンジャパンのジャパンセールスディレクター、大木和彦氏はこのように語る。
「iOSデバイスと合わせて使うメモリ製品は、利用シーンをよく意識して設計する必要があります。また、ハードだけでなくアプリも、スマートでユーザビリティの高いものでなければなりません」
実際に同社のフラッシュメモリ接続用iOSアプリ「モバイル・マネージャ」のインターフェイスを見てみると、操作性に配慮されたデザインで、たとえば保存したファイルがiOSデバイス内にあるのか、フラッシュメモリ内にあるのか、すぐにわかるようになっている。さらに、アドレス帳や写真を一括してバックアップする機能もあり、ユーザの手間を減らす工夫が見える。
また、アプリにはドロップボックスとの連係機能が備わっており、外付けフラッシュメモリの可能性を大幅に広げている。アプリの中では開けない特殊なファイルも、ドロップボックスを使ってクラウドにアップすれば他のアプリから開くことができる。つまり、ファイルの移動や編集がとてもスムースになるのだ。
ほかにもレキサーブランドの製品を見ていくと、ユニークな製品がいくつかある。USB3.0タイプCとタイプAのコネクタを備えたフラッシュメモリ「M20c」は、本体側面にあるスイッチを使って、タイプAとタイプC、2種類の端子を使い分けられるなど、利便性が高い。ノート型Macのストレージはあとから追加できないため、高速・大容量のフラッシュメモリは心強い。また、現在はタイプAコネクタのほうがよく使われているため、MacBookユーザが他人にファイルを渡す際にも非常に便利な製品だ。
さらに、ライトニングポートに接続するマイクロSDカードリーダも販売が予定されているが、この製品自体にマイクロSDカードが付属していたり、メモリが搭載されていたりするわけではない。メモリを製造・販売するマイクロンが、わざわざ読み取り機であるカードリーダまで取り扱う必要があるのだろうか?
「合理的に考えれば、取り扱う必要はありません。メモリを搭載していないため我々の収入にはつながりませんし、他社のマイクロSDカードを使う人だっているかもしれません(笑)。ですが、私たちは常にユーザ視点で製品を提供していきたいと考えています。マイクロSDカードをiPhoneで使いたいというお客さんがいる限り、こうした製品もまた必要なのです」
マーケティング用語に、顧客が望むものを優先して作る「マーケットイン」と、作り手の理論を優先させる「プロダクトアウト」という対極的な考え方があり、それぞれ一長一短があるが、マイクロンの製品開発の思想はそのいずれにも偏らない絶妙なバランスであることがこのことからも見て取れた。フラッシュメモリを通じてアップルデバイスの可能性を広げているマイクロンから、今後も目が離せない。
●最新規格にもいち早く対応
最新のUSBタイプCに対応したフラッシュメモリ。メーカー公称の読み込み速度は150MB/秒、書き込みは60MB/秒と高速だ。
Lexar JumpDrive M20c
【発売】マイクロンジャパン
【価格】オープンプライス
【実売価格】16GB:2000円前後、32GB:2500円前後、64GB:4500円前後
●高機能な専用アプリ
「ミュージック」「写真」など4種類のファイル操作メニューに加え、保存先を「本体(アプリ内)」「フラッシュメモリ」「ドロップボックス」という3つのストレージから選べる。iOSデバイス内のファイルを一括してバックアップすることもできる。
●カードリーダも発売されている
ライトニングで接続するマイクロSDカードリーダも発売を控えている。ワンタッチで接続でき、アプリを使ってマイクロSDカード内のファイルを閲覧できる。アクションカメラなどと合わせて使いたい。
Lexar microSDリーダー
【発売】マイクロンジャパン
【価格】4500円前後(2016年9月発売予定)
マイクロンが目指すものづくりの極意
(1)徹底したユーザ視点
(2)メモリもアプリも使いやすく
(3)利用シーンに合わせた設計
企画協力:マイクロン ジャパン株式会社