Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

アップルプロダクトのデザインから考えるものと人と機械の交差点

09 不可能に挑戦したエラストマー素材とMacBookケースの話。(2/2)

著者: 山田井ユウキ

09 不可能に挑戦したエラストマー素材とMacBookケースの話。(2/2)

「自分たちしか作れない」それがものづくりの本質

─ 技術の高さで守っているわけですね。

【後】実は以前、痛い思いをしたことがあるのです。AndMeshには前身となるブランドがあったのですが、これはまだ中国で作っていまして、今ほどの技術は必要としていませんでした。ところが、それくらいのケースだと、中国のiPhoneケース工場に持って行って「これ作れる?」といえば作れてしまいます。そういう模倣品と勝負しようとすると、結局は価格や販路、マーケティングでの勝負になってしまいます。それはものづくりの本筋ではありません。

【道】僕たちじゃなくても作れるものでは意味がないのです。

─ しかし、たとえばデザインについては意匠の権利などがあるのでは?

【道】そういうものは、裁判沙汰になったときは根拠資料になるかもしれませんが、それがあるからといってパクられないわけではないんですよ。結局、やる人はやるんです。だったら、そういう人たちが絶対にできないことをやるべきなんです。

【後】デザインというのはとても難しいもので、主観や法的なものなどがさまざまに関わってくる世界です。どこまでが“影響”の範囲で、どこからが“パクリ”になるのかは判断しにくい。一番いいのは、技術的に真似されないことです。中国のOEM工場でパパっと作ったものとは明らかに違うものを我々は提供しています。

【道】そのために多少スピードが犠牲になることもありますが、妥協できない部分です。

─ しかし、今回のMacBookに関しては発売まで開発を始められなかったわけですから、3カ月で作り上げたというのはかなりすごいことなのでは?

【後】そうですね、MacBookに関しては普通ではできないスピードでやれたと思います。通常の樹脂製品だと、たとえば車の内装なら1年かかりますし、パチンコの筐体なら半年かかります。それでも遅いわけではないのですが、アップル製品に関してはヘタすると1年でモデルチェンジしてしまいますからね。

─ iPhone、iPad、MacBookときて、これでAndMeshのラインナップはひと通り揃いましたね。

【後】あとは秋に噂されている、iPadミニ 4ですね。これでフルラインナップとなります。

【道】小さい製品を大きくするのは大変ですが、大きいものを小さくするのはそれほど苦労しないので、次は少し余裕をもって臨むことができそうです(笑)。

「AndMesh for MacBook 12-inch」

カラーリングは黒、赤、ターコイズ、イエローの4種類。この種類はiPhoneケースのAndMeshと同じで、一緒に使ってほしいという狙いがある。ちなみにiPadケースに関しては若干色が異なっており、これはスマートカバーに合う色を選んだからだという。価格は8640円(税込)で、9月下旬発売予定。

MacBookの背面デザイン

デザインに徹底的にこだわっているMacBookだが、唯一ともいえる弱点は背面。ここだけはネジがあったり脚が別付けだったりとややスタイリッシュさに欠ける。AndMeshはその点もカバーしている。

【金型】

ものづくり全体のコストに大きな影響を与えるのが金型の値段。日本製の金型はどうしても高価になってしまう。それでもDAQが日本製にこだわるのは、日本の高い技術で作られた金型でなければ製品が作れないからだ。

【勢揃い】

1年前から展開しているブランド「AndMesh」はポップなカラーリングとメッシュ状のデザインが特徴的なケースブランド。秋には新型の発売が予想されるiPadミニのケースの開発を予定しており、これでフルラインナップが揃う。