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2年たった今でも販売好調! AirPodsの抗しがたい魔力

著者: 山下洋一

2年たった今でも販売好調! AirPodsの抗しがたい魔力

Appleが完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods」を発売したのは2016年12月。その人気は今でも衰えることがなく、Apple製品の中でもロングセラーの商品となっている。AirPodsはなぜ2年経った今でも売れ続けているのか、発売以来ヘビーユーザの私がその魅力を深掘りする。

AirPodsを毎日愛用中の私(利用は主に自宅だけれど)。都内では見ない日はないほど、街中でAirPodsを目にする機会が増えてきたと実感する。ちなみに、AirPodsの価格は16,800円(税別)。

売れ続けるAirPods

2016年の発表当初、エアポッズ(AirPods)はその白くて細長い個性的なデザインから、「うどん」「チンアナゴ」などといじられていたのを覚えている。

しかし、今では街中の至るところで、エアポッズを装着している人を見かける。私の周囲でも購入した人を何人も知っているし、ロシアW杯では、会場入りする各国の選手の多くがエアポッズを耳につけていた。「うどん」どころかすごくカッコよかった。最近はケースにつけるカバーの種類が増え、おしゃれな楽しみ方も広がってきたように思う。

エアポッズは発売当初、人気のため品薄状態が続いていた。2018年に入っても販売は好調で、5月にはアップルのティム・クックCEOが、直近四半期でエアポッズが過去最高の販売数を記録したことを発表。「信じられないほどの人気」と表現した。

スマートフォンの出荷台数が減少を続けるなか、完全ワイヤレスイヤフォンの売れ行きは好調だ。2018年上半期には、前年比の約7倍の販売数を記録。同年10月の完全ワイヤレスイヤホンの販売台数シェアは、エアポッズが6割近くを占め、2位以下を圧倒的に突き放している。

今やエアポッズはアップル製品の中で、もっとも人気の高いアクセサリとなっている。

他の製品には戻れない

なぜエアポッズは、それほどまでに売れ続けているのだろう。iPhoneがイヤフォンジャックを廃止したなど、いくつかの要因は考えられる。しかし、本当の理由はおそらくもっと単純で、製品としての完成度が高いからだ。本体のデザインと同じく、ユーザ体験も徹底してミニマルに設計されている。無駄な操作は一切いらない。おかげで、一度エアポッズを使うと、もう元のワイヤレスイヤフォンには戻れなくなる。そのくらい、エアポッズでの音楽体験はシンプルで最高だ。

たとえば、他社製のワイヤレスイヤフォンを使う場合、接続デバイスを切り替えるには、毎回ブルートゥース(Bluetooth)の設定を開いてペアリングする必要がある。しかし、エアポッズなら、接続したいデバイスのコントロールセンターで、エアポッズを選択するだけで切り替えられる。接続の煩わしさは皆無だ。

デバイスと初めてペアリングするときも、蓋を開けてデバイスに近づけるだけでよい。それ以降はエアポッズの情報がアイクラウドに紐付けられるので、新しい端末でも、アイクラウド(iCloud)にサインインしていれば再ペアリングは不要だ。

W1チップのおかげでバッテリの持ちもいい。1回の充電で5時間再生でき、充電ケースを使用すれば24時間以上持つ。15分の充電で3時間再生できる急速充電にも対応するので、充電の煩わしさに悩まされた記憶がない。今までのワイヤレスイヤフォンで生じていたさまざまな設定や操作が、エアポッズでは徹底的に排除されている。

使用前の不安も解消

今は毎日愛用する私も、使用前は落としたり失くしたりする不安があった。しかし、約2年使っていて、勝手に耳から外れた経験は1度もない。手が引っかかって落とすことはあるが、それはどんなイヤフォンでも同じ。iPhone付属のイヤポッズが耳の形状に合いさえすれば、安心して使えるはずだ。

ただ、音量調節だけは面倒くさい。Siriに毎回頼むのも恥ずかしい。そこでアップルウォッチの出番だ。エアポッズのコントローラ代わりとなり、手元で音量調節や選曲ができる。エアポッズとウォッチは、併用するとさらに威力を発揮するのだ。

エアポッズを使う以前と以後では、イヤフォンでの音楽体験がまるっきり変わる。エアポッズが2019年も売れ続ける製品であることは間違いない。

AirPodsが人気の理由① ペアリングが簡単!

蓋を開けるだけでペアリングが始まる

ペアリングするには、デバイスのホーム画面を表示し、そのそばでAirPodsのケースの蓋を開ける。すると設定アニメーションがデバイスの画面に表示されるので、[接続]→[完了]をタップするだけ。Androidなど他社製端末に設定するときは、ケースの背面にある設定ボタンを長押ししてペアリングする。

iCloudで自動設定

同じApple IDでiCloudにサインインしているデバイスなら、AirPodsが自動的に設定される。機種変更後でも再ペアリングが不要なので快適だ。自動ペアリングはiPhone、iPad、iPod touch(iOS 10以降)、Apple Watch(watchOS 3以降)、Mac(macOS Sierra以降)、Apple TV(tvOS 11以降)に対応する。

AirPodsが人気の理由② スムースな操作性

タップ操作を設定できる

AirPodsをトントンと2回叩くことで、再生/一時停止や、前後の曲のスキップなどの操作ができる。左右それぞれ操作を設定できるので、私は右で次の曲へスキップ、左で再生/一時停止にしている。iPhoneを取り出さずにすむので楽チン!

取り外して一時停止、装着して自動再生

AirPodsはケースから取り出すと電源が自動的に入り、耳に装着すると「ポン」と音がしてすぐにAirPodsで聴ける状態になる。片方を外すと音声が一時停止し、そのまま再生すると今度は片耳だけの再生に切り替わる。無駄な操作をすべて省いてくれる優秀なイヤフォンなのだ。

AirPodsが人気の理由③ デバイス間の接続切り替えが簡単

AirPodsは、iPhoneやiPadなどのiOSデバイス、Mac、Apple Watch、Apple TVといったApple製品との接続切り替えが簡単にできる。たとえば、iPhoneからiPadに出力を切り替えたいときは、iPadのコントロールセンターでオーディオのカードを押し込み、AirPodsを選択するだけ。複数デバイス持ちのAppleファンは、特にこの機能はお気に入りのはず。photo?apple.com

AirPodsが人気の理由④ Apple Watchとの連係がスゴい!

Apple Watch内の音楽を直接再生

AirPodsなら、Apple Watchの「ミュージック」アプリ内にある音楽も、iPhoneを介さずに直接聴ける。ちょっとした散歩やランニングなら、AirPodsとApple Watchだけで十分事足りるようになった。

AirPodsのバッテリ残量を表示

Apple Watchの文字盤を上にスワイプしてコントロールセンターを開き、バッテリ残量の項目をタップすると、接続中のAirPodsのバッテリ残量が確認できる。意外と知られていない便利技だ。

ハンズフリーで発信&受信

Apple Watchで電話すると、通話中の声が周囲に丸聞こえになって恥ずかしい。しかし、AirPodsをつけていれば、Apple Watchの「電話」アプリで相手を選択して発信したあと、AirPodsでそのまま通話できる。

AirPods装着中に着信すると、電話に出るボタンがAirPodsのイラストに変化する。それをタップするとAirPodsで通話できる。

AirPodsが人気の理由⑤ バッテリ残量が把握しやすい

ウィジェットに詳細に表示

他社製ワイヤレスイヤフォンの場合、バッテリ残量を音声で知ったり、画面上で4段階の大まかな残量を確認したりする。一方、AirPodsは通知センターでバッテリ残量が1%単位でわかる親切設計。片方のAirPodをケースに入れていれば、左右個別の残量も表示してくれる。

ケースを近づけてもOK

AirPodsが中に入ったままケースの蓋を開け、iOSデバイスに近づけることでも、バッテリ残量が確認できる。こちらはAirPodsのリアルな写真つき。

AirPodsが人気の理由⑥ Siriの呼び出しがスムース

Siriショートカットとの相性も◎

AirPodsのどちらか片方のダブルタップ操作をSiriに設定しておくと、Siriを簡単に呼び出せる。iOS 12からのSiriショートカット機能と組み合わせれば、好きなフレーズで特定の操作を指示することも可能。AirPodsはSiri呼び出し用イヤフォンとしても優秀だ。

【番外編】隣の部屋にいる人の声が聞ける

iOSデバイスをマイクにして、音声をAirPodsに送れる「ライブリスニング」機能(iOS 12以降)。使い方は、コントロールセンターに「聴覚サポート」を追加し、そのボタンを押して「ライブリスニング」をタップして話し始めるだけ。Bluetoothが届く範囲内なら、話者から離れていてもAirPodsに音声が届く。

AirPodsのココが惜しい!

ワイヤレス充電できない

AirPodsはLightningコネクタで充電する。Appleは別売りのAirPodsワイヤレス充電ケースを「2018年に発売予定」とアナウンスしていたが、現在公式サイトでは「発売日未定」に変更されている。ワイヤレス充電対応の充電器も増えてきたので、2019年こそは発売してほしい!photo?apple.com

汚れが目立ちやすい

本体もケースも真っ白なデザインのため、ホコリや汚れが目立つ。スピーカの周囲に耳垢も溜まりやすいので、こまめな掃除が必要。ただ、汚れが目立ちやすいほうが、かえって手入れの習慣がつきやすいかもしれない。