もはやパソコン並み!
新しいiPadプロのライバルはもはや“タブレット”ではなく“ノートパソコン”だ。iPadプロに搭載された64ビットSoC(システムオンチップ)「A12Xバイオニック(Bionic)」は、それを裏づけるだけのパフォーマンスを発揮してくれた。詳細な仕様は非公開だが、CPUは2.49GHzのARMベースのカスタムプロセッサで、メモリ(RAM)は標準で4GB、1TBモデルのみ6GBを搭載している。
ベンチマークアプリ「ギークベンチ4」を用いたところ、CPUスコアはシングルコアで5000前後、マルチコアでは1万8000を超えた。これは現行の15インチMacBookプロ(2.6GHz Core i7)がシングルコアで5000前後、マルチコアで2万1000前後なので、これに肉薄する勢いである。
また、グラフィックスの性能も前モデルのiPadプロと比較して約3割以上の性能アップを実現している。こちらもMacBookプロに匹敵するほどの高いスコアを示したデータがあり、モバイルデバイスとしては十分すぎるほどの高性能と言えるだろう。
搭載プロセッサの比較
最新のiPad Proに搭載されているカスタムプロセッサはA12X Bionicチップと組み込み型のM12コプロセッサ。前モデルのA10Xプロセッサと比較して最大90%の性能向上を実現。CPUは7nmプロセスで製造された8コアで、性能重視の4コアと効率性重視の4コアが組み合わされ高負荷時にはすべてのコアが同時に動く。
CPUパフォーマンスは2倍以上に!
「GeekBench 4」でのCPUのパフォーマンスを測定した結果。前モデルのiPad Proと比較して約2倍以上の性能向上が見られた。ディスプレイサイズやストレージ容量のモデル違いによる性能差はほぼ見られない。
グラフィックス性能は約3割アップ!
GPUのグラフィックス性能が測れるMetalスコアは、前モデルのiPad Proと比べて約37%の性能向上が見られた。なお、12.9インチの1TBモデルでは約57%の向上で、メモリ容量の違いも影響していると考えられる。
バッテリの効率性が向上!
Appleではバッテリ性能を11インチで29.37Wh、12.9インチで36.71Whと公表している。修理業者「iFixit」の情報によると、11インチで7812mAh、12.9インチが9720mAhとの記述がバッテリセルにあり、これは前モデルより約4~6%の容量削減となると同時に駆動時間に変化はないので、効率性の向上を意味している。 photo●ifixit.com
?CHECK・メモリの違いはどこに効いてくる?
パソコンかタブレットかというデバイス形状の違いに関わらず、コンピュータにとってメモリ(RAM)容量はデータ処理の効率性に影響を与え、作業の快適性にも直結する。Appleは正式に公表していないが、新しいiPadプロでは基本が4GB、1TBモデルでは6GBという標準的なノートパソコンと同等以上のメモリを搭載している。
とはいえ、Split Viewで複数アプリを同時に操作するといったマルチタスク作業を頻繁に行わない限り、通常用途では大容量メモリの恩恵を感じられることはほとんどないだろう。そのため、必ずしも1TBモデルを選ぶ必要はないと思われる。ただし、一度に取り扱うデータ量が大きいプロユースの作業では、わずかな処理時間の短縮につながるので検討の余地はあるだろう。
1TBモデルのみ6GBを搭載
新iPad Proはストレージが1TBモデルのみメモリ容量が6GBを搭載し、それ以外のモデルでは4GBとなっている。購入直後でストレージの余裕もあるため、全体的な動作が非常にスムースだ。
軽作業では体感で変化なし
一眼レフから読み込んだ高解像度写真のレタッチや、iMovieによるビデオ編集程度では体感上の違いは1TBモデルとそれ以外であまり感じられない。ただし、使用頻度の高いプロ向けの作業ではわずかな性能の違いが作業時間の短縮につながることがある。
?CHECK・充電の環境はUSB-Cでどう変わる?
詳細は後述するが、新iPad ProがMacBookなどと同様のUSB-Cを採用したのは大きなブレークスルーとなるだろう。その理由の1つとして、充電が従来よりも柔軟に行える点が挙げられる。市販のUSB-Cケーブルを用意すれば、MacBookシリーズからすぐにiPad Proにつなぎ換えて充電できるし、あるいはUSB-C to LightningケーブルがあればACアダプタがない環境でもiPad Proをモバイルバッテリ代わりにして、iPhoneなどを充電できるようになるからだ。
さらに、12.9インチ付属の18WアダプタはUSB PD(パワーデリバリ)対応で15W(5V/3A)、18W(9V/2A)での急速充電が可能だ。フル充電にかかる時間も11インチモデルで3時間弱、12.9インチで3時間半強となった。
2時間で約8割充電された
付属ACアダプタでフル充電するまでの時間を測定。典型的な充放電曲線を描き、80%に到るまでは10分あたり6%ずつ充電された。
USB PDで急速充電
USB-C電圧・電流チェッカーで測定したところ、付属のACアダプタでは8.82V/0.67Aで充電されていたが、USB PD対応のケーブルとモバイルバッテリでは15.3V/1.45Aで充電された。