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スクリーンタイム機能でiPhone使いすぎを防止できるか?

著者: らいら

スクリーンタイム機能でiPhone使いすぎを防止できるか?

iPhoneやiPadの使用時間を可視化し、管理できる新機能「スクリーンタイム」がiOS 12でリリースされた。スマホ中毒が社会問題化する今こそ、大人も子どももスクリーンタイムで時間の使い方を見直したい。本当に使いすぎを抑制できるのか試してみた。

誰もが画面に集中する世界

iPhoneの誕生によって、世界は大きく変わった。今や人々はスキマ時間を見つけては、画面を覗き込み、せっせと情報を取り込む。電車に乗ると、全員がスマホに集中している光景は、もはや当たり前のものとなっている。近年は、スマホ依存による平均睡眠時間の減少や、歩きスマホなどが社会問題化し、さまざまな悪影響が懸念されている。

そんな状況を問題視し、IT業界では、デバイスの利用時間を見直そうとする動きが活発化している。いわゆる「デジタル・ウェルネス」や「デジタル・ウェルビーイング」と呼ばれる考え方だ。

「wellness」「well-being」とは、身体的・精神的・社会的に健康で、すべてが満たされた良好な状態を指す言葉である。テクノロジーと実生活のバランスが崩れた状態は心身に不調をきたしており、幸福な状態とは言えない。そこで、個人がデバイスとの向き合い方を見直し、必要であれば改善する。さらに、デバイスを活用することで、心身ともに健康になるよう目指すのが、デジタル・ウェルネスの世界だ。

グーグルは2018年5月、最新OSのアンドロイド 9 パイ(Pie)に、スマホの利用習慣を見直す「デジタル・ウェルビーイング」機能を採用することを発表した。6月にはアップルも同様に、iOS 12で「スクリーンタイム」機能を追加することを発表した。IT企業にとっても、過剰な利用によってプロダクトが問題視されるより、人々が安全かつ健康的に使い続けられるほうが、長期的利益につながると判断しているようだ。

photo●Shutterstock.com

ファミリー共有にも対応

では、実際にスクリーンタイムはどれだけ効果的なのか。自他ともに認めるスマホ中毒の筆者が試した。

[設定]から[スクリーンタイム]を開くか、コントロールセンターにスクリーンタイムのウィジェットを追加すると、現在のデバイスの利用時間が確認できる。アクティビティレポートで、スキマ時間に覗いていたWEBサイトの利用時間が、1時間半を超えていたときにはゾッとした。1日に換算すると大きな時間の浪費である。その時間を読書に費やしていれば、月に10冊は読めるだろう。

なんとなく過ごしていた時間が可視化されると、自分への戒めになる。スクリーンタイムを使い始めてから、毎晩見ていた暇つぶしサイトの閲覧回数は徐々に減ってきている。

一方、うまく活用できない機能もあった。「休止時間」や「App使用時間の制限」の設定だ。どちらも制限時間を作り、設定時間を過ぎると、アプリや通知がブロックされる。しかし、ブロック画面が表示されても、2タップで制限を解除できるため、拘束力は弱い。表示されるたびにすぐに解除してしまった。

この機能はむしろ、ファミリー共有と連係させた子ども用のデバイスに向いている。子ども専用のスクリーンタイムを設定し、アプリ使用時間を制限しておけば、子どもの使いすぎ防止に一役買うだろう。時間を延長したい場合は、子どもが親に延長をリクエストする仕組みも用意されている。ただし、制限をかいくぐる裏技がすでにWEB検索でヒットするため、スクリーンタイムへの過剰な信用は禁物だ。

1日をどのように過ごすかは自分次第。いくら機能が優れていても、本人が変わろうとしない限り、宝の持ち腐れになると痛感した。しかし、デバイスの使い方が可視化されたことで、1日の時間の過ごし方を客観的に見直すきっかけになった。スクリーンタイムをフル活用し、今後もデジタル・ウェルネスを高めていく必要がありそうだ。

ファミリー共有向けのスクリーンタイム設定も用意されている。[設定]→[Apple ID]→[ファミリー共有]→[スクリーンタイム]で設定可能。スクリーンタイム画面からも追加できる。

スクリーンタイムでiPhoneやiPadの使い方を見直そう