2026年3月11日、まさに”ネオ”な立ち位置のMacBook Neoが発売される。本記事では、その先行レビューをお届けしよう。
MacBook Neoは、Appleの戦略が見事に具現化したモデルだ。MacBook Airよりも価格を抑えつつ、必要十分なパワー、洗練されたデザイン、そしてAppleらしい使い心地をしっかり押さえている。学習用途、メールや資料作成、事務作業といったビジネス用途、簡単なクリエイティブ作業などであれば、性能に不満を覚えることはないだろう。
MacBook Neoにより、Macデビューのハードルがググッと下がった。ただし、その“デビュー”が意味するところには注意したい。ハイスペックなWindows PCのユーザや、プロクリエイティブを志す人のMacデビューに最適、というわけではないからだ。また、筆者は長きにわたってMacBook Pro、MacBook Airを使ってきたため、仕様面でMacBook Neoに少々の物足りなさを感じることがあったのも事実である。
がしかし、MacBook Neoを触っていると不思議なほど所有欲が湧いてくる。それはなぜか。使ってわかった「Neo」な魅力を語っていこう。
「Macデビュー」を祝う小粋な演出。丸みを帯びたNeoなボディも好印象
まず、開封体験から心が躍る。箱を開けると、薄い紙製のフィルムに包まれたマシンがお目見えするのはほかと同じだが、MacBook Neoのフィルムには「hello」の文字が。Appleユーザにとっては、起動画面でおなじみのこの5文字。Appleからの、Macデビューのお祝いといったところか。

さてMacBook Neo本体はというと、丸みを帯びたボディが新鮮だ。素材はアルミ製。ほかのMacBookシリーズと同じだが、そのフォルムは明確に異なる。


ちなみに、今回借り受けたのはインディゴカラー。ほかに、シルバー、ブラッシュ、シトラスの4色がラインアップされている。

MacBook Neoの基本スペックを整理。推しはTouch ID搭載モデル
Magic Keyboard
キーボードの打鍵感はしっかり目。あくまで体感だが、筆者が愛用しているM3 Pro搭載MacBook Proや、M2搭載MacBook Proのほうが軽やかだ。ただし、打鍵感は好みの問題であり、ここに優劣はないと思う。
なお、標準モデルのMacBook NeoはTouch IDを搭載しない。個人的に、キーボード上のTouch IDは極めて重要な存在だ。Macにサインインするのも、各種パスワードなどを入力するのも、Apple Payの使用も、全部「指でタッチ!」で実行されるのが快適すぎる。特にApple Watchを所有しない人にとって、Touch IDの恩恵は大きい。
そのため、筆者としてはTouch ID搭載モデルを推したい。9万9800円→11万4800円と、1万5000円分価格は上がるものの、ストレージは256GBから512GBに。倍になると考えればむしろ割安感がある。

トラックパッド
一方で、トラックパッドのクリック感は明確な“格差”。
MacBook Neoのトラックパッドは、ほかのMacBookシリーズが採用する感圧タッチトラックパッドではない。クリックすると物理的に沈む仕組みだ。トラックパッドのどこをクリックしてもほぼ同じ感覚が返ってくるのは「さすがApple」と言えるが、やはり感圧式の気持ちよさには敵わない。
オノマトペで表現すると、感圧式が「カチッ」でMacBook Neoは「トスッ」といった感じ。iPadシリーズ用のMagic Keyboardを使ったことがあるなら、その感覚と同じと思っていただければ相違ない。

ディスプレイ
ディスプレイは13インチのLiquid Retina。解像度(2408×1506)、色再現(10億色対応、sRGBカラー)、明るさ(500ニト)はいずれも必要十分で、SNS・動画視聴・資料作成といった日常用途なら不満を感じる場面はほぼない。

また、最大4Kネイティブ解像度、60Hzの外部ディスプレイ1台に対応。DisplayPort対応のUSB-Cポートを備える外部ディスプレイであれば、必要なケーブルは1本だけだ。画面を拡張すると作業の快適度と効率は跳ね上がる。ぜひ活用をおすすめしたい。
インターフェイス
USB‑Cポートを2つ、そして3.5mmのイヤフォンジャックを備える。横から見たとき、左がUSB 3(最大10Gb/s)、右がUSB 2(最大480Mb/s)対応と、規格が異なる点には注意したい。
転送速度に大きな差があるため、SSDなど外部ストレージを接続する場合はUSB 3ポートを使おう。また、外部ディスプレイへの出力もUSB 3でしか行えない。

カメラとマイク
センターフレームなど、最新機能には対応しないが、1080pカメラと高画質なFaceTime HDカメラを搭載。クリアな映像でビデオ通話が可能だ。
また、指向性ビームフォーミングを備えたデュアルマイクアレイを採用。周囲の雑音をナチュラルにカットする「声を分離」。逆に周囲の音も収録する「ワイドスペクトル」といったモードの切り替えにも対応する。

バッテリ性能
36.5Whリチウムイオンバッテリを内蔵し、その持続時間は、ワイヤレスインターネットの場合は最大11時間。ビデオストリーミングの場合は最大16時間とされている。現行のほかのMacBookシリーズと比べると数時間単位の差があるものの、ほぼ1日使えるタフさだ。
そして、20Wの電源アダプタで充電できる身軽さは魅力。充電用のアクセサリをiPhoneと共用できるので、荷物の軽量化にもつながる。

iPhoneと同じ「A18 Pro」をMacBook Neoに採用。Appleの狙いは?
MacBook Neoの注目ポイントは、iPhone 16 Proと同じA18 Proチップを採用した点だ。A18 Proは、TSMC の第2世代3nmプロセス「N3E」で製造される最新世代のAppleシリコン。前世代(A17 Pro)の3nmプロセスに比べて歩留まりが大きく改善し、大量生産に適した製造方法へと進化している。
A18 Proを採用した背景にあるのは、Apple Intelligenceの展開だろう。A18 ProのNeural Engineは大幅に強化されており、言語処理や画像生成といったAIタスクをより低い消費電力で高速に実行する。
また、「供給と需要のバランス調整」という側面もある。製造効率の高いN3Eプロセスで多量のチップを確保した結果、iPhone だけでなく別カテゴリの製品、たとえばiPad miniにA17 Proを転用した前例のように、ほかのデバイスへと展開する道が生まれる。MacBook NeoのA18 Pro採用も、こうした製造ライン全体の最適化戦略の一環と推測可能だ。
AシリーズがMacに採用されるのは確かに異例のことである。しかし、その背景にある技術・供給・戦略を整理すると、MacBook Neoにおける選択は“最適解”と言えそうだ。
Apple Intelligenceの機能をお試し。MacBook NeoのAI性能はいかに?
では、気になるMacBook Neoの性能を見ていこう。冒頭から書いているように、文書作成、メール、事務作業といった操作が快適に行えるのは前提として、今や必須となったAI処理のパフォーマンスをチェックする。テストは、Apple Intelligenceの機能で行い、比較対象としてM2搭載MacBook Airも用意した。
なお、検証に使用したMacBook Neoはストレージが512GBのモデルで、約490GBが未使用の状態。一方、M2搭載MacBook Airは、メモリ8GB、ストレージが256GBのモデル。ストレージは7割近く埋まっており、約2年にわたって使い込んでいる。
そのため、このテストは各デバイスの明確な優劣をつけるものではないということをご承知おきいただきたい。

テスト1:Image Playground
Image Playgroundは、テキストプロンプトから画像を生成する機能だ。専用アプリが用意されており、使い方は極めてシンプル。出力する画像のスタイルを選び、プロンプトを入力し、自由に要素やテーマを追加していけばいい。今回は「リンゴのキャラクター」というプロンプトを用いた。
まずは生成速度を比較する。各デバイスで5回ずつ実行し、イラストが生成されるまでの平均時間を結果とした。
・MacBook Neo:7.2秒
・M2搭載MacBook Air:7.6秒
その後、10回連続で生成を繰り返したが速度の低下は見られなかった。簡単な画像生成なら軽々こなし、繰り返しの生成にも耐える処理能力を持っているようだ。

テスト2:クリーンアップ
クリーンアップは、写真から不要な物体を消して背景をAIで補完する機能。速度はもちろんだが、仕上がりの自然さもポイントになる。

まず、MacBook Neoでガチョウを消してみた。1度目の処理は1.3秒で終了。背景は極めて自然に合成されたが、お尻の部分が残ってしまった。そこで追加でクリーンアップを実行。すると約1.1秒で処理が行われ、不自然さがやや解消。完璧な合成処理とは言えないが、ガチョウの存在は見事に消えている。
MacBook Neoの結果


M2搭載MacBook Airでも流れは同様。1度目の処理ではガチョウのお尻が残ってしまい、クリーンアップを2回実行した。1回目は1.7秒、2回目は1.48秒という結果に。
M2搭載MacBook Airの結果


比較すると、精度も速度もMacBook Neoに軍配があがる。前述のとおり、デバイスの状態がイーブンでないためがっぷりよつの比較とは言えないが、それでもM2搭載マシン以上の速度と精度を出したのは驚きだ。
勉強、仕事の合間にゲームもしたい? 「NBA 2K」や「オーシャンホーン3」で遊んだ結果
MacBook Neoではゲームも快適にプレイできる。今回は、Apple Arcadeの「NBA 2K26 Arcade Edition
」や「オーシャンホーン3:Legend of the Shadow Sea
」を遊んでみた。
高品質なスポーツゲームと、美しいグラフィックが好評のアクションRPG。ともに決して負荷の低いゲームではないが、安定して遊ぶことができた。合計プレイ時間は40分程度だが、MacBook Neoの発熱はほとんどない。ただし、プレイがより長期にわたると、発熱によってパフォーマンスが下がる可能性はある。


ただし、息抜きにゲームで遊ぶ程度であれば十分期待に応えてくれそうだ。ちなみに、「オーシャンホーン3」は、「バランス型」のグラフィックス設定してプレイした。より高画質設定も用意されているが、それらはハイパフォーマンスなデバイス向けだ。


「iPhoneミラーリング」で連係機能も試す。Appleエコシステム入門に最適
最後に、Appleデバイスの最大の魅力とも言える連係機能を試した。まず、iPhoneで撮影した動画をAirDropでMacBook Neoに共有。続いてMacBook Neo上で動画編集アプリ「CapCut」を開き、軽く編集する。そして、書き出した動画を「iPhoneミラーリング」で表示した「写真」アプリにドラッグ&ドロップして保存。そのあと「Instagram」を開いてストーリーズに投稿する。
AirDropがすばやく実行されるのはわずもがな。CapCutで行った編集はテンプレートを付与する程度の簡単なものだが、これも数秒で完了した。あとはFinderでファイルを移動するような感覚で、Instagramの投稿までできてしまった。


SNS更新という日常に、MacBook Neoがシームレスに入り込む。そして、そのクオリティアップに貢献してくれる。この組み合わせは、ユーザのクリエイティビティを刺激するきっかけにもなりそうだ。
MacBook Neoを「はじめてのパソコン」に。おすすめしない理由はない
MacBook Neoは9万9800円からと魅力的なプライスながら、「エントリーモデル」という言葉で括りたくないほどのクオリティを実現した。軽くて扱いやすく、AI処理も申し分ない。さらにゲームも楽しめ、iPhoneとの連係もスムース。トラックパッドの仕様など一部懸念点もあるが、トータルで見ればAppleデバイスらしい気持ちのいい体験を提供してくれる。
だからこそ、MacBook ProやMacBook Airを常用する筆者も、欲しくなってしまうのだ。価格も役割も、従来のMacBookシリーズとは異なる存在のMacBook Neoだが、Appleの価値観を体現していると断言していい。
いちMacユーザ、そしてAppleを追いかける人間として、MacBook NeoがMacの裾野を広げるフロントマンとして活躍することに期待している。そしておそらく、その期待が裏切られることはないだろう。


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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_








