2026年3月3日に発表されたM5搭載MacBook Air。今回、3月11日の発売に先立って実機を試す機会を得た。
これまでのMacBook Airといえば、“軽くて静かなモバイルノート”として選ばれてきたモデルだ。筆者も会社では支給のM3 Pro搭載MacBook Proを使っているが、私物のマシンには身軽さを求めてM2搭載MacBook Airを選んだ。
M2搭載MacBook Airの使い勝手にまったく不満はない。テキストを書いたり、写真を編集したり、あとCanvaで簡単なクリエイティブを作ったり。筆者が日常的に行う作業は問題なく、というより極めて快調にこなせている。大容量の動画や3Dデータを取り扱うことはないが、インタビュー音源の文字起こし、要約、原稿のアウトライン作成など、AIを用いた作業もサクサク動作する。
さて、そんな筆者がM5搭載MacBook Airに対して得た所感は、“Airらしい”美点はしっかりと残しつつ、AI処理や開発作業など、プロユースにも耐えるパフォーマンスを獲得したマシン、といったところ。では、その詳細を解説していこう。
カラーは4種。M5のCPUコア数は2パターン、メモリやストレージはどれ選ぶ?
M5搭載MacBook Airは、13インチと15インチの2サイズをラインアップ。カラーはスカイブルー、シルバー、スターライト、ミッドナイトの4色を揃える。今回試したのはスカイブルーで、これがまたいい色なのだ。さわやかな青色はまさに空。なんだか公園やカフェのテラスなど、屋外で使いたくなってくる。


M5チップは3nmプロセスで製造されており、CPUは4つのスーパーコアと6つの高効率コアの合計10コア構成。M4チップと比較し、最大18%高速化しているという。また、GPUは最大10コアを用意する。
さらに、AIの処理能力も大きく飛躍。GPUに組み込まれたNeural Acceleratorや新しいNeural Engineにより、処理性能はM4チップとの比較で最大4倍、M1チップとの比較で最大9.5倍とされる。
SSDは512GBが基準となり、速度も含め、M4チップと比較して2倍に伸びた。ストレージ速度はローカルでAIモデルを動かす場合のパフォーマンスに直結するため、このアップグレードはM5搭載MacBook Airの大きな武器になるはずだ。
13インチ M5搭載MacBook Air 構成と価格

15インチ M5搭載MacBook Air 構成と価格

“大きな課題”をクリア。M5搭載MacBook Airは、2台の外部ディスプレイに対応!
さて、性能の検証に入る前に、M5搭載MacBook Airの地味だが大きな進化に触れたい。それが「2台の外部ディスプレイに対応」した点。従来のMacBook Airは1台に限られており、それを理由にMacBook Proをチョイスしていた人もいるのではないだろうか。

M2搭載MacBook Airのユーザである筆者は、その制約の“おかげ”で外部ディスプレイの追加購入を我慢できていた。そのため、仮にM5搭載MacBook Airに新調した場合、タガが外れてしまうのが怖くもある。しかし、実用面でのメリットは大きい。
ディスプレイ出力台数の増加および作業領域の拡大は、想像以上に作業効率の向上に寄与するからだ。このアップグレードは、MacBook Airのポジションを一挙にプロの仕事道具に押し上げるのではないかと思う。
M5搭載MacBook Air ディスプレイの仕様

なお、M5搭載MacBook Airのカメラは、デスクビューに対応した12MPセンターフレームカメラ。この辺りも前モデルと仕様は変わらない。スピーカは13インチモデルが4ch、15インチモデルが6ch構成となっている。
M5搭載MacBook AirのAI性能をチェック! 3つのテストでわかった、確かな実力
では、AI性能をアピールするM5搭載MacBook Airの実力をテストしてみよう。比較対象として、筆者の私物であるM2搭載MacBook Airでも同様のテストを行う。
なお、M5搭載MacBook Airの構成は(SSD:2TB、メモリ:32GB)、M2搭載MacBook Airの構成は(SSD:256GB、メモリ:8GB)。しかも後者は、内蔵SSDが7割近く埋まっている。その点を理解したうえで結果を見てほしい。
ローカルLLMを動かす方法はいくつかあるが、Macでもっとも手軽な方法のひとつがオープンソースツール「Ollama」だ。Ollamaは、ターミナルで1行コマンドを入力すればモデルのダウンロードから実行まで一括で行えるツール。「Mistral 7B」や「Llama 3」といった人気モデルを簡単に試せる。

テスト1:LLMの“初回応答速度”を見る
最初のテストは、Mistral 7Bモデルで「最初のひと言を返すまで何秒かかるか」を測るものだ。これは、AIを日常的に使う上でもっとも体感差が出るポイントでもある。今回は「Mac Fanってどんなメディア?」と尋ね、ストップウォッチでひと言目が返ってくる時間を計測した。どちらのマシンでも3回ずつテストし、おおよその平均を出している。
テスト結果
・M5搭載MacBook Air:0.4秒
・M2搭載MacBook Air:1.3秒
M5はまさに超高速。実行した直後にストップウォッチを止めなければならないので困ったくらいだ。また、その後のテキスト出力速度にも大きな差があった。
テスト2:モデル切り替えの“待ち時間”を見る
次に、異なるLLMを連続で呼び出したときのロード時間を計測した。現実には「文章生成はMistral」「翻訳用に別モデル」「長文要約だけ別モデル」というように複数モデルを使い分ける場面もあるため、そのたびに長時間待たされると作業のテンポが落ちてしまう。
今回はMistral 7Bモデルに「Mac Fanってどんなメディア?」と尋ねて出力が完了したあと、「Llama 3」に切り替えて同様のプロンプトを実行し、出力が完了するまでの時間を計測した。こちらも3回ずつ実施し、そのおおよその平均を結果としている。
テスト結果
・M5搭載MacBook Air:14秒
・M2搭載MacBook Air:40秒
こちらも圧倒的な差。M5搭載MacBook Airのレスポンスと出力はとにかく速く、Mistral 7BからLlama 3へモデルを切り替える操作が間に合うか不安になるくらいだった。
テスト3:画像生成の“連続稼働”を見る
最後に、画像生成もテストする。MacBook Airはファンレスのため、画像生成のような負荷の高い処理では熱による性能低下(サーマルスロットリング)が起きやすい傾向がある。そこで今回は、Ollama上で動作する画像生成モデル「Z-Image Turbo」を使い、同じプロンプトを5回連続で生成させてみた。
1回目の生成時間と5回目の生成時間を比較し、熱による失速がどの程度生じるかを測定する。
テスト結果
・M5搭載MacBook Air
(1回目)2分4秒→(3回目)2分30秒→(5回目)3分23秒
2回目のテスト時点で、M5搭載MacBook Airの背面が熱を帯びはじめた。1回目と5回目の差は1分20秒程度。これを大きいと取るかどうかは、ユーザがどの程度の負荷の作業を行うかによる。なお、同テストは11GB以上のメモリが要求されるため、筆者のM2搭載MacBook Airでは実施できなかった。
この辺りは追って、上位モデルのMacBook Proでも検証して結果を比較してみたい。
既存のMacBook Proユーザの乗り換え先にもあり? Neoのセンセーショナルさに負けない進化
M5搭載MacBook Airは、軽さ、デザイン、そしてファンレスと“Airらしさ”を維持しながら、AI処理もサクサクこなせるバランスの良いマシンになった。最大18時間というタフなバッテリ性能も魅力的だ。

筆者が所有するM2搭載MacBook Airとの差も明確だった。冒頭、不満はないと書いたが、やはり触ってみると買い替えたくなっている(中古ショップの買取相場を見ると5〜7万円だから…と頭の中で算盤を弾いてしまったり)。あれ…なんとなく、M2搭載MacBook Airのシルバーカラーがくすんで見える。スカイブルーはあんなにもさわやかなのに…。

さて、M5搭載のMacBook Airは、従来のMacBook Airユーザはもちろん、MacBook Proユーザの買い替え先としても有力な選択肢だと思う。ただし、重量級のAI生成にガッツリ取り組むのであれば、上位のMacBook Proに軍配が上がるだろう。
MacBook Neoというルーキーセンセーションにより、若干影が薄くなってしまった気もするM5搭載MacBook Air。しかし、現代のパソコンユーザが求めることにバッチリ応える進化を遂げている。今もっともバランスに優れたMacBookとして、多くのユーザにおすすめしたい一台だ。


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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_








