車に最適なルートを示してくれるのは車載ナビ。選ぶ基準はユーザの使い方
車載ナビの最大の利点は、自動車走行に適合したルートをすすめてくれることだ。スマホのナビアプリの場合、最短距離のルートを選ぶ傾向があり、細い道や生活道路といったマニアックなルートをすすめてくる。「安心して走行できる道路を選んでくれる。Googleは右左折が多く面倒」(男性67歳)と、車載ナビに軍配をあげる人もいた。
また、スマホのナビアプリはトンネルなどでは測位衛星の信号が途切れるため、現在地が乱れてしまう。しかし車載ナビの場合、自律航法による補完で、測位衛星信号がない場所でもナビゲーションが途切れない。特に最近の都市高速などでは、地下トンネルの中で分岐や合流があるため、このようなシーンでは車載ナビに軍配があがる。
つまり、どちらが絶対に優れているということではない。運転の仕方によって、どちらが適しているかが決まってくる。筆者の場合は、圧倒的にiPhoneのナビアプリだ。そもそもの話だが、運転する前から大雑把なルートを頭に入れておく習慣がある。
「国道xx号を進んで、xx市のあたりで、県道xxに入ればいいのだな」程度のことだ。それが頭に入っていると、iPhoneのナビアプリがマニアックな道をすすめてきても、無視して進むことができる。すると、iPhoneのナビアプリはすぐに再計算してルートを選び直してくれる。
多少遠回りにはなるかもしれないが、結局は運転も楽で、最短に近い時間で到着できることが多いのだ。
iPhoneの測位は超正確。精度を支えるのは2020年以降に採用されたマルチGNSS
もうひとつ、iPhoneのナビアプリをおすすめしたい理由が、測位の正確さにある。測位衛星というとGPSが有名だが、これは米国が運用しているものだ。そのほかに、ロシアはGLONASS(グロナス)、欧州はGalileo(ガリレオ)、中国は北斗(ベイドウ)を運用している。iPhoneの場合、2020年発売のiPhone 12から、このすべてに対応するマルチGNSS機能を搭載した。
この威力は軽視できない。下の図は、「GNSS View」アプリで、ある日の東京で捕捉できる測位衛星を調べたものだ。


左図は、GPSと日本のみちびきを表示したものだ。合計15の衛星が見えている。一方、右図はマルチGNSSで捕捉できるすべての衛星を表示したものだ。合計で68個の衛星が見えている。
iPhoneは、この中から信号強度の強い4つの衛星を選んで測位を行う。選び方はGPSから1個、GLONASSから1個、Galileoから2個などと混在する。このため、GPSのみの対応に比べて測位が早く正確なのだ。
車載ナビのマルチGNSS対応事情。意図的にロシア、中国の測位衛星を排除することも
iPhoneの測位の正確さは、読者の皆さんも体感しているのではないだろうか。地下鉄の駅から外に出たとき、ついつい「マップ」アプリを開いて、どちらに進むのか確かめたくなる。しかし、以前は現在地がずれてしばらく待たないと安定しないことが多かった。最近はそういうことがほとんどなくなっている。これがマルチGNSSの威力だ。
一方、車載ナビでマルチGNSSに対応しているのは最新の上位モデルに限られる。その理由は、GPSとみちびきだけに対応しておけば、一定程度の実用性が得られるからだろう。みちびきは日本が打ち上げている測位衛星で、日本の上空にとどまる軌道を描くように設計されている。測位衛星信号が真上から降ってくるため、両側がビルに囲まれているような場所でも測位しやすい。現在地が多少ズレることがあっても、自動車はジャイロや走行データなどを使って自律航法で補えば問題ないという考え方だ。
また、マルチGNSS対応をうたっていても、対応しているのはGPS、みちびき、Glonassのみという機種もまだある。Galileoと北斗はグローバルサービスを提供したのが2020年と新しいからだ。
最新の車載ナビの上位モデルは、すべてに対応したマルチGNSSを採用している。しかし、意図的にGlonassと北斗を使えないようにしている例もあるようだ。たとえば政府機関で使用する自動車、通信機器、ドローンなどでは、非同盟国であるロシアと中国の測位衛星を排除し、GPS、みちびき、Galileoのみとしていることがある。
一方、iPhoneはグローバル製品であり、ロシアや中国でもたくさんの人に使われている。そのため排除することはなく、使えるものは使って、測位を早く正確に行ってくれる。私たちは意識していないが、実はロシアや中国の測位衛星のお世話になっているのだ。
では、Appleの「マップ」や「Googleマップ」、「Yahoo!カーナビ」の特徴を見ていこう。




