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iPhoneをシネマカメラ化。Blackmagic Camera ProDockが拡張性をもたらし、電源供給の課題も解決。iPhoneographer・takumifoneが語る魅力

著者: 山田井ユウキ

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iPhoneをシネマカメラ化。Blackmagic Camera ProDockが拡張性をもたらし、電源供給の課題も解決。iPhoneographer・takumifoneが語る魅力

ビデオカメラとしても秀逸な機能を備えるiPhoneだが、シンプルでミニマルなデザインゆえに、本格的な撮影システムとして運用するには不足している点も多い。たとえば、外部ディスプレイやSSD、ヘッドフォン、マイクなどの機材と接続するためのポートも足りていないし、そのままではゲンロックやタイムコードにも対応していないのだ。

こうした課題を解決するのが、Blackmagic Designがリリースした「Blackmagic Camera ProDock」だ。USB-C×3、HDMI、3.5mmのマイク入力、ヘッドフォン出力など多彩な端子を備え、外部ゲンロックやタイムコード入力にも対応。まさに、iPhoneをプロ仕様のシネマカメラに変身させる革新的なアクセサリである。

今回、iPhoneで映像制作を行っている“iPhoneographer”のtakumifoneさんに、Blackmagic Camera ProDockを使用した所感を伺った。普段から映像制作にiPhoneを活用しているtakumifoneさんは、Blackmagic Camera ProDockをどのように評価するのか。

iPhoneographerのtakumifoneさんに話を聞いた。

“iPhoneographer”が語る、動画撮影機材としてのiPhoneの魅力

takumifoneさんは、iPhoneを使った映像制作で知られるビデオグラファーだ。大学在学中に8ミリフィルムで映像制作を始め、CM制作会社を経てフリーランスとして独立した。その後、Webメディア運営会社にビデオグラファーとして入社し、執筆も行うようになった。現在は撮影に加え、専門誌での執筆やセミナー講師なども務めている。

takumifoneさんが映像制作におけるiPhoneの可能性を見出したのは、2020年のことだ。この年に発売となったiPhone 12シリーズはDolby Vision(ドルビービジョン)に対応し、黒つぶれや白飛びしにくいHDR動画の撮影が可能になった。

「これは革新的だと思いました。ちょうど、フリーランスとしてWebメディア運営会社に関わり始めた時期で、編集者にその話をしたら面白がってくれたんです」

そこから、iPhoneがtakumifoneさんのメイン機材となった。当時、使用していたアプリは「Filmic Pro」。あとから色編集しやすい「Filmic Log」で撮影できる点が秀逸だったという。なお、現在は2023年に登場した「Blackmagic Camera」アプリに移行している。Blackmagic Cameraは、無料ながら豊富な機能性を備え、プロユースにも応える人気の撮影アプリだ。




Apple Logによる革命。アクセサリも充実し、iPhoneがプロの撮影機材に

さらにiPhoneの動画機能は進化を続けていく。

「2023年発売のiPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro Maxから、Apple Logが追加されたんです。ついにAppleが公式にLog撮影をサポートしたわけで、これは時代が変わるぞと思いました」

現行のiPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Maxは、次世代のApple Log 2に対応している。画像●Apple

takumifoneさんをはじめとするビデオグラファーがiPhoneに注目するようになったことで、アクセサリメーカーからも次々に関連製品が登場し始めた。たとえば、動画撮影には必須となるNDフィルタや、そのNDフィルタをiPhoneに取り付けるためのマウント、iPhoneにマイクや三脚をセットするためのリグといったアイテムだ。

これらの機材をつけてもなお、iPhoneはビデオカメラとしては飛び抜けて軽量かつコンパクトである。狭い隙間に置いたり、重いカメラでは無理な体勢で撮影したりできるのは、iPhoneならではのメリットなのだ。

「iPhoneはレンタル料が安いのも魅力です。通常のシネマカメラだと1台を1日レンタルして大体10万円くらいするのですが、iPhoneなら20台借りても6万円くらいですから」

Blackmagic Camera ProDockがiPhoneにもたらすもの。完全体のシネマカメラへ

そんなiPhoneをシネマカメラとして“完全体”にするのが、Blackmagic Camera ProDockだ。

Blackmagic Camera ProDockを使うことで、マイクやヘッドフォン、外部ディスプレイ、外付けSSDなどをiPhoneに接続できるようになる。iPhone単体では難しかった本格的な動画撮影のセッティングが可能になるわけだ。先述の「Blackmagic Camera」アプリとセットで使うこと念頭に設計されており、互いのパフォーマンスを引き出してくれる。

Blackmagic Camera ProDock。公式サイトでの販売価格は5万1980円。画像●Blackmagic Design

さらに、ゲンロックとタイムコードのサポートは、Blackmagic Camera ProDockが持つほかにはない特徴のひとつだと言う。

「たとえばゲンロックは、複数のカメラの映像をフレーム単位で同期させるための機能です。何台ものiPhoneを同時に使って撮影する場合や、最近ハリウッドで多用されているバーチャルプロダクションのLEDウォールのフリッカーを防ぐのに役立ちます」

takumifoneさんのBlackmagic Camera ProDock活用イメージ。




唯一無二で比較的手頃。Blackmagic Camera ProDockにも課題はある?

加えて、従来のiPhone用のハブにはなかったDC入力給電機能も大きなメリットだとtakumifoneさんは言う。

「今までの多くのiPhone向けハブは、USB-Cからの給電で動作していました。そのため、SSDなどの外部アクセサリを多く接続すると、バスパワー(給電)が不安定になり、動作も安定しないことがあったのです。しかし、このBlackmagic Camera ProDockは、DC入力から直接給電できるため、そうした心配がありません」

Blackmagic Camera ProDockが搭載するインターフェイス。画像●Blackmagic Design

また、実は「ゲンロック」と「RAW動画」を両立する安価なカメラはあまり存在しないとtakumifoneさんは指摘する。一方、新しい世代のiPhoneはRAW動画撮影を実現している。

「デジタルカメラで同じ機能を使おうとしたら、高価な機材が必要です。それをiPhoneとBlackmagic Camera ProDockの組み合わせで実現できると思えば、映像クリエイターにとっては安いものだと思います」

しかし、多機能ゆえの重量は少し気になるとtakumifoneさんは話す。

「Blackmagic Camera ProDockはやや大きくて重く、三脚に固定して使用する前提になっていると感じます。また、リグとの接続がやや不安定で、しっかり固定していないと角度が変わってしまうことがあります。この点は今後の改善に期待したいところです」

映像制作現場で広がるiPhoneの活用。ProDockは未来を見据えた重要なピース

では、Blackmagic Camera ProDockはどんなユーザに向いているのか。

「Blackmagic Camera ProDockが適しているのは主に4つの用途です。1つ目はセミナーや配信でのiPhone複数台運用。2つ目はバーチャルプロダクション撮影。3つ目は音声同期が必要な撮影。4つ目はマルチカメラを使った同期撮影です。特に映像配信の業界では、複数のiPhoneを固定で設置して配信し、後編集のためにタイムコードも入れておくといった使い方が便利だと思います」

takumifoneさんいわく、「現時点ではほとんどのユーザにとってオーバースペック」というBlackmagic Camera ProDock。しかし、今後iPhoneが映像制作でもっと活用されるようになる未来を見越した製品と言えるかもしれない。

「iPhoneはすでに、ハリウッドなどでも積極的に活用されています。たとえば、昨年公開された『28年後…』という映画は、主にiPhone(※一部は別機材も併用)で撮影されたことが大きな話題になりました。また、映画『F1/エフワン』では、F1カーに偽装したF2カーのウイングにiPhoneのカメラ部分だけを取り外して埋め込み、人物の表情を撮影するのに使用したそうです」

Apple TVで配信中の「F1/エフワン」。劇場公開でも話題を呼んだヒット作だ。




協力関係を結ぶAppleとBlackmagic Design。両社が描く映像業界の未来

Apple TVでのオリジナル作品制作、そしてBlackmagic Designとの密接な協力関係を見るに、最近のAppleは明らかにカメラ・映像業界への参入を意識しているとtakumifoneさんは分析する。

「AppleとBlackmagic Designは、クリエイターからのフィードバックを待っている段階だと思います。メーカーとクリエイターとの間にある認識の差を埋めるため、投入した製品が実際の現場でどう使われるのかを見極めようとしているのでしょう。このBlackmagic Camera ProDockも、そんな実験的な取り組みの1つではないでしょうか」

従来であれば高価なプロ機材でしか実現できなかった機能を、より手軽に利用できるようにしたBlackmagic Camera ProDock。takumifoneさんが言うように、現在はまだオーバースペックな部分があるかもしれないが、今後の技術の進歩によってその真価を発揮する場面は増えていくだろう。

映像制作を志す学生から、プロフェッショナルな現場まで、幅広い層にとってBlackmagic Camera ProDockは魅力的な選択肢となりそうだ。

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著者プロフィール

山田井ユウキ

山田井ユウキ

2001年より「マルコ」名義で趣味のテキストサイトを運営しているうちに、いつのまにか書くことが仕事になっていた“テキサイライター”。好きなものはワインとカメラとBL。

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